中国主導の東南アジア鉄道網整備の現状、タイ「半導体委員会」設置

中国主導の東南アジア鉄道網整備の現状、タイ「半導体委員会」設置

公開日 2024.10.28

英エコノミスト誌10月12日号はアジア面で、「新たな鉄道が東南アジアを変容させる」というタイトルの記事で、主に中国が支援する東南アジア地域での鉄道整備の最新情勢を報告している。同記事は「東南アジア全域で鉄道は古く、スピードも遅い。そして他の国とつながっていないことが多い」とその特徴を概観した上で、「東南アジアには鉄道路線の総延長は2万4000キロしかない。これは面積が東南アジアの約半分であるメキシコとほぼ同じだ」と指摘。東南アジア諸国連合(ASEAN)ではトラックが重視されてきたが、鉄道もようやく変化し始めたとして、2021年に中国・昆明とラオス・ビエンチャンを結ぶラオス中国中速鉄道の開通を紹介。長年構想されてきたこの計画はシンガポールまでつながる路線の最初の区間になる可能性があると説明した。

そしてこの路線の開通は他の地域にも波及効果をもたらし、タイはラオスにつながる高速鉄道の建設を急ぐ意向を表明したほか、マレーシアは止まっていた南部とシンガポールを結ぶ路線を復活させ、ベトナムはハノイと中国国境を結ぶ2本の鉄道計画を発表したなどと報告した。

さらに同記事は、東南アジアが鉄道網を拡張するためにはノウハウと資金が必要であり、中国がその両方を提供していると強調。中国は以前と比べ「一帯一路」戦略をアピールすることが大幅に減ったが、それでも中国は依然東南アジアのインフラ向けの最大の資金を提供している国だと強調。オーストラリアのシンクタンクのローウィー研究所によると、2022年時点で東南アジアでの34件の大型プロジェクトのうち24件に中国が関わっており、そのうち6件、金額では60%相当が鉄道プロジェクトだという。

そして中国の鉄道会社にとって、国内の高速鉄道網の整備がほぼ終了する中で、海外市場は魅力的だと強調した。東南アジアが中国政府にとって特に優先順位が高いのは中国企業が工場を東南アジアに移転させているためで、その輸送ルートの改善は恩恵をもたらすと指摘。2023年の中国企業による東南アジアの製造業分野への投資額は2019年比18.5%増となり、全外国投資の3分の1を占めたと背景を説明した。


10月26日付バンコク・ポスト(2面)によると、タイ国鉄(SRT)のウィーリス総裁は、東北部のコンケンとノンカイを結ぶ事業費286億バーツの鉄道複線化工事の第2フェーズの建設は今年末に始まり、完成までに3年かかるとの見通しを明らかにした。25日に開催されたSRTの役員会で承認されたもので、最安値で応札したチョー・タウィーなどの企業連合が落札した。このプロジェクトは昨年10月に閣議承認されたナコンラチャシマ、コンケン、ウドンタニ、ノンカイを結ぶ「インターシティーネットワーク」開発計画に基づく輸送インフラ整備の一部となる。現行路線に並行して線路を追加。総延長は167キロ、14の駅、4カ所に停車場、3カ所に貨物ヤードが整備される。ウィーリス総裁は「この路線は貨物輸送と旅客サービスの両方を拡大する。ロジスティクスコストと輸送時間1~1.5時間を削減できる」などとアピールした。

10月23日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、スリヤ副首相兼運輸相は、バンコク・ドンムアン、スワンナプーム(サムットプラカン県)、ウタパオ(ラヨーン県)の3空港を結ぶ高速鉄道計画について、2019年に調印した当初契約の見直しは正当化されるとの見解を明らかにした。この重要プロジェクトを実現し、タイ政府と工事を請け負った大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ主導のコンソーシアムとの間の公平性を確保する必要があるためとしている。タイ政府は予定通りに線路敷設用地をコンソーシアムに引き渡せなかった一方、コンソーシアムは新型コロナウイルス流行で建設工事を始められなかった。契約の見直し案は既に東部経済回廊(EEC)政策委員会で承認されたものの、予定されていた22日の閣議提出はできなかったという。


11月26日付バンコク・ポスト1面)によると、タイのペートンタン首相は25日、東南アジアの半導体産業におけるタイのポジションを強化するために、自らが委員長を務める「国家半導体・先端電子産業政策委員会(半導体委員会)」を設置することを承認した。同委員会は半導体と先端電子産業における、投資促進、人材育成、サプライチェーン開発、環境対策に向けたロードマップを作成し、政策の方向性と目標を設定する。


10月23日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、米系不動産サービス大手コリアーズ・インターナショナル(タイランド)は、タイのデータセンター投資額が15%増加し、東南アジアで3位のポジションに上昇する可能性があるとの見通しを示した。ただタイ投資委員会(BOI)による現行のデータセンター向け投資恩典は不十分であり、法人税の優遇期間を延長するなど投資恩典を拡充する必要があるとしている。コリアーズによると、タイは現在、データセンター向けに貸し出し可能な用地面積で、シンガポール、マレーシア、インドネシアに次いで東南アジアで第4位となっている。タイでのデータセンター投資額は2022年以来、大幅に増加しており、その市場規模は今年は26%増、来年は24%増になると予想されている。

THAIBIZ編集部

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