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連載: タイ発日系製造業チームで挑むGX
公開日 2026.06.18 Sponsored
本連載では、在タイ日系製造業の中小企業が集結し、タイの食品製造業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)実装に挑むプロジェクト「RaiWay(ライウェイ)」に参画する各社の技術や参画メリットを紹介します。あわせて、一社ではなく「チームで挑むGX」の可能性とその行方を追っていきます。
タイの製造業では、省エネや二酸化炭素(CO2)排出量削減への関心が高まりつつある一方で、現場では「何から始めればよいのか分からない」という声も少なくない。そうした課題に対し、旭光電機は、製造現場の電力使用量を設備・工程単位で可視化するソリューション「wattXplorer(ワットエクスプローラ)」を軸に、タイ市場での実証やパートナー連携を進めている。
和田貴志代表取締役社長に、wattXplorerの特長や、RaiWay参画を通じて見出した「GXの入口」としての役割について聞いた。
目次

当社は、自動ドアセンサーや車載電装品、IoT機器など、製造現場や社会インフラに近い領域で製品開発を重ねてきた電子機器メーカーです。センサー、制御、通信といった技術を、現場で実際に使える形へ落とし込むことを強みとしています。
1952年の設立以来、自動ドアや鉄道・船舶関連のOEM製造(相手先ブランド製造 )を主力事業としてきました。しかし、コロナ禍で鉄道利用が減少するなどの影響を受け、売上が急減したことをきっかけに、自社商品の開発に着手。その一つが、昨年4月に日本国内で販売を開始したwattXplorerです。
wattXplorerは、現場の設備構成や生産条件を確認しながら電力データを取得し、改善余地を探るための実務的なツールです。既存設備へ簡単に後付けできるため、設置工事や生産ラインの停止は不要。計測した消費電力は無線ネットワークを通じてクラウドや施設サーバーへ送信され、リアルタイムでモニタリングできます。
電力使用量を可視化することで、稼働時間外の待機電力や工程間の負荷の偏り、設備更新・運用改善の優先順位などを検討しやすくできる点が特長です。タイ、インド、ベトナムで無線認証を取得しており、これらの国で無線機器として利用・販売が可能です。
当社は以前からタイに複数のサプライヤーを持っていましたが、 2024年11月にYN2-Tech(Thailand)Co., Ltd.(以下、YN2-Tech)の中村亮太社長と出会ったことをきっかけに、wattXplorerのタイ国内での販売を開始しました。
現在はYN2-Techを通じて、利用効果を実感していただくための「デモ機」を十数社へ設置しています。その中で、漏電が発生しやすいタイ特有の環境や、これまで見過ごされてきた待機電力の大きさなど、さまざまな課題が“見える化”されてきました。
一方で、古い工場では、配線図が残っていないために配線と機器の接続関係が把握できなかったり、工場内にWi-Fiや電源設備が整っていなかったりと、日本ではあまり見られない課題に直面することもあります。そうした点については、パートナー企業などと連携しながら、一つひとつ解決策を模索しているところです。

タイでは近年、電気料金の高騰を背景に、製造業を中心に省エネへの関心が高まっています。さらに、エネルギーコストの抑制だけでなく、取引先からCO2排出量の把握を求められるケースも増え始めています。一方で、中堅・中小企業の現場では、「必要性は分かるが、何から始めればよいか分からない」と、GXの“入口”を模索している企業も少なくありません。
これは日本でも同様ですが、いきなり大規模な設備投資や高度なカーボンマネジメントに取り組むのは容易ではありません。まずはエネルギー使用量を“見える化”し、どこに削減余地があるのかを把握する。その上で現場改善につなげていくことが、GXの第一歩になると考えています。
YN2-Techの中村社長との対話を通じて、RaiWayが見据える食品・農業分野のGX課題と、旭光電機が培ってきた電力計測・現場改善の技術が結び付く可能性が見えたことが、参画のきっかけです。
特に、加工、乾燥、冷却、搬送、包装といった食品製造工程では、多くの電力が使用されています。そうしたなか、wattXplorerが「どの工程を優先的に改善すればよいか」を判断するための定量的な根拠を提示する「GXの入口」になりうると考えました。
さらに、RaiWay全体では、食品残さ処理や濃縮・乾燥、高付加価値化など、食品・農業バリューチェーンに関わる複数のテーマにおいて、参画企業の機器・サービスの導入を提案しています。その中でwattXplorerは、新しい機器・サービス導入後の電力使用量やCO2排出量の変化を可視化する役割も担っています(図表1)。

単独では出会えなかったであろう企業とのコラボレーションが、次々と実現していることです。例えば、RaiWay参画企業である川口精機のスクリュープレス脱水機には、すでにwattXplorerを設置しており、脱水機稼働時の電力使用量を計測する準備が整っています。
また、中村亮太社長のネットワークを通じて、タイの教育・研究機関との連携も進んでいます。
泰日工業大学(TNI)では、wattXplorerのデモ機を用いて授業での活用や共同開発の可能性を検討しているほか、キングモンクット工科大学ラートクラバン校(KMITL)付属高等専門学校では、5月27日から電気電子工学科のプロジェクト型学習「Project-Based Learning(PBL)」が始まりました。
工場向けスマートエネルギー活用をテーマとするこの授業では、wattXplorerを用いた電力データ取得やダッシュボードによる可視化、人工知能(AI)を活用した分析、現場観察に基づく課題仮説の構築などを想定。 学生にとっては、GXを抽象的な概念として学ぶだけでなく、実際の電力データから課題を発見する実践型の学習機会になると考えています。
タイでGXを広げていくためには、製品の普及のみならず、現地で使いこなせる人材、データを読み解ける人材、そして現場改善へ落とし込める人材の育成が欠かせません。教育機関との連携は、wattXplorerの市場検証であると同時に、将来のGX人材育成にもつながる取り組みだと考えています。
現在、YN2-Techをはじめとする関連企業とともに、現地で使いやすいユーザーインターフェース(UI)やデータ取得方法、電気使用量可視化の運用手順などを共同で検討しています。
その中で感じているのは、日本での提案方法をそのまま持ち込むだけでは不十分だということです。タイの工場環境や現場オペレーションに合わせた導入方法を設計するとともに、現地パートナーとの役割分担を含めた運用体制づくりも重要になります。
当社としては、タイの顧客から得られた反応や、デモ機導入先での検証結果を踏まえながら、現地で本当に使いやすい提案の形へと磨き上げていく方針です。

短期的には、タイの日系製造業や食品・農業関連企業における電力可視化ニーズを検証し、現場改善につながる事例づくりを進めていきたいと考えています。
中長期的には、RaiWayを通じてGX実装モデルを構築し、タイから東南アジアへ展開していく可能性を探っていきたいです。
GXは、単なる掛け声だけでは前に進みません。現場で実際に測定し、分かりやすく可視化し、改善へつなげていく。その積み重ねが重要だと考えています。 タイでの取り組みを通じて、日本の中小製造業がチームとして海外のGX推進に貢献できる可能性を示していきたいと思います。


旭光電機株式会社
1952年設立。各種センサ/コントローラーおよび各種制御装置の開発・設計・製造を行う。タイでは消費電力とCO2排出量を可視化する「wattXplorer(ワットエクスプローラ)」を展開。
Website:https://www.kyokko.co.jp/
お問い合わせ:https://www.kyokko.co.jp/contact

THAIBIZ編集部
白井恵里子

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