カテゴリー: ニュース
公開日 2024.10.07
過去1週間あまりの間に、タイ経済発展の歴史を象徴する老舗企業のイベントが2つあった。タイのホテル大手デュシット・インターナショナルは9月30日、1970年に開業した高級ホテル「デュシタニ・バンコク」の建て替えを終え、新装オープンしたと発表した。同ホテルはバンコクの繁華街の1つシーロム地区で同社と小売り大手セントラル百貨店グループが開発中の大型複合施設デュシット・セントラルパーク(総投資額460億バーツ)の中核プロジェクトで、全客室から向かい側のルンピニ公園を見渡せるのが特徴だ。新ホテルは39階建てで、客室数は257室と旧ホテルの517室から大幅に減らしたことで客室面積は50平方メートル以上に拡大、高級化した。
9月27日に行われたオープニングセレモニーでは、デュシット・インターナショナルのチャニン副会長は「私の母がデュシタニ・バンコクをタイのホスピタリティーを世界に発信するかがり火として思い描いていたように、新しいデュシタニ・バンコクはレガシーをさらに押し上げることを目指す。この開業はデュシットの新たな幕開けとなるだけでなく、タイのホスピタリティーの新時代を象徴している」とアピールした。
タイ自動車グループ大手サイアム・モーターズ・グループは10月3日、バンコク中心街のパトゥムワン地区に新本社ビルともなる新たなオフォスビル「サイアム・パトゥムワン・ハウス」を披露する記者会見を行った。同ビルは33階建て、高さ136メートルで総工費は35億バーツ。「A Home for the Future of Work」をコンセプトに、ビジネスマン、スタートアップ、新世代のワーカーなどに、仕事とライフスタイルをシームレスに融合できるスペースを提供。同社のプラカシット・ポンプラパー社長は「イノベーション、生産性、サステナビリティー、ワークライフバランスを育み、オフィススペースの未来のベンチマークにしたい」と訴えた。
同社の公表資料によると、サイアム・モーターズ(SM)は1952年にタウォーン・ポンプラパー氏が新車・中古車の販売で創業し、タイの「ニッサン・ダットサン」の独占ディーラーとなり、1962年には「サイアム・モーターズ・ニッサン」の社名で日産自動車の最初のタイ工場を開設した。
その後、SMはサイアム・モーターズ・グループの名称のコングロマリットに発展。日産自動車に加え、コマツ、日立エレベーター、ダイキン、ヤマハ(楽器)、GSバッテリーなどの日本企業に加え、最近では韓国の起亜セールスとも提携。タイの自動車産業のトップリーダーとして認知され、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、マレーシアなどに事業ネットワークを拡大している。主な事業分野は、①自動車②自動車部品③建設・工業④ホスピタリティー・ライフスタイル⑤教育⑥投資・不動産の-6部門だと説明している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所は10月1日、日本産食品のタイ地方部への販路拡大、新規需要開拓に向け日本産食品プロモーション「JAPAN Premium Food(本物の日本のおいしさを体験)」を10月から展開すると発表した。ジェトロは昨年度、タイ北部(チェンマイ)、東北部(コンケン)で「Made in JAPAN on tour」と題する日本産食品のPRキャンペーンを実施。今年度も10月からチェンマイ県、コンケン県及び周辺県でJAPAN Premium Foodを展開する。具体的には日本産食材サポーター店に認定された地元の飲食店や小売店47店舗で、和牛、ホタテなど水産物、加工食品などの日本産食品の魅力をインフルエンサーやSNSなどを通じて消費者に発信する。
また、ジェトロは9月25~26日にプーケット県でタイ南部では初めてとなる商談会「Harmony of Taste JAPAN Food on tour 2024 in Phuket」を開催。バンコク拠点の輸入業者など28社が出展し、和牛また、ホタテ、コメ、ゆず加工品、調味料、日本酒などを、来場したタイ南部のリゾートホテル、レストラン、バーなどの飲食店関係者などのバイヤー約60社に売り込んだ。出展者からは「タイ南部のバイヤーと接する機会は初めてで、リゾート地でのニーズを把握することができた」などの声が聞かれたという。ジェトロは11月27~28日にチェンマイ県でも同様の商談会を開催する。
ジェトロによると、タイにおける日本食レストランの店舗数は、2018年から2023年の5年間で1.9倍に増加。特にバンコク・バンコク近郊5県以外の地方では2.5倍に増加している。
10月3日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、アナリストらは、世界のデータ利用量が急増する中で、タイへの新たなデータセンター投資が今後3~5年間で加速する可能性があり、電子、工業団地、受託生産、発電などの産業が主に恩恵を受けるとの見方を示している。
米グーグルは先週、クラウドサービス強化に向け、10億ドルを投資してバンコク都とチョンブリ県にデータセンター建設する計画を発表。同計画は2025~2029年の期間に1万4000人の雇用を創出し、タイの国内総生産(GDP)を年平均で1400億バーツ押し上げる効果があるという。タイ投資委員会(BOI)によると、データセンターとクラウドサービス関連での投資恩典の申請が46件、総額1680億バーツあった。グーグル以外でもアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、オーストラリアのNEXTDCなどが投資恩典の申請を行っているという。
CGSインターナショナルは、「東南アジア地域ではシンガポールがデータセンターの容量が最も大きいが、土地やエネルギーの供給が課題となっており、データセンター運用会社は域内で代替拠点を探すことを迫られる可能性がある」と指摘。「われわれは、今後3~5年の間、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンでの新たなデータセンター投資が加速すると確信している。特にマレーシアとインドネシアがその地理的優位性から中心的に恩恵を受け、国際的なコネクティビティーのゲートウェイになるだろう」との見通しを示した。
THAIBIZ編集部
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