THAIBIZ No.148 2024年4月発行タイで成功する日系企業デンソーのWin-Winな協創戦略
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カテゴリー: 対談・インタビュー
公開日 2024.04.10
2023年に日本のプロサッカーを牽引する「Jリーグ」は30周年を迎えた。著名な外国人選手が日本でプレーをする一方、多くの日本選手が海を渡った。それを支え、日本のプロサッカーリーグの在り方を世界に発信してきたのがクラブチームの動きだ。その注目すべき一つに大阪を本拠地とするセレッソ大阪がある。セレッソ大阪がタイで進める戦略とは。
株式会社セレッソ大阪
猪原 尚登 事業部長
セレッソ大阪 1993年にヤンマーディーゼル・サッカー部を母体として設立され、翌1994年からJリーグに参入。大阪府大阪市、堺市をホームタウンとして、プロサッカーチーム「セレッソ大阪」の運営を中心に事業を展開。チーム名にもある「セレッソ(CEREZO)」はスペイン語で「桜」の意。
木下 事業内容とタイにおける取り組みを教えてください。
猪原 当社は1993年の「Jリーグ」発足と同時に設立されたプロサッカーチーム「セレッソ大阪」の運営会社です。チームの運営以外にもスタジアムの管理やサッカースクールの運営、普及活動などさまざまな事業に取り組んでいます。
タイでの事業は2012年に、Jリーグがアジア戦略を打ち出したタイミングでスタートさせました。タイのプロサッカーリーグの1部に所属し、優勝経験もある強豪BGパトゥム・ユナイテッドFC(旧バンコク・グラスFC)とパートナーシップ契約を締結し、国境を超えた交流を深めています。
木下 タイでは、具体的にどのようなことに力を入れていますか。
猪原 セレッソの選手や指導者が現地に赴き、タイの若者向けにサッカースクールを開催したり、スポンサーとなった日系企業とタイ企業との橋渡し役も務めたりしています。前者では、2023年に復帰した香川真司選手が年末にBGパトゥム・ユナイテッド・アカデミーを訪問し、サッカースクールを開催したり、孤児院を訪ねるなどして子供たちにスポーツの楽しさや身体作りの大切さを伝えています。
企業向けには、チームの前身が実業団のヤンマーディーゼル・サッカー部だった関係から、同社のタイ法人を通じるなどして、セレッソ大阪のパートナー企業のタイでの事業進出、販売促進、社会貢献活動などもサポートすることで、サッカー以外の価値も提供できるよう努めています。パートナー企業の日本産のサツマイモなど物産品の販促活動にも立ち会いました。
また「JICA・Jリーグ共同提案事業:SDGs及び社会課題に挑むスクール事業の海外展開」でJICAと協力し、タイの聾(ろう)学校や特別支援学校の生徒を対象にしたサッカークリニックを開催し、子供たちにスポーツのすばらしさや楽しさを伝える活動も行っています。今後も社会貢献につながる事業にも挑戦していきたいと考えています。
タイのサッカー界とは人的交流も盛んです。過去にはタイ人のプロ選手3人がセレッソに在籍したこともあります。反対に、セレッソからは提携先のBGパトゥム・ユナイテッドFCでプレーした選手もいました。Jリーグのシーズン開幕前には、暖かいタイで身体づくりを目的としたトレーニングを行っており、かれこれもう10年にもなります。
木下 これまでのタイでの経験から、海外で事業展開していく上で大切なことは何ですか。
猪原 一言で言えば、持続可能な方法を常に意識し、模索していくことです。現地の人々のニーズはどこにあるのか。タイにある日系企業とも手を携えた相互補完的アプローチと関係作りが重要です。Jリーグをはじめ、日本のサッカー界の海外進出はまだ緒に就いたばかりです。私たちは、この分野のパイオニアになりたいと考えています。
もう一つ大事なことは、外国の社会、文化をよく知ることです。タイのクラブチームのオーナーは大企業など財閥関係者が多いことでも知られています。その判断は実にスピーディーで、決断に時間のかかる日本とは大きく異なります。
また、コミュニケーションが非常に重要だと考えています。言葉が分からなければコミュニケーションの促進は図れません。そこで私たちは言語の習得にも励みました。心配事の解決を図るために、日本からゼロ泊3日の強行日程で現地を訪れたこともあります。
チームを応援してくれるサポーターやサッカーファンとの関係作りも必要です。セレッソはタイ語のFacebookページを持っており、タイのフォロワー数は23万人を超えています。その他のSNSでも情報発信し、相互交流を進めています。こうした地道な取り組みを通じ、ファンや関心を持ってくれる人を更に増やしていきたいと考えています。日本ファンを増やせれば、ゆくゆくは日系企業の人材確保にも役立つと考えています。
THAIBIZ No.148 2024年4月発行タイで成功する日系企業デンソーのWin-Winな協創戦略
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JICAタイ事務所
Representative
木下 真人 氏
タイの社会課題解決につながる日系企業のビジネス支援を担当。インドネシア、中国、シンガポール、トリニダード・トバゴなどで15年以上にわたり海外のJICA、日本大使館の国際協力業務に従事。2008年以来二度目のタイ赴任。International Institute of Social Studies 開発学修士。
Email:[email protected]
JICAタイ事務所
31st floor, Exchange Tower, 388 Sukhumvit Road, Klongtoey
Bangkok 10110, THAILAND
TEL:02-261-5250
Website : https://www.jica.go.jp/overseas/thailand/office/index.html
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