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公開日 2025.12.03
タイ投資委員会(BOI)によると、タイ国家電気自動車政策委員会(EV Board)は11月25日、アヌティン新政権下で初となる会合を開き、電気自動車(EV)の振興策と供給過剰リスクへの対応に関する主要な制度改定を承認した。エクニティ副首相兼財務相が議長を務め、既存制度の実効性向上と輸出促進を柱とする内容となっている。

まず、奨励策「EV3.0」および「EV3.5」の登録期限を延長。EV3.0は2025年12月から2026年1月へ、EV3.5は2027年12月から2028年1月へと後ろ倒しした。補助金支払いについては、メーカーが約束した国産化目標の達成と紐づける形に変更され、基準未達の場合は支払いが保留される。また、国産化義務の延長手続きも緩和し、EV3.0では複数工場の活用を認め、EV3.5では他社との協業による達成を可能にする。
バッテリーセル輸入の暫定ルールについては、2026年6月末まで延長される一方、2026年1月以降は「輸入セルを国産扱いできる上限」がEV工場出荷価格の10%に制限される。参加企業は国内調達計画の提出が求められる。さらに、ハイブリッド車(HEV)向け支援を前倒しし、工業省がCO₂排出や部品の国産比率、先進運転支援システム(ADAS)基準などのガイドラインを早期に策定するという。
供給過剰リスクへの対応としては、輸出インセンティブを強化。EVを輸出した場合、国産義務のカウントを「1台=1.5台」とし、輸出証明提出の期限を翌年6月末まで延長した。バンクギャランティーの適用期間も6ヶ月延長する。また、補助金を受けていない輸入登録車について、物品税差額と罰則金を支払うことで国産義務から除外できる「リバース・エグジット」制度も導入した。これにより輸入比率の高いメーカーにとって、生産義務の負担が相対的に軽くなる効果もある。
EV市場は依然として成長が続いており、EV3.0・EV3.5の登録台数は2025年9月時点で23万8,000台。この奨励策によりEVサプライチェーン関連事業への累積投資承認額は10月末時点で1,400億バーツに達した。急速充電器も7,096基に増加しており、国家の「30@30」目標に向けた制度整備が進んでいる。
日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所は11月21~23日の3日間、バンコク市内のサイアム・パラゴンで、タイ国内最大規模の訪日旅行博「Visit Japan FIT Fair #17(第17回FITフェア)」を開催した。
日本とタイから計118団体・160ブースが出展。今回は「まだ見ぬ日本、心を奪う地方の旅」をテーマに、タイ人に馴染みのある著名観光地に加え、これまで十分に知られてこなかった地方の魅力発信に重点を置いた。
会場では航空券や宿泊施設など旅行関連商品の特別プロモーションが提供されたほか、訪日旅行の専門家による旅行相談や最新情報の提供も実施。ステージイベントには俳優や人気インフルエンサーらが登場し、来場者の関心を集めた。
11月21日に行われたオープニングセレモニーでは、JNTOバンコク事務所の中杉元所長が「旅はオンラインで簡単に予約できるが、心に残る旅づくりの第一歩はリアルな体験から始まる。日本各地の“本物”の魅力が集結する本フェアで、出展者との対話を通じ、地方の新しい旅を発見してほしい」と呼びかけた。
JNTOによると、今年1〜10月のタイからの訪日客数は約94万人で、前年同期比6.5%増。国別の訪日客数(2024年)では、タイは韓国、中国、台湾、アメリカ、香港に次いで6位となっている。

11月20日付のネーションによると、エクニティ副首相兼財務相は11月27〜29日、タイ投資委員会(BOI)代表団を率いて日本を公式訪問した。投資家の信頼強化と電気自動車(EV)・半導体・新エネルギーなどハイテク産業への投資誘致を図る狙いだ。訪日は就任後初の大規模ロードショーで、BOIと三井住友銀行が共同開催した「Thailand–Japan Investment Forum 2025」には、400名以上の日本企業幹部が参加登録したという。
今回の代表団は、トヨタ、ホンダ、いすゞ、マツダ、三菱、日産の6大自動車メーカーと会談し、内燃機関からxEVへの移行を後押しする最新の優遇策を提示したと見られる。また、日本の経済産業省(METI)を訪問し、産業競争力や新エネルギー分野での長期協力について協議した。半導体やスマートエレクトロニクスのリーディング企業、主要銀行とも個別に面談し、サプライチェーン強化に向けた投資の呼び込みを狙う。
BOIによると、日本は累計で最大の投資国であり、2020〜2025年(9月時点)に1,493件、4,200億バーツ超の投資申請があった。2025年1〜9月の申請額も前年比約2倍の737億5,000万バーツに達し、電機・電子、化学、石化、自動車部品が中心となっている。BOIは今回の訪日を通じ、日本企業の既存投資の維持・拡大と新規投資の獲得を目指す。

THAIBIZ編集部
サラーウット・インタナサック / 白井恵里子 / 和島美緒

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