カテゴリー: ビジネス・経済, バイオ・BCG・農業
公開日 2022.08.09
7月30日付バンコク・ポスト(2面)によると、プラユット首相はタイ深南部の地域経済底上げを目的にバイオマスやバイオガスの発電所を増設する計画を承認した。ラチャダ政府副報道官によると、同首相は代替エネルギーを開発ツールの1つとして住民の生活の質を改善するとともに深南部各県の開発を推進するよう関係部局に指示したという。タイ政府によると代替エネルギーによる小型発電所を建設することで、農業、畜産、コミュニティー企業、農産物加工などの地方開発プログラムを支援できるという。
具体的には深南部でバイオマス発電所15カ所、バイオガス発電所75カ所の建設を進めており、合計発電量は150メガワット(MW)になる見込み。これらのプロジェクトではすでに800人分の雇用が創出され、さらに1万2000人分も追加可能という。これらが8月2日号の巻頭コラムで紹介した「Energy for All(すべての人のためのエネルギー)」制度に基づくものかは書かれていないが、タイの電源開発計画(PDP2018)や代替エネルギー開発計画(AEDP)に沿ったものだとしている。
また、タイ政府はこれらの発電燃料として竹やアカシア、ネピアグラスなどのエネルギー作物の栽培を促進する計画だ。これまでに60社以上のコミュニティー企業が設立され、1万2400世帯の農家が15万ライ(1ライ=1600平方メートル)の作付けを目指しているという。
クルンタイ銀行の調査機関クルンタイ・コンパスは7月12日付のリポートで、ペットを家族同様に育てる「ペットヒューマナイゼーション(ペットの人間化)」という興味深いトレンドを報告している。新型コロナウイルスの流行が背景で、世界のペットビジネスの市場規模は2026年に6兆9000億バーツまで拡大するという。
また、7月11日付ターンセタキは「LGBT(性的少数者)や高齢者を含む子供がいない世帯の消費者が増えている中で、新型コロナ流行で長時間の在宅を余儀なくされ、寂しさを解消するために動物を友人として飼いたい」というニーズが高まっていると説明。タイのペット市場は年平均5~10%の成長が見込まれ、2022年の市場規模は前年比10%増の4180億バーツになるとの予想を紹介した。
関連ではペットフードビジネスの拡大を予想する調査もある。少し古いがカシコンリサーチは2021年11月30日付のリポートで、タイは穀物や魚介類の廃棄物などペットフードに使用する原材料が豊富で、ツナ缶製造など食品加工のノウハウもあるため、動物用飼料の輸出の成長機会は大きく、2022年の輸出額は前年比20%増の24億ドルと世界3位になる見込みという。
7月30日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)は、素材大手サイアム・セメント・グループ(SCG)の決算を伝えている。今年上半期(1~6月)の売上高は前年同期比19%増の3050億バーツだったものの、純利益は187億バーツと同41%減の大幅減益となった。同社のルンロート社長兼最高経営責任者(CEO)によるとロシア・ウクライナ戦争に伴う原油相場の高騰が同社の原材料価格の上昇につながり、悪影響を受けたという。同CEOは「世界経済は今年下半期も引き続き極めて不透明で、事業環境は厳しい」との認識を示した。ただ第2四半期だけでは広範囲の事業での売上高の増加と市況を反映した販売価格上昇から純利益は前年同期比14%増の1525億バーツと増益となった。またこれらの経済条件を受けて同社は2022年の投資予算を従来の800億バーツから700億バーツに引き下げた。
TJRI編集部
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