カテゴリー: 特集, 食品・小売・サービス
公開日 2024.07.01
TJRIでは6月11日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会「Open Innovation Talk」の第27回として、ASEAN諸国を牽引する飲料大手タイ・ビバレッジ(タイビバ)の副社長/チーフ・サステナビリティ・戦略担当のトンジャイ・タナチャナン氏に登場いただいた。同社は食品・飲料業界において安定的で持続可能なASEANのリーディングカンパニーになることを目指し、域内でのパートナーシップを推進している。その一環として2020年より、複数のタイ企業と共同で「Sustainability Expo(SX)」を毎年開催。5回目となる今年は、9月27日(金)〜10月6日(日)に開催予定だ。
目次
トンジャイ氏:2006年にシンガポールにて上場し、主にタイをメイン拠点としビジネスを展開している。東南アジアではタイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポールに、そして欧州ではスコットランドにも拠点を持っている。最も有名な商材はチャンビールだが、大豆を使用した健康飲料、ビール、蒸留酒など多岐にわたる飲料ブランドを展開している。
タイ・ビバレッジは、母体であるTCCグループの一つの事業柱となっている。TCCグループは不動産会社のフレーザーズやアセットワールド、ハイパーマーケットのBigCなどを展開している、タイの中でも有数の財閥の一つだ。
トンジャイ氏:ここ10年間、グループ全体でサステナビリティに力を入れており、具体的には①ネットゼロ、②水資源の確保、③パッケージングのリサイクルなどーの3つの目標に向けて取り組んでいる。
サステナビリティに対するタイビバのアプローチの中心にある考え方はESG経営だ。これを軸にサプライチェーンやビジネスパートナーシップなどの関係者へ、そしてさらにパブリックへと活動の幅を広げている。社外とのコラボレーション活動は具体的に、公衆衛生、教育、スポーツ、アート・文化、コミュニティ開発など主に6つの分野で行っており、今回紹介するSXもこのレイヤーに位置する活動だ。サステナビリティの取り組みにおいては「パブリックプラットフォーム=国民をどう巻き込むのか」が肝心であり、今日はこの観点で私たちの活動を紹介する。
トンジャイ氏:ラマ9世が提唱した「足るを知る経済」の概念をベースとして、2020年から毎年開催している。5回目となる今回は、9月27日(金)から10月6日(日)にわたってハイブリッド開催する(会場はクイーンシリキットナショナルコンベンションセンター)。
SXのターゲットは「B2C2B」だ。つまり、まずは大企業が行動を起こすことで消費者の行動を変える。マーケットが変化すれば中小・スタートアップ企業のビジネスにも良い影響がもたらされる、という考え方だ。
昨年のSXでは、出展組織は246団体にのぼり、570人のスピーカーが登壇した。会場面積は70万㎡、来場者は36万2,859人、うち61%が18~35歳の若年層だった。フードフェスの出展は409店舗、売上は3,600万バーツを記録した。また、2,073キログラムの食品廃棄物を肥料に変換することで有効活用を実現したほか、20トンの二酸化炭素を削減、フードロスの寄付など、環境インパクトの削減にも本気で取り組んだ。
トンジャイ氏:国際機関や多数の国の大使館と連携に向けた協議を進めており、今年は日本大使館による衛星技術の紹介も予定している。G階では、「International & Innovation」と題する情報発信を行う。具体的なテーマは「SEP Inspiration」 、「Better Me」、「Better Living」、「Better Community」の4つだ。例えば「Better Me」では高齢化社会を当事者として体験できるエイジングシミュレーション、「Better Living」では気候変動によって生じる生活への影響に関する展示を予定している。
LG階ではSXフードフェスやキッズゾーン、2階ではB2Bの情報交換が可能なイベントを開催する。また、環境破壊された後と環境破壊を食い止められた場合の様子を比較できる体験型シアターも実施する。このように、体験型のアクティビティは意識的に多く取り入れるようにしている。
SX開催前後も継続的に行っている内容として、リユースをテーマとした「SX REPARTMENT STORE」、毎月末に開催する「SX Talk Series」、クイーンシリキットナショナルコンベンションセンターG階常設の展示「SX Space」、ベンチャキティ公園で開催する子どもたちの環境意識を育むためのアウトドアイベント「Friends of Nature」、廃棄物処理に関するアクティビティ「Waste Management」、動画や写真で語ることで人の行動を促すことを目的とした「National Geographic」とのコラボ展示(今年のテーマは「水」)などがある。
トンジャイ氏:日本は、水やエネルギーなど限られた資源の有効活用や高齢化社会への対応など、タイにはない知識や経験を持っている。これまで危機的状況をどう乗り越えてきたのか、ブース出展やステージ登壇などを通じてぜひ発信してほしい。
SXは老若男女問わず幅広い層の人たちに、楽しみながらサステナビリティについて考えてもらえるイベントだ。出展ブースの規模は小・中・大の3パターンを用意しており、ぜひ日本企業にも参加してほしいと思っている。
THAIBIZ編集部
SHARE