最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中
公開日 2025.08.27
8月14日付のネーションによると、タイ投資委員会(BOI)は同日、日本貿易振興機構(ジェトロ)やバンコク日本人商工会議所(JCC)と会合を開き、日本企業による投資動向と今後の展望について協議した。ジェトロとJCCが実施した最新調査では、タイ経済の見通し指数は2024年後半の「-11」から、2025年前半には「-7」、同年後半には「-2」まで改善すると見込まれており、回復基調への期待が高まっているという。
特に関心が寄せられているのは、ハイブリッド車(HEV)、電子機器、機械、食品、金属製品の5分野。また、繊維、化学、デジタル、サービス、グリーン産業、スタートアップなど新たな分野への投資も拡大している。BOIは、電気自動車(EV)・電子機器における現地調達の促進やHEV生産支援など、日本企業向け施策を次々に導入している。
会合では、BOIのワンストップサービスセンターや、タイ財務省・労働省・知的財産局による電子化・迅速化の取り組みも紹介され、企業からは高い評価が寄せられた。日本からの投資申請は過去10年で2,620件、総額7,000億バーツ超に達し、依然として最大の投資国である。
8月15日付のタイ紙クルンテープ・トゥラキットによると、タイ商務省とタマサート大学は、タイの輸出競争力維持に向けた構造転換の提言を発表した。報告によれば、タイの世界輸出シェアは2019年の1.4%から2023年には1.3%へ低下。米中対立や地政学的リスク、経済不確実性のなか、電子産業と自動車産業の再構築が急務となっている。
注目されるのは、①次世代電子クラスター(NGEC)と②次世代自動車クラスター(NGMC)の2分野。電子では集積回路(IC)やプリント基板(PCB)を含む部品製造から家電までを網羅し、近年は中国・台湾のPCB企業による2,000億バーツ超の投資流入、輸出額も3倍近くに拡大。しかし、上流工程の誘致や国内連携の強化が課題として残るという。
自動車では、HEV輸出が好調な一方で、バッテリー式電気自動車(BEV)やスマート部品への対応、コスト・規制面での見直しが求められている。両クラスターの連携や、アフターマーケットとスマート自動車部品の市場への進出も今後の鍵となる。
また、半導体産業では戦略の不在が指摘されており、年内にもBOI主導で国家戦略が策定予定。設計・製造・パッケージング・フォトニクスといった各分野への本格支援が提案された。
8月16日付のクルンテープ・トゥラキットによると、世界のハーブ市場は拡大を続けており、2024年の小売市場は約605億ドル、2029年には約784億ドルに達すると見込まれている。タイの小売市場も前年比7.1%増の約12億6,000万ドルに成長し、世界第10位にランクインした。
一方で、タイは生薬、抽出物、精油のすべてにおいて依然として「純輸入国」の状態にある。特に抽出物分野では、輸出額1,150万ドルに対し、輸入は1億4,070万ドルと大きな貿易赤字を抱えている。背景には、高度な抽出技術の不足とサプライチェーンの未整備がある。
タイ国内では、食品・医薬品・化粧品・スパ製品などにハーブ素材が広く活用されているが、現行の関税コードでは輸出統計が正確に集計されていないという。これを受け、関税局はハーブ製品向けの統計分類整備を進めており、今後の輸出支援体制構築が期待される。
政府は現在、「Think Wellness, Think Thai Herb(健康といえばタイハーブ)」キャンペーンを展開し、タイハーブの信頼性とブランド価値を国際的に高めようとしている。地域の伝統知識と現代科学・技術の融合による製品開発が進めば、タイハーブは新たな「ソフトパワー産業」として、健康・サステナブル志向の世界市場で大きな存在感を発揮する可能性がある。
8月13日付のバンコク・ポストによると、2025年上半期、タイ人旅行者にとって最も人気の海外渡航先が中国となった。タイ旅行代理店協会(TTAA)によると、6月の日本渡航者数は前年同月比4.6%減少。一方、中国向けパッケージツアーは価格が日本の30〜50%と割安感があり、予約が伸びているという。
人気の背景には、中国側の観光開発の進展と新興都市の台頭がある。今年の年末シーズンには、東北部ハルビンへのチャーター便がタイ・エアアジアから発表され、ツアー価格も4万バーツ以下に抑えられている。「強制ショッピング」制度の撤廃など、旅行者視点の改善が進んでおり、旅行会社側もコストを抑えやすいのも追い風になっている。
その点日本では、地震予言が話題となり、訪日需要の冷え込みも懸念されている。また、交通費の高騰などを背景に、ツアー価格を4万バーツ以内に収めるのが難しく、販売面でも苦戦している。
それでも、日本は依然としてリピーターを中心に根強い人気を持ち、買い物や“なじみの地”を再訪する旅行者の一定数は維持されているという。同紙では、今後は、ビザ要件や入国審査の厳格化も含めた制度面がタイ人旅行者の動向に影響を与える可能性があるとしている。
THAIBIZ編集部
サラーウット・インタナサック
THAIBIZ編集部
タニダ・アリーガンラート
THAIBIZ編集部
和島美緒
THAIBIZ編集部
SHARE