カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.11.15
アジア太平洋経済協力会議(APEC)のビジネス諮問委員会(ABAC)は11月1日に記者会見し、APEC首脳会議に合わせて11月16~18日に開かれる「APEC最高経営責任者(CEO)サミット2022」の準備状況などについて説明した。タイ・バンコクでのAPEC首脳会議の開催は19年ぶり。CEOサミットではプラユット首相が基調講演を行う予定で、ABACはタイへの投資誘致、経済回復の好機になるとの期待を表明した。
今回のAPEC・CEOサミットにはタイからは200人、アジア太平洋地域からは500~600人のビジネスリーダーが参加し、地域の経済統合や持続可能な経済社会の実現などについて提言、意見交換する。CEOサミットの議長を務めるポットABAC委員は「世界は食料不足、電力危機、インフレ、(新型コロナウイルスの)パンデミックなどの課題が山積しており、民間企業も早急に解決策を見出すことが求められている。政治的対立を乗り越え、地域内の経済を活性化させ、貿易・投資の門戸が開かれると期待している。CEOサミット2022は世界の重要な方向性を議論する場となり、タイにとってもコロナ収束や国境移動の再開を受けて、現在の課題に取り組み、経済を回復させる良い機会になるだろう」と述べた。
今回のCEOサミットでは、17日にプラユット首相が開幕講演を行うほか、フィリピンのマルコス大統領、ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席、中国の習近平国家主席、フランスのマクロン大統領、インドネシアのジョコ大統領、米国のハリス副大統領などの講演が予定されている。一方、民間からは世界経済フォーラムを主宰するクラウス・シュワブ氏や配車アプリのグラブの共同創業者タン・フイリン氏のほか、ジョンソン・アンド・ジョンソン、メタ、グーグル、エクソンなどのグローバル企業幹部が参加。またタイからは通信大手トゥルー・コーポレーションのスパチャイ会長(CPグループCEO)やセントラル・リテール・コーポレーション(CRC)のヨン最高経営責任者(CEO)、PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)モントリCEO、Bグリム・パワーのハラルド・リンク会長兼社長などが登壇する予定。
CEOサミット2022のエグゼクティブ・ディレクターを務めるカセムシット氏によると、今回の会合のテーマは「Embrace, Engage and Enable」で、アジアでの経済連携、持続可能な経済の創出、男女平等、アジア太平洋地域の二酸化炭素排出削減戦略、世界の食料安定供給、デジタル化などについて議論するという。
パネルディスカッションに参加したタイ商工会議所(TCC)のサナン会頭は「APEC・CEOサミットはタイにおける食品、観光、ヘルスケア産業、自動車産業、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデルなどの分野でタイへの投資を促進し、競争力を海外にアピールする大きなチャンスだ。また、タイの起業家が変化する経済へ適応し、ビジネスについてより注意深く学ぶきっかけになるだろう。現在の世界市場と競争できるようなテクノロジーの活用や、持続可能性の促進などの大事な機会にもなる」と強調。このCEOサミットには、Young Entrepreneur Chambers of Commerce(YEC)会員企業100社が参加、ソフトパワーを活用し、グローバル市民の視点を通じてタイの文化を広めることも検討していることを明らかにした。
さらに、サナン会頭は「CEOサミットを通じた民間企業の準備は整った。タイ人にとって進歩と繁栄の原動力となる世界中のビジネスリーダーを迎えるチャンスとなる。サミットは1企業が利益をもたらすだけではなく、全産業が議論に参加することで貿易や投資に波及し、タイ経済を前進させ、タイを含むアジア太平洋の経済の価値を高めるメカニズムとなるだろう」と締めくくった。
TJRI編集部
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