カテゴリー: ニュース
公開日 2023.09.19
英エコノミスト誌9月9日号はLeadersの1本で中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を取り上げている。タイトルは「中国の一帯一路戦略は西欧を試し続けるだろう」で、副題は「プロジェクトは小規模化し、課題は増大している」だ。同記事は「10年前の今週、中国の習近平国家主席は彼の有名な外交政策になるものの足場を作り始め、中国と中央アジア、中東、アフリカ、そして欧州を結んだ古代のシルクロードをあいまいに示唆した。この計画が公式に『一帯一路』と命名された時、中国が世界の中心にいることを表明するものになった」と同構想誕生の経緯の紹介から話を始める。
そして「この一帯一路スキームに、世界の人口の約75%、国内総生産(GDP)の半分以上を占める150カ国以上が署名し、中国は各国の鉄道や道路などのインフラ整備に1000億ドル以上の融資や寄付を供与した。プロジェクトはブラジルからケニヤ、ラオスなど世界中に広がった」と説明。しかし時間とともに、一帯一路構想では欠陥や中国の利己主義が明らかになったとし、多くの参加国が債務返済に苦闘するようになったという。さらに、こうしたトラブルは秘密でもなく、銀行が融資したインフラプロジェクトの多くが継続されていないことも驚くことでもないと指摘。「幾つかは無用の長物(white elephant)となり。その他も廃棄された。幾つかの国は債務過多でデフォルトの瀬戸際にある」と説明している。
中国はこうした現状から教訓を得ているようで、中国経済の落ち込みもあり、中国の銀行は対処方法を変更し、融資はよりターゲットを絞り込むようになったという。習主席も中国の投資家に、リターンがより良好で「小規模だが美しい」プロジェクトに焦点を合わせるよう要請しているとし、通信やクラウドコンピューティングなどの「デジタル・シルクロード」という話が増えてきたという。
一方、欧米諸国は、こうした一帯一路プロジェクトに苦しむ発展途上国に対し、一帯一路の代替案を提案することで、対抗する必要があると強調。9月9~10日にインドの首都ニューデリーで開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でバイデン米大統領が貧困国支援では世界銀行や国際通貨基金(IMF)の役割を強調する見込みであり、先進7カ国(G7)は昨年、総額6000億の低中所得国のインフラ投資の強化計画を発表したことを紹介した。そして欧米諸国はルールベースの投資を行うべきで、もし中国と友好国のみが貧困国の支援を行うとしたら、彼らが未来を形作ることになるだろうと警鐘を鳴らしている。
16日付バンコク・ポスト紙(1面)によると、タイのセター首相兼財務相は18~23日の国連総会出席のため訪米する際に、米国のグーグルやマイクロソフト、テスラなど世界の大手企業にタイへの投資を呼びかける計画を明らかにした。これらの企業との会合では、タイの競争力向上、投資機会の向上、法律問題などが焦点となる見込みという。同首相率いるタイの代表団は米国商工会議所、米ASEANビジネス委員会などの民間経済団体や米国の主要企業幹部と会合を持つ予定だ。
また、同紙(1面)の別の記事によると、セター首相はカンナビス(大麻)の娯楽用の使用認可には同意しないものの、医療用の利用については政権として支持していくとの方針を明らかにした。同首相はタイのオンラインメディア、ザ・スタンダードとのインタビューで、財務相の立場から、「われわれは、連立与党が提案した適切な政策には予算を公平に割り当てる」と回答し、連立を組むタイ誇り党の看板政策であるカンナビスの自由化については、医療目的での使用は支持すると明言。ただ、「アヌティン副首相兼内相を公平に扱わなければならないが、彼はタイ誇り党のカンナビス政策を推進するよう求めてきてはいない」と述べた上で、カンナビスは18歳未満の若者に影響を与えるため多くの人がその自由化政策を支持していないとし、自分も娯楽目的の使用には同意しないとの認識を示した。
TJRI編集部
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