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公開日 2025.09.24
9月13日付のネーションによると、タイのデジタル経済の市場規模は、2024年に前年比23.35%増の2兆4,960億バーツに達した。デジタル経済振興庁(DEPA)とIMC研究所が発表した最新調査では、人工知能(AI)の導入加速が今後の成長を牽引するとされ、2027年には3兆バーツ規模に到達する見通しだという。
同調査によると、2024年の成長を牽引したのは、前年比26.62%増の1兆8,500億バーツを記録したハードウェア・スマートデバイス分野。輸入34.4%増、輸出23%増と、国際需要の回復が後押ししている。次ぐデジタルサービスは19.54%増の3,677億バーツで、特にEC(電子商取引)と、それを支える物流分野が高成長を見せた。
ソフトウェア分野は8.46%の成長で、製品とサービスの両方がバランス良く拡大。国内生産は1,728億バーツ、輸出・輸入もともに8%前後の伸びを記録した。デジタルコンテンツ分野も14.41%増の506億バーツとなっている。
なお、雇用面ではソフトウェア分野が23.77%増と大きく拡大した一方、ハードウェア分野では自動化の進展により人員が5.05%減少した。
富士通タイランドは9月、在タイ日系企業に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)支援の方針を寄稿として発表した。イノベーションが主導する高度経済への転換を目指す国家戦略「Thailand 4.0」のもと、タイでは産業の変革が加速しており、特に人材流動性の高さに直面する市場環境において、日本企業の最大の課題は「意思決定のスピード」だと指摘する。
同社が支援したある製造メーカーでは、約200万点の部品と3,000社のサプライヤーをAIで管理し、精度90%の予測モデルを構築。年間で20億円規模の在庫削減を実現したという。従来、特定社員に依存していた業務知識を「誰でも使える組織の資産」に転換したことで、高い離職率への対応にもつながったとする。
AIの導入については、「人間の代替ではなく“バディ(相棒)”として活用する」という考え方を強調。「完璧を求めず、小さな成功から始めること」「既存資産を活かした統合的アプローチ」が、日系企業の文化と親和性が高いと述べている。
同社は今後も、技術導入にとどまらず、日本的な合意形成や品質重視の文化を尊重しながら、持続可能なDXの実現を支援する方針だ。
9月12日付のクルンテープ・トゥラキットでは、「タイが中所得国の罠から脱するための経済改革」をテーマに、提言を掲載している。現在、タイは一人当たり国内総生産(GDP)が約7,000ドルで停滞しており、国際的には中所得国上位と分類されているものの、成長率は頭打ちとなっており、高所得国への移行が実現していない。
特に問題視されているのが家計債務で、GDP比90%という脅威的な水準にまで上昇。これは実質的に国民の多くが「月収の9割を返済に充てている」状態であり、国内の購買力を大きく圧迫しているという。また、人口の高齢化と出生率の低下も進行しており、将来的には人口が現在の半分にまで減少するとの見方もある。
こうした構造的課題に対し、同紙は「経済の全面的な再起動(リセット)」が必要だと訴える。具体的には、①スマート農業の推進:AIやIoTの活用による生産性向上や高付加価値製品への転換、②航空宇宙やバイオ・循環型・グリーン(BCG)など次世代産業の育成:高スキル雇用を創出し賃金水準を引き上げ、③家計債務に対する短期的な支援策:返済猶予や債務減免、といった必要性を指摘している。
9月9日付のバンコク・ポストによると、タイ商務省外国貿易局(DFT)は9月7日より日本に訪問団を派遣した。農林水産省(MAFF)、海外貨物検査会社(OMIC)、および主要輸入商社(木徳神糧、伊藤忠フード、兼松)との会談を通じて、輸出促進と関係強化を図る。
日本では年間728〜764万トンの米が生産されているが、消費量は800万トンを超えており、年間約70万トンを輸入している。主な輸入国はアメリカ、タイ、オーストラリア、中国で、今年1〜8月の輸入量は40万2,000トンを超え、前年同期比で9.15%の増加となった。
日本が輸入する米の37〜45%(25万7,000〜33万6,000トン)はタイからだが、今年1〜8月の輸入量は約14万8,000トンと、前年同期比で19.3%減少した。背景には、日本の消費者が短粒種(ジャポニカ米)を好む傾向が強まっていることがある。しかし、国内生産量だけでは需要を満たしておらず、短粒種や中粒種を輸入することで不足分を補っている状態だ。
タイから日本への輸出米は主に長粒種で、白米、もち米、ジャスミンライス(ホムマリ米)などが中心。約90%が日本国内の食品加工業(酒造やスナック製造など)に使用されており、その品質と基準の高さで評価されている。DFTは今後、ジャポニカ偏重の市場環境下でも、日本市場におけるタイ産米のシェアを30万トン程度に維持したい考えだ。
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、今年上半期(1〜6月)に日本を訪れたタイ人観光客は68万500人にのぼり、前年同期比10.1%増と堅調な回復を見せたという。8月19日付のタイ紙クルンテープ・トゥラキットが報じている。全体の訪日外国人は2,151万8,100人(前年同期比21%増)で、タイは国別で第6位。その他トップ10市場は以下のとおり。
①韓国:478万3,500人(+7.7%)、②中国:471万8,300人(+53.5%)、③台湾:328万4,700人(+10.3%)、④米国:170万1,300人(+26.7%)、⑤香港:127万1,100人(−0.4%)、⑥タイ:68万500人(+10.1%)、⑦オーストラリア:56万7,200人(+22.8%)、⑧フィリピン:44万8,100人(+11.5%)、⑨ベトナム:36万4,500人(+9.8%)、⑩シンガポール:34万5,200人(+15.1%)
中国や米国、オーストラリアなどが大幅に増加する中、タイからの訪日者は特に若年層や地方在住者による旅行ニーズが注目されている。航空便の再拡充やビザ要件の緩和、日本の円安も追い風となっており、下半期の動向が期待される。
THAIBIZ編集部
サラーウット・インタナサック
THAIBIZ編集部
タニダ・アリーガンラート
THAIBIZ編集部
和島美緒
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