ArayZ No.102 2020年6月発行バンコク沿線 注目開発 エリア
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2020.06.10
目次
MRTバンスー駅で降りて地上に出ると、建設中の巨大な構造物が目に飛び込んでくる。開業100年を超えて老朽化したフアランポーン駅に代わり、新たな鉄道拠点として開発が進むバンスー中央駅だ。
バンコクとチェンマイ、ハジャイなど地方都市間を結ぶ長距離鉄道のほか、SRTダークレッドライン(バンコク郊外ランシット行き)やSRTライトレッドライン(タリンチャン行き)、エアポートレールリンクやドンムアン、スワンナプーム、ウタパオの3つの国際空港を結ぶ高速鉄道も接続するターミナル機能を持つ。
地上3階、地下1階の同駅には、これらの各プラットホームのほか、約1,700台分の駐車場や商業施設なども設けられる。
建設費は約100億バーツ。2013年から始まった工事は3月時点で98%終了し、来年開業予定だ。
西はチャオプラヤー川、北はノンタブリー県、東はウィークエンドマーケットで有名なチャトチャックに挟まれた約11平方キロのエリア。
SRTバンスー駅自体は1897年開業。貨物ターミナル駅として大規模な操車場も隣接している。
かつてセメント工場を置いていたタイの素材大手サイアムセメントの本社や、中央少年家庭裁判所がある。
開発計画はバンスー中央駅だけではない。タイ国鉄(SRT)が持つバンスー中央駅周辺の372ヘクタールの土地に関して、プランA~Iの9つのゾーンに分けてオフィスや商業施設、居住地域として再開発される計画がある。
これらに関しては、日本の国際協力機構(JICA)が2017年に策定したマスタープランに基づき、進められる予定となっている。直近で開発が見込まれるプランA(5.12ヘクタール)はバンスー中央駅の駅前にあたり、スマートビジネス地区として、SRT本社に加え、店舗やホテル、オフィスビルなどが整備される見込みだ。
全体の開発は3つの段階に分けて進められ、22年までの第1段階でプランA、E、D(一部)、27年までの第2段階でプランC、F、G、32年までにプランB、D、H、Iが完成する見通しとなっている。
タイ政府はバンスー中央駅周辺開発をスマートシティのパイロットプロジェクトにも位置付けている。今後、どのような街づくりが行われるのか注目だ。
プランAは民間企業とのPPP(官民連携)によって開発される。しかし、昨年7月に実施されたプランAの入札に名乗りを上げた民間企業はなかった。
当初は流通大手のセントラルや建設大手チョーカンチャン、首都圏鉄道運営のバンコク高速道路&メトロ(BEM)が入札書類を購入していた。
どの企業も応札しなかった理由は、需要の見通しが立たなかったことが原因と見られている。
SRTはこれを受けて、プランEとの一括入札によって再度、民間企業を募る方針だ。今後の他プラン開発の行方を左右するだけに、応札する企業があるのかどうか注目される。
バンスー中央駅を基点として、北はパトゥムタニ県ランシットまでを結ぶ10駅、21キロ。将来的には有名国立大学のタマサート大学のランシットキャンパスまで北は延伸し、南は海鮮市場で知られるサムットサコーン県マハチャイまで伸ばす計画もある。
北部に関してはJICAが3期に分けて計2,500億円程の円借款を実施。日立製作所、三菱重工、住友商事が鉄道システム一式をターンキープロジェクトとして受注している。
車両は日立製作所が全25編成、130両を出荷。運行管理装置、列車検知装置などの信号システムは日本信号が納入する。
ダークレッドラインは、バンスー中央駅から水上市場のあるタリンチャンへと西へ伸びるライトレッドラインと合わせてレッドラインを構成する。
早ければ21年初頭にもレッドラインとして開業予定だったが、5月に入ってスクサイアーム運輸相が運営会社をSRTではなく、民間との合弁にする方針を発表。
バンスー中央駅の建設期間も延長されており、開業の遅れが見込まれている。
1893年 民間のパークナーム 鉄道開業(後に国有化)
1897年 初の官営鉄道として バンコク~アユタヤ間開通
1916年 現在の位置に フアランポーン駅竣工
1921年 南本線スンガイコーロックまで開通
1922年 北本線チェンマイまで開通
1930年 東北本線ウボンラチャタニーまで開通
1957年 サリット元帥がクーデターで政権掌握。後に、美観回復のためとしてバンコクの鉄道を廃止して踏切待ちによる渋滞の解消を図る
1958年 東北本線ノーンカーイまで 開通
1959年 パークナーム(旧パークナーム鉄道)線廃止
2021年 バンスー中央駅開業予定レッドライン(バンスー中央~ランシット)開業予定2024年 3空港連結高速鉄道開業予定
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THAIBIZ編集部
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