Temuのビジネスモデルとは、獣医不足、半導体R&Dセンター

Temuのビジネスモデルとは、獣医不足、半導体R&Dセンター

公開日 2024.09.09

特に中国製の安値製品の大量流入とその対応に関するニュースが続いている。9月4日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、市場分析会社キューブ・アジアの共同創業者サイモン・トーリング氏は、中国の電子商取引(EC)大手「Temu(テム)」がタイなど東南アジアのEC市場に与える長期的インパクトを判断するには時期尚早だが、販売業者はさらなる価格競争に備える必要があるとの認識を示した。同氏は、もしTemuが強力なインセンティブと低価格戦略を継続できた場合には、ショッピーやラザダ、ティックトック・ショップなどが利益率重視にシフトする中で、東南アジアのECのダイナミクスを変革する可能性があると強調した。

中国PDDホールディングスの越境ECプラットフォームであるTemuは昨年、フィリピンとマレーシアでサービスを開始したのに続き、今年7月中旬にタイ市場にも参入した。同プラットフォームは欧米市場で劇的な成功を納め、特に米国では、アプリのダウンロード数でアマゾン・ドット・コムを上回るトップとなった。

Temuは主に中国内のメーカーや卸売業者と世界中の消費者を直接つなげることで、低価格を実現している。キューブ・アジアによると、ショッピーやラザダのプラットフォームで提供される商品の大半は各ブランドが運営する公式店舗や認定販売業者からの商品になっている。Temuはこうしたビジネスモデルを採用せず、ブランドのない製品を多く取り扱っている。


9月6日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイのデジタル経済社会省傘下の電子取引開発庁(ETDA)は中国の安値製品の大量流入対策として、外国の電子商取引(EC)運営業者に対し、タイのデジタルプラットフォーム・サービス法に基づき、タイ国内に登録オフィスを開設するよう通知する計画だという。ETDAのチャイチャナ長官はバンコク・ポストの取材に対し、この通知が貿易協定に違反しないかどうかを商務省貿易交渉局に相談したあと、通知する予定だとの方針を明らかにした。デジタルプラットフォーム・サービス法は、一定規模のデジタルプラットフォーム運営業者はタイ国内でサービスを開始する前に、ETDAに情報提供することを義務付けている。同長官によると、中国のTemuは既にシンガポールに拠点を持ち、ETDAにデジタルプラットフォーム業者として登録しているという。また、デジタルプラットフォームサービス法を順守している業者数は1400社以上に達する。

9月5日付バンコクポスト(ビジネス1面)によるとタイ財務省は、オンライン販売プラットフォーム業者の付加価値税(VAT)登録を義務付ける決定を受けて、同業者を徴税システムに取り込む準備をしている。同省筋が匿名で明らかにしたもので、同省国税局が同プラットフォームに対し、タイ国内でのVAT登録を義務付けることが閣議決定された。さらに個人所得税、法人税の対象となる可能性もあるという。この結果、国税局はこれらのビジネスと取引データにアクセスできるようになるという。


9月4日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、アラック動物病院を傘下に持つアラック・アニマル・ヘルスケアのタサワリン最高経営責任者(CEO)は、タイ国内で動物病院や獣医クリニックの開業が増える中で、ペット産業は獣医不足に直面しているとの認識を示した。同氏によると、タイのペット産業は新規業者の参入が続き、競争が激化、一部の獣医学部の新卒は小規模な獣医クリニックを開設することを選択しているという。TMBタナチャート銀行の調査会社ttbアナリティクスによる2024年のタイのペット市場の規模は前年比12.4%増の750億バーツに達する見通しだ。さらに、ペットヘルス市場は今年60億バーツを上回ると予想している。また、農業・協同組合省畜産局によると、2023年には約700の動物病院・クリニックが開業し、獣医部門の専門家不足につながっている。タサワリン氏は、「当社は、獣医不足に対応し、大学と提携し、獣医学部の学生の認識を高める自主的プロジェクトで大学を支援している」と強調した。


8月23日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、キングモンクット工科大学ラカバン校(KMITL)は、世界の半導体サプライチェーンにおけるタイの役割りを高める狙いで、タイでは初の半導体の研究開発(R&D)センターを開設した。KMITL Academy of Innovative Semiconductor Manufacturing(KAISEM)という名称で、半導体研究、イノベーション、電子製造プロセスで連携するためにさまざまな分野の専門家が参加する中央研究所になるという。KMITLのコムサン学長は、「タイは税制優遇、補助金、大型インフラ、強力な知的財産権保護の提供により、多国籍の半導体企業を誘致可能だ。教育と訓練への投資で、スキルのある労働力を創出するだろう」と訴えた。

THAIBIZ編集部

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE