ArayZ No.112 2021年4月発行タイ会計・税務・法務
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カテゴリー: 会計・法務
公開日 2021.03.31
タイは、在留日本人が多い国として世界的に見ても上位に入る国である。駐在時にタイで投資を行ったり、不動産を購入したりする人もおり、温暖な気候や親日国であることからも、リタイア後にタイで余生を過ごす日本人は多い。
そこで今回は、タイのビジネス法とは少し離れてしまうが、タイに財産がある日本人の相続に対して適用される法について解説する。
海外に財産を有する日本人が死亡した場合に、どの国の法律が適用されるかについては、相続手続きの最初に検討する必要のある重要な点となる。
死亡した日本人(以下「被相続人」)がタイに財産を有する場合、日本とタイ、どちらの法律が適用されるのだろうか。今回は、遺言がない場合として記述する。
日本では「法の適用に関する通則法」という法律(以下「通則法」)が定められ、相続についてもどの国の法律が適用されるかが規定されている。
通則法第36条によれば、「相続は、被相続人の本国法による」とされており、日本人であれば日本法が適用されることになる。
もっともタイの財産についてはその相続手続きに関し、タイの行政機関や民間機関で手続きを行う必要が出てくるため、タイにおいてどの国の法律が適用されるのかを合わせて考慮する必要がある。
この点について定めたタイのACT ON CONFLICT OF LAWS B.E. 2481(以下「タイ抵触法」)の場合、対象となる財産(以下「相続財産」)が不動産か動産かにより、適用される法が日本法となるかタイ法となるか、さらには日本でもタイでもない第三国法となるかが決まる。
タイ抵触法第37条においては不動産の所在地の法による、とされている。このため不動産については、例えばタイに不動産であるコンドミニアムを所有している場合、当該コンドミニアムの所在地であるタイの法律が適用されることとなる。
他方、タイ抵触法第38条では動産について、被相続人の死亡時の居住地における法によるとされている。つまり、例えば被相続人がタイで死亡した場合の動産(銀行預金を含む)については、被相続人死亡時の居住地であるタイの法律が適用されることになる。
このことから、一般的にタイでコンドミニアムについて所有権移転を行う場合はタイの法律に従い、その他タイの動産については被相続人の死亡時に居住していた地の法律に従い、各手続きを行うこととなる。
もっとも被相続人が遺言を作成している場合には、別途検討が必要となる点注意が必要であり、さらに遺言がある場合でも、タイの財産についての遺産分割手続きには裁判所における相続管理人の選任が必要である。今後、これらの点についても寄稿する予定にしている。
TNY国際法律事務所
日本国弁護士
藤原 杯花
17年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請などのサービスを提供している。
URL : http://www.tny-legal.com/
CONTACT : [email protected]
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THAIBIZ編集部
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