カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2016.12.22
目次
Director & Chief Executive Officer
早野 高 はやの たかし
東急百貨店は2015年6月、バンコク郊外・シーナカリン通り沿いにある商業施設「パラダイスパークショッピングセンター」内に、海外2店舗目となる「バンコク東急百貨店パラダイスパーク店」をオープンした。東急百貨店とバンコクの有力企業であるMBK PublicCompany Limited.は、双方の子会社の共同出資により合弁会社PT Retail Corpo-ration Limited.を設立、MBKグループが運営するパラダイスパークに2店舗目の出店が決まった。
2店舗目を取り仕切る早野高氏が、タイにある〝本物の日本のモノ〞を扱う売り場を設けるという構想を持ったのはオープン間もなくのこと。
「ご来店いただいたお客様の、『日本の百貨店なのに、なぜ日本のものが少ないのか』との声にハッとさせられました。すぐに”日本の売り場〞を設けようと社内で議題に掲げ、新たな取り組みに挑戦する大切さを浸透させながら方向性を確認。日系の各取引先に出店交渉をスタートしました。しかし、郊外の百貨店としてはまだまだ認知度が低いため、出店合意に至るまでは本当に苦労の連続でした」。
パラダイスパーク店は〝上質な生活を提案する、ライフスタイル型百貨店〞がストアコンセプト。
近隣に居住する中・高所得層がメインターゲットだ。また、近隣エリアには新規の住宅建設も予定されており、さらなる消費需要が見込まれているという。
構想から6ヵ月の準備期間を経て今年7月に設けられた、日本のものだけを集めた常設コーナー『JAPAN Scramble』には、日本で買ったものや食べたものを探しに多くのタイ人が訪れる。
ここでは日本ブランドの食料品、日用雑貨、化粧品・美容雑貨、本、介護用品などを取り扱うほか、カフェや旅行代理店などもすべて日系のテナントで構成されている。中でも日本の果物、焼き芋などにはすでにリピート顧客もおり、早野氏によれば商品数、売り場面積は、今後さらに拡大・充実させていく計画だという。
同店では年に3回ほど日系飲食店、食品会社などが出店する日本イベントを予定している。初めて開催した9月のイベントでは約600m²を使い40のブースが出店、連日大盛況で出店者からも想定以上の売上であったと、同地域に住む顧客の日本のモノ・コトへの興味の深さとともに、購買力の高さを実感したという。
イベントでは発泡スチロールやプラスチック製の器やスプーン・フォークなどを使って飲食を提供したところ、来場者から「器などもちゃんとしたもので提供してほしい」との指摘を受けたという。早野氏は、「お客様は〝とりあえずではない、本物の日本〞を求められていると、あらためて実感した瞬間だった」と話す。
また、味噌汁の実演販売を行ったところ、熱心に見て、作り方を聞く顧客がとても多く、自炊率が意外にも高いことを知り驚いたという。タイでは屋台などで食べ物を買って家で食べる中食の文化が根強い一方で、同店では日本食のレシピ本や調味料、食料品などが売れており、価格の高いものでも売れていく傾向にある。
「日本からタイのイベントに短期出展しても、それで終わってしまっては顧客に対して継続的に日本の良さを伝えられません。当店ではイベント後も『JAPAN Scramble』に常設コーナーとして場所を設けていただけます。日本のものであれば、なんでも大歓迎です。タイの大手地場小売店と差別化を図っていくためにも、今後は生鮮食品、サービス、飲食店なども〝スクランブル〞に増やしていきたいと考えています。日本をよく知る本物志向のタイ人消費者の購買意欲は、良い意味で期待を裏切ってくれるはずです」。
東急パラダイスパーク店内にある日本専門コーナー 「JAPAN Scramble」
株式会社東急百貨店
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
+81(0)3-3477-3111
www.tokyu-dept.co.jp
PT Retail Corporation Ltd.
61 Srinakarin Rd., Nongbon, Pravet, Bangkok 10250
02-787-2626
[email protected]
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