「タイの伝統工芸に情熱注ぐ」

ArayZ No.96 2019年12月発行

ArayZ No.96 2019年12月発行タイの経済を支えてきたファミリービジネス

この記事の掲載号をPDFでダウンロード

ダウンロードページへ

掲載号のページにて会員ログイン後、ダウンロードが可能になります。ダウンロードができない場合は、お手数ですが、[email protected] までご連絡ください。

「タイの伝統工芸に情熱注ぐ」

公開日 2019.12.04

ASEAN地域で活躍する企業を紹介
Stella Hobby Lounge

石田久巳 いしだくみ
石田久巳●いしだくみ

「ようやくやりたいことを見つけた」――タイの伝統工芸品「ベンジャロン焼き」に出会った時のことを振り返る石田久巳氏。中部サムットサコン県にベンジャロン焼きの工房があると聞くと、持ち前の行動力を生かし、1ヵ月間住み込んだ。日本人が受講するのは初めてということで、大歓迎されたという。

見事に課程を修了し、3年前にバンコク市内エカマイ通り沿いにアート工房「ステラ(Stella)」をオープン。タイ在住の日本人、日本からの観光客や外国人が、世界でたった一つだけのベンジャロンの器の創作に励んでいる。

「インストラクターといってもやり方の手順を教えるだけです。器も下絵もお好きなものを選んで、ご自身のセンスで自由に彩色できます」と、店内にはキラキラと宝石のような陶磁器が所狭しと展示されている。滞在日数が短い観光客には、出来上がった作品を宿泊先に届けるサービスも提供しており、 「是非、バンコク滞在中にタイの3大陶器の一つであるベンジャロン焼きを体験していってください」と呼びかける。

災い転じて福となす

大阪府出身の石田氏の職歴は、テレビ・ラジオ番組のレポーター・声優、イベントの司会者といった芸能関連の活動から始まった。数年後にはそれまでの経験・実績が認められ徐々に仕事を増やしていったが、多忙な日々を送っているうちに体に変調をきたし始めた。それでも無理を押していたところ、自律神経失調症に罹り、医師から休養を勧められた。災い転じて福となす、ではないが、「友人のいるタイでしばらくのんびりしたい」と訪れたバンコクが人生を変えることになった。

水が合ったのか、難病を克服し、タイで生活を送る覚悟を決めた石田氏。タイ語の猛勉強中に、日本人のDJを募集しているとの情報を友人から得た。オーディションを受けるとすぐに採用となり、しばらくするとラジオだけでなく、企業のイベント司会などの仕事も舞い込んできた。

順風満帆な日々を送っていたが、事業者がラジオ放送を打ち切ることになった。「それなら私が引き継ぎたい」と、「Sakura Kiss」という会社を立ち上げ、番組「Morning! Kiss」の放送を2005年1月に開始。ただ、数日前に起きたスマトラ大地震でタイ南部が津波の被害を受けたため、「楽しい音楽を流す雰囲気でありませんでした」と、プーケットから被災地の情報を発信することを決断。「現地で何が起きているか。何が不足しているか」を発信したが、情報は細切れに終わった。そこで終日情報を発信できるラジオ局を立ち上げることを決心。08年に24時間放送の「J-Channel」に生まれ変わった。現在もウェブラジオで放送を継続しており、「現場を離れましたが、企画の提案などで携わっています」と裏方を演じる。

私生活では犬(1匹)と猫(3匹)と充実した日々を送っている。バンコク中の寿司屋を制覇するのが現在の目標で、「ネタも新鮮で、日本にはない工夫を凝らした創作寿司を出す店が増えています」。趣味もベンジャロン焼きで、「貴重な文化を絶やすのは残念。タイの若者を巻き込んで、進化するベンジャロン焼きを世界中に発信していきたいです」と目を輝かせる。

Stella Hobby Lounge
63(Ekamai), Klongton-nua, Wattana 112/2 Sukhumvit Rd., Phra Khanong, Khlong Toei, Bangkok, 10110
Email: [email protected]
www.stella-bkk.com

ArayZ No.96 2019年12月発行

ArayZ No.96 2019年12月発行タイの経済を支えてきたファミリービジネス

ダウンロードページへ

掲載号のページにて会員ログイン後、ダウンロードが可能になります。ダウンロードができない場合は、お手数ですが、[email protected] までご連絡ください。

THAIBIZ編集部

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE