カテゴリー: カーボンニュートラル, バイオ・BCG・農業
公開日 2023.08.29
TJRI(タイ日投資リサーチ)では7月6日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会『Open Innovation Talk』の第16回として、調味料やプラントベース食品、ペットフードなどの製造・販売を行うタイの大手食品メーカー「NRインスタント・プロデュース(NRF)」に登壇していただいた。同社のダン・プラトムウァーニット最高経営責任者(CEO)がプラントベース食品ビジネスの見通しや今後の事業戦略、日本企業との協業の方向性などについて語った。
タイ市場の上場会社の中でも、NRFは最も環境に配慮した会社だと自負している。日本などのパートナーが環境保全を非常に重視、ネットゼロを目指しており、弊社もそれをサポートしているためだ。現在、世界水準のチームを組成しており、15年以上食品業界で活躍してきた経営幹部、アジア太平洋の「カーボンマネージメント」の世界的な会社で経験を積んだ「Chief Climate Officer」もいる。そしてNRFのビジネスモデルは垂直統合型で、川上から川下まで温室効果ガスの排出をコントロールできる。NRFの中核事業は①Specialty Food ②Direct-to-Customer ③Climate ActionとPlant-based Solution-という3つの分野に分かれている。
NRFの食品事業にはエスニックフードとペットフードがある。エスニックフードでは、ソースや調味料の工場を3つ持ち、3000SKU(Stock keeping Unit=在庫管理単位)以上の製品で、約40カ国に輸出している。代表製品は「シラチャソース」などだ。生産量の35%は自社ブランドで、65%はプライベートレーベル製品だ。現在、サムットサコン県で米国市場向けの「ハラペーニョ」唐辛子を使用したシラチャソースの工場を建設中で、2024年には「ナットフリー(Nut free=ナッツ類不使用)認証」取得の工場と「プラントベース認証」取得の工場が完成する。ペットフードについては、ラチャブリ県にドライフード製造工場を保有しており、月間生産能力は1800トンで、今後約4000トンまで増強する計画だ。生産量の30%は自社ブランドで、70%はOEM製品。今年末までにウェットフードとプレミアムスナックフードも生産する予定だ。
2つある。まずは米国のアマゾン・ドット・コムなどでのEコマース販売。NRFは3つのブランドを展開している。例えば、アマゾンで売上高ランキング1位で、高齢化社会に突入する国に適したテストステロンサプリメント「Prime Labs」や、アマゾンのトップ5に入っているビタミングミ「WellPath」など。ビタミングミは子供から高齢者まで食べられるので、アメリカで約30%のシェアを占めている。日本での販売パートナーも募集している。
また、ネットワークマーケティングの「Indeem」を行っており、日本企業もこのチャネルを通じて展開することも可能だ。さらに、オムニチャネル(Omni-Channel)では、NRFは英国でスーパー2カ所を買収し、アジア食品を販売する展開をしている。3年以内にさらに20~30店舗をオープンし、欧州の他の国にも進出する予定だ。英国を選んだ理由は、英国では人口の90%が頻繁にアジア料理を食べている上に、アジアからの観光客も多いからだ。英国に進出する興味のある日本企業を歓迎している。
プラントベースのソリューションには2つの事業がある。1つ目は年間生産量3000トンでソーセージやミートボールなどを生産する工場だ。英国から先端技術を導入し、約80%はOEM製品だ。日本のプラントベース食品の市場を開拓したいので、日本企業のパートナーを歓迎している。もう一つは代替たんぱく質レストラン「alt.Eatery」。PTTがネットゼロにつながる事業の多角化を望んでいることがきっかけで、NRFとの合弁でオープンした。店内にはレストランとカフェ、中小企業の製品の売り場がある。フランチャイズ・パートナーを募集している。さらに、英国で1位の市場シェアを持っている多種多様なプラントベース食品ブランド「Wicked Kitchen」というスタートアップにも投資した。
ネットゼロへの取り組みは「炭素除去」から始める。NRFはバイオマスから作られた「バイオ炭」が最も最適な技術だと考えている。バイオ炭は炭素含有率が75〜90%で、土壌中に貯留すると、炭素クレジットを売ることができる。この方法でNRFは3~5年以内にネットゼロに到達できると信じている。また、先端的な技術も持っているので、社内で試した上で、今後他社にサービスとして展開していく。
現在、EUやアメリカではプラントベース食品の市場の成長は鈍化しているが、アジアでは伸び続けており、健康志向も高まっている。アジア人にとって最も重要なのはおいしさなので、おいしければ、食べてくれるはずだと信じている。また、プラントベース食品はアジアの伝統的な食文化の一部でもあり、インドや中国などではベジタリアンも多い。プラントベース食品は肉だけでなく、「非乳製品ミルク」や機能性食品などさまざまな食品も含まれるので、健康食品として考えれば市場規模はより広がるだろう。
歓迎している。日本の原材料に関心を持っており、現在日本から購入している原材料も多く、日本の市場開拓に興味がある。
⑴ バイオ技術を駆使した炭素隔離技術の開発パートナー
現在、NRFはタイ北部に二酸化炭素回収プラントを設立するプロジェクトを進めており、移動式工場(Mobile Factory)を計画している。炭素隔離・貯蔵と、 別事業で使用するバイオカーボン製品製造・開発のための技術パートナーを探している。
⑵ 日本市場向けプラントベース食品の開発・販売パートナー
NRFは食品生産工程における炭素排出量の削減に焦点を当てた食品トレンド「Future Food」を牽引する企業になるため、プラントベース食品の事業を日本を含む海外で拡大したいと考えている。しかし、日本への輸出経験はないため、経験豊富な輸入代理店、日本向けの製品開発パートナーを探している。
⑶ 日本市場向けペットフードの開発・販売パートナー
タイのペットフードの輸出も順調に伸びており、2022年の輸出量は前年比34.41%増加した。NRFはタイ国外でのペットフード業界に成長の機会があると考えているが、日本への輸出経験はないため 、経験豊富な輸入代理店を探している。
⑷ 日本市場向けエスニックフードとペットフードOEMパートナー
⑸ 日本市場向けサプリメント販売パートナー
⑹ 日本における代替たんぱく質レストラン 「alt.Eatery」のフランチャイズパートナー
TJRI編集部
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