カテゴリー: ニュース
公開日 2023.04.25
4月19日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)は米調査会社ガートナーによるバッテリー電気自動車(BEV)市場に関する分析記事を掲載している。タイトルは「Moment of Truth for BEVs」だ。同記事はまず将来のBEV普及加速では、各国政府と自動車産業にとって幾つかの要因が2023年に解決すべき真の課題となるだろうと指摘。ガートナーのアナリスト、ペドロ・パチェコ氏は「2023年は完全電動化に向けた正念場になる」と強調した上で、「欧州での電力価格の急騰で、BEVのランニングコストの魅力は低下している。英国やスイス、オーストラリアなどの国では、EVに課税し始めている」と、まず欧州での現状と課題を説明した。
さらに、「中国は2023年初めにEVへの補助金を廃止し、世界の充電インフラは依然、カバー率が低く、サービス品質は低い。リチウムやニッケルなど原料価格の急上昇がBEVコスト上昇を加速させており、OEMメーカーは、内燃機関(ICE)車との価格差を縮小するのが困難になるだろう」と指摘。結果として「BEVの販売ペースは大幅に鈍化、一部市場では完全に停滞し、BEV投資は採算分岐点に達するのに時間がかかるだろう」との見通しを示した。
また、ガートナーのアナリスト、マイク・ラムゼイ氏は、「新型コロナウイルス流行が始まってから2年以上、自動車メーカーは依然、半導体不足やそれに伴う自動車生産の減少がいつ終わるのか見通せていない」と述べ、サプライチェーンの問題は2023年も続いているとの認識を示した。
こうした事業環境の悪化の中で、一部の自動車メーカーはテクノロジー企業への変貌を試みているものの、その企業文化が主な障害になっているという。パチェロ氏はこうした伝統的自動車メーカーは「デジタルに強い自動車メーカーとの格差の拡大を防ぎ、テクノロジーの活用を通じた収益拡大の出発点としなければならない」との見方を示す。一方で、世界中でEVへの需要が高まる中で、中国企業は中国国内でバッテリー製造能力や主要原料鉱物へのアクセスが良好で成長チャンスを生かせる良いポジションにあるという。
さらにガートナーのアナリストらは、2025年までに走行する新車の95%のオペレーティングシステムの一部をハイテク大手が占有するだろうと予測。テクノロジー大手は、「グーグル・オートモティブ・サービス」や「アップル・カープレイ」などの自動車内のソフトウェアプロバイダーとなって既存の自動車Tier1サプライヤーに取って代わり、自動車オペレーティングシステム分野でのシェア拡大に向け、自分たちのエコシステム活用を始めているという。
そして、フォックスコン、ファーウェイ、アリババ、シャオミー、テンセント、ソニーなどのテクノロジー大手が自動車の開発、製造、販売にまで直接に関わりつつあるとのトレンドを指摘。パチェコ氏は、「伝統的なOEMメーカーやサプライヤーにとって単独で生き残っていくことは不可能だ。各社は、自動車産業で利益を確保し、競争力を持ち続けたいなら、少なくとも一部のデジタル大手とパートナーシップを構築しなければならない」と助言している。
17日付バンコク・ポスト(3面)はバンコク都のチャチャート知事の独占インタビューを掲載している。昨年5月の就任以来、11カ月が経過する中でのレビューで、選挙公約だった216の政策について同知事は、単に選挙戦に勝つためのものだったのではなく、バンコク都の長年の問題の多くを解決し、すべての人にとって住みやすい都市に変えるために重要だと強調。「216の政策のうち196は完了し、大幅な進展があったと喜んで発表する。残り20の政策は、まだ現在の状況とバンコクのニーズに整合しておらず、調整中だ」と報告。具体的には、「過去1年、われわれはバンコク都の15の主要道路について、よりクリーンにし、歩行者が戻ってこれるように、無許可の屋台業者を排除した。また、省エネと夜間の安全性向上のため、7000以上の街灯を発光ダイオード(LED)に切り替えた」などとアピールした。
9日付バンコク・ポスト(2面)によると、タイ運輸省は、タイ湾側のチュンポン港とアンダマン海側のラノン港を結ぶ陸上貨物輸送路を整備する「ランドブリッジ」計画について、貨物輸送でイラクの協力を求めていることを明らかにした。チャヤタム運輸次官が7日に、在タイ・イラン大使と面会し、このプロジェクトについて協議したという。同次官はこのランドブリッジを使った場合には、マラッカ海峡を抜ける航路より5日分短縮されるという。供用開始は2030年の予定としている。
TJRI編集部
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