
カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.08.20
目次
研究者ってかっこいい。子供のころから思い描いていた浦崎氏は化学の道を進んだ。修士課程修了後、もっと追及したい思いもあったが、製品化のための研究開発を行いたいという思いから就職を選択した。中小企業では、開発の川上から川下まで携わることができ、やりがいがあった。しかし、開発に対してもコストを意識する企業ならではの課題を前に、もっと化学そのものを追及したくなり、大学院博士課程で博士号を取得。次のステップを考えたとき、東京都立産業技術研究センター (以下、TIRI)を知った。中小企業で働いたこともあり、自分のバックグランドも生かせると直感した。
TIRIでは、表面技術(めっき)を担当することになった。自分の専門分野ではなかったが、「めっきってなんて奥深いのだろうと、知らないからこそ新鮮でした」と浦崎氏。TIRIは技術支援の機関であり、若手でも入職すれば支援する立場となるため最初は困ったという。もちろんセンターの先輩も助けてくれるが、追及好きの浦崎氏はアクティブだ。母校の恩師や学会で知り合った外部機関と共同研究を行い、特許取得や論文賞を受賞。TIRIでは、不具合解析を中心とした技術支援を行い、「お客様が喜んでくださることが一番やりがいを感じます」とほほ笑む。
TIRIがバンコク支所を設立したのは2015年。浦崎氏は17年4月から着任している。同支所に試験設備はないが、タイで可能な試験機関や製品の不具合解析など技術にまつわるすべてを支援すると意気込む。その中でも、技術面における人材育成に悩んでいる人が多いと言う。そこで浦崎氏はタイ人向けのセミナーを開催することにした。「工場で働くタイ人は、化学の基礎知識がない方もいます。
そこで、化学式を使わず、写真や絵をふんだんに取り入れたスライドを作成したり、できる限り身近な例を挙げて、めっき技術が私たちの生活に重要な役割を担っていることを理解してもらえるよう心掛けました。めっきの存在意義が理解できれば業務に前向きになり、品質向上だけでなく、離職率低下にもつながることが期待されます。また、タイ人は少々飽きっぽいと聞きますが、ならば飽きさせないセミナーにしたらいいですよね」と何でもポジティブ変換で追及する。技術以前にこっちを向いてもらうため、浦崎氏の趣味である日本の着物を紹介するブレイクタイムを取り入れると、空気が和みタイ人からの質問が増えていった。
現在TIRIの課題はタイにおいての認知度不足。「知っていたら利用したのに」という声が挙がる。TIRIは、日系中小企業の技術に関するすべての相談窓口と言い切るだけあって、「分からない」と返事をすることはない。本部には様々な知識を有する研究員が250名おり、質問者が次のステップへ進めるよう手助けする。ここバンコクにおいては、何よりも浦崎氏の追及欲が心強い味方ではないだろうか。
悩むのは手持ちの情報が少ないからだという。相談して情報を得れば、新たな道が見えてくるかもしれない。
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THAIBIZ編集部


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