カテゴリー: ニュース
公開日 2024.10.21
英エコノミスト誌10月12日号はアジア面で、「米国vs中国:どちらがアジアのインターネットを支配するか」というタイトルで、アジアでの米中のデジタル覇権をめぐる攻防を紹介する興味深い記事を掲載している。同記事は、アジアでのデータセンターブームの中心にいるというマレーシアのジョホール州ヌサジャヤの建設現場の描写から話を始め、「ここから米中のデジタル戦争を見ることができる」とした上で、「競争はデータセンター、海底ケーブル、インターネット用の固定通信回線の管理と所有を巡る争いとなっている」と表現。「米国は第2次世界大戦以来、通信インフラを独占してきたが、そのグリップは緩みつつある。デジタル依存度指数では、中国が過去10年、技術的に自立しつつある」と強調する。
そしてジョホール州では自由競争の中で、米国と中国のデータセンター大手のインフラ施設が隣接していると紹介。アジア地域ではクラウド・コンピューティングにおける米中の勢力状況は各国で違うとし、オックスフォード・インターネット研究所の2023年の調査では、「タイとフィリピンでは、クラウド・コンピューターの集積地のすべてを中国が独占している。・・・さらに、アジア12カ国のうち7カ国で、クラウド集積地の多くを中国が運営している」と報告。例えば、アリババはアジアの9カ国にデータセンターを持っているという。一方、同調査では米国が優勢だったのはオーストラリア、インド、韓国などだ。
プリント回路基板(PCB)に関するニュースも着実に増えている。10月17日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によるとタイ投資委員会(BOI)のナリット長官はこのほどアユタヤ県ロジャナ工業団地で稼働を開始した中国系PCBメーカーのウェルテック・エレクトロニクス(Well Tech)を訪問、タイ政府はEVやデータセンターを含むスマート電子・デジタル産業が発展する中で、PCB製造を強化していくとの方針を明らかにした。今年9月時点で、PCB向けの投資恩典に対し、95プロジェクト、1620億バーツの申請があったという。
10月15日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイ商務省貿易政策戦略室(TPSO)のプーンポン室長は、PCBが電気自動車(EV)向けも含めすべての電子機器に不可欠な基本部品のため、PCB産業はタイ経済にとって最重要だとの認識を示した。さらに同室長は、戦略的立地、低い労働コスト、スキルのある労働者、輸送や通信など支援インフラのおかげで、タイは世界市場でも主要なPCB製造ハブの地位にあると強調した。
タイ中央銀行は10月16日に開催した金融政策委員会(MPC)で、政策金利の1日物レポ金利を0.25%引き下げ、2.25%とした。7人の委員のうち5人が賛成。2人は据え置きを主張した。タイ中銀は2023年9月まで8会合連続で0.25%ずつの利上げを実施後、今年8月の会合まで5回連続で金利を2.5%に据え置いていた。
タイ中銀は「タイ経済全般は期待通り拡大する見込みで、一方、インフレ率は2024年末までに徐々に目標レンジに戻っていくだろう」とした上で、「借り手の利払い負担の軽減のために多くの委員が0.25%の利下げに賛成した」と説明。利下げは、融資の伸びの鈍化見通しを考慮すると、債務の削減に悪影響を与えることはないとし、金利は中立的であり、経済の潜在力に見合ったものだと強調した。中銀または2024年の成長率見通しを2.7%と、従来の2.6%から上方修正した。
東京都立産業技術センター(都産技研)は10月15日、バンコク支所がアソーク駅近くのInterchange21ビルの20階に移転(9月2日から業務開始)したことを記念するセミナーを開催した。都産技研は主に都内の中小企業への技術的な支援を行い、振興を図るのが目的。現在、職員数は約450人で、2023年度の技術支援では、依頼試験が約12万件、機器利用が約15万件で、年間でのべ2万社以上が利用しているという。技術支援拠点は1本部6支所で、海外は2015年に開設されたバンコクの1カ所のみ。
新しいバンコク支所(TIRI-BB)は東京都中小振興公社(東京SME)と同じビル内にあり、両者は「相補関係」にあるとしている。この日の記念セミナーでは、都産技研の三尾淳理事が開会あいさつをした後、TIRI-BBの川口雅弘所長がバンコク支所について紹介。さらに京都大学の国際戦略本部・ASEAN拠点所長の縄田栄治特任教授による「タイの農業・商業化・集約化・多様化」をテーマとする記念講演が行われた。
温室効果ガス(GHG)排出量の算定サービスを手掛けるゼロボードは10月18日、GHG排出量算定・可視化ソリューション「Zeroboad」の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域における有償導入社数が250社を突破したと発表した。ゼロボードは2022年8月にパートナー企業とともに、タイでの脱炭素経営支援を開始。その後、本格的なASEAN展開のため、2023年3月にタイ現地法人を設立した。
THAIBIZ編集部
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