BYDがタイ新工場を披露、信金中金「縁結び」開設

BYDがタイ新工場を披露、信金中金「縁結び」開設

公開日 2024.07.08

中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は7月4日、タイ東部ラヨーン県のWHAの工業団地内に完成した新工場を国内ディーラーやタイや中国のメディアに披露する記念式典を開催した。同工場の総投資額は179億バーツで、敷地面積94万8000平方メートル、プレス加工、溶接、塗装、組み立ての主要4工程を備えている。年間生産能力は最大15万台で、主力小型車「ドルフィン」や多目的スポーツ車(SUV)「ATTO3」のほか、「SEAL」「SEALION6」を生産する計画で、バッテリー、トランスミッションなどの主要部品も製造する。将来フル稼働した場合は約1万人の雇用につながるとしている。

BYDはタイ市場への参入表明後、2022年11月にATTO3の販売を開始、2023年3月にタイ工場の起工式を行った。王伝福董事長はこの日の式典で、「BYDはタイ市場への参入から2年で早くもタイで認知され、バッテリーEV(BEV)販売では18カ月連続でトップを続けている」とし、今後、プラグインハイブリッド(PHEV)も投入していくと表明した。一方、BYDアジア太平洋販売事業部の劉学亮総経理はタイ新工場について、「高品質の国内製品を顧客に提供するだけでなく、新エネルギー車産業の世界リーダーの地位を強化する」と強調。さらに、タイ国内全土に販売ショールームを既に115店舗開設したことを明らかにした。

BYDは、この新工場では国内販売向けだけでなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)の他の国への輸出向けの生産も行うとしている。BYDの2023年の全輸出台数は前年比334%増の24万3000台に達し、同社の新エネルギー車は世界88カ国・地域で販売されているという。そして乗用車の海外生産拠点はタイの他、ブラジル、ハンガリー、ウズベキスタンで建設しており、東南アジアではタイが初となる。

ちなみにこの日の工場内のイベントスペースには1995年創業のBYDの歴史を振り返ったパネル展示もあり、2008年にBYD株式を取得した米バークシャー・ハサウェーのウォーレン・バフェット氏とBYDの王董事長が一緒に記念撮影した写真が印象的だった。


7月6日付バンコク・ポスト(1面)によると、BYDの一部ディーラーが大幅値引きを行い、割引キャンペーン前に購入した顧客が不信感を強めているとの報道を受けて、タイのセター首相は5日、表敬訪問をしたBYDの王伝福董事長に対し、消費者保護と適切な価格設定を求めた。これに対し、王董事長は、今後の価格設定は適切に行い、影響を受けた顧客を支援する方法を検討すると答えたという。この問題は、一部のBYD販売員が顧客に対し、割引キャンペーン終了後は価格が上昇すると確認したにもかかわらず、キャンペーン終了後も値引きを続けたため、顧客はソーシャルメディア上で「だまされた」と怒りをあらわにし、タイ消費者保護委員会が調査を始めたという。また、セター首相は王董事長に対し、タイ国内サプライチェーンをできるだけ活用し、政府と合意した生産台数を守るよう要請したという。


信用中央金庫は6月28日、信用金庫の取引先や自治体向けにバンコクでのマーケティングや販売促進をサポートするテストマーケティングスペースを「EN-MUSUBI(縁結び)」をBTSアソーク駅至近の「インターチェンジ21」内に開設したと発表した。同日開催したオープニングセレモニーと記念パ-ティーには、信金中金関係者と今回の事業で連携した在タイ日系企業向け人材紹介会社パーソネル・コンサルタント・マンパワーの小田原靖社長のほか、大鷹正人・駐タイ特命全権大使も来賓として参加した。

オープニングセレモニーでは、主催者を代表して信金中金の田中賢治常務理事が、海外消費者の購買力の高まりや円安による価格競争力の向上もあり、信用金庫の取引先から販路拡大で数多くの相談を受けているとし、特に「消費意欲の旺盛なタイでの販路拡大の支援を強化するため」に、EN-MUSUBIを開設することにしたと説明。また、記念パーティーでは信金中金の柴田弘之理事長が、現在日本には全国で254の信用金庫があり、信金中金は信用金庫の中央金融機関として信用金庫の取引先の課題解決に取り組んでいるとした上で、「取引先の海外ビジネスでは、ロンドン、ニューヨーク、香港、上海、バンコク、シンガポールの6つの拠点」などのグローバルなネットワークできめ細かい支援体制を構築していると強調。そして、EN-MUSUBI開設の狙いを改めて説明した上で、「新たなソリューションを開発、提供するために信金中金の社内公募プログラムで採択された事業」だとアピールした。

また、大鷹大使は来賓挨拶で、経済成長しているタイの中でも、「バンコクはサービス業の進出も多く見られ、消費地としても魅力的になっている」と強調。そしてバンコクでも食品や伝統小物などあらゆる日本製品を目にするが、まだ紹介されていない日本の中小企業が作る高品質の製品はまだたくさんあるとし、こうした製品をタイ人に紹介する今回の取り組みが商談につながることへの期待を表明した。


7月4日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイの商工会議所(TCC)、工業連盟(FTI)、銀行協会(TBA)の民間経済3団体で構成する商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は3日の会合で、米中貿易戦争からタイの輸出が恩恵を受ける可能性があるとし、2024年の輸出の伸び率見通しを従来の0.5~1.5%から0.8~1.5%と、下限を上方修正した。TBAのパヨン会長は、「米中貿易戦争により、中国企業がタイを新たな輸出拠点として使うために生産拠点をタイに移す決断を加速させるだろう」と指摘。一方で、タイの輸出部門では、燃料価格の上昇や、コンテナ不足を背景とした海上運賃の上昇に伴う生産コスト高が課題になっていると認識を示した。 一方、JSCCIはこの日の会合で、国内総生産(GDP)伸び率見通しを2.2~2.7%で据え置いた。今年1~5月の自動車販売台数が前年同期比24%減と低迷が続き、今年1~4月の戸建て住宅とコンドミニアムの販売戸数がそれぞれ11.8%減、7.4%減となったことに言及、パヨン会長は「両部門の減少が続いた場合、今年のGDP伸び率は0.3~0.4%に下方修正される可能性がある」との見通しを示した。

THAIBIZ編集部

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE