カテゴリー: ニュース
公開日 2023.02.07
1月31日付バンコク・ポスト紙は9面で「タイのソフトパワー、あるいはソフト販売業務か?」というタイトルのオピニオン記事を掲載している。同記事はまず、プラユット首相が先週、外国人観光客を呼び込む取り組みとして、タイ文化を振興する新しい「ソフトパワー」政策を発表したが、「政府がやろうとしていることは収入を増やすことであり、一言で言えばセールストークにすぎない」と手厳しくコメントする。そして、タイ人の多くが勘違いしているが、まだ真のソフトパワーを持つ国とはみなされていないと指摘。タイにソフトパワーが本当にあると誇れるようにするためには、政府がやるべきことは山のようにあると訴えた。
その上で同記事は昨年4月に米国での屋外音楽祭に出演したタイ人女性ラッパー、ミリーが「カオニャオ・マムアン(もち米にマンゴーを添えた定番スイーツ)」を食べて世界にアピールしたことや、2021年9月に韓国Kポップの人気女性グループ、ブラックピンクのメンバーでタイ人のLISA(リサ)が発表したソロデビュー曲が世界的にも注目されたことを改めて紹介。特に、リサはビデオクリップの中で、金色の伝統衣装をアレンジしたコスチュームと金色の伝統的な被り物を装着して踊ったことに対し、タイ文化省などの伝統主義者は快く思わない一方、革新的なアイデアだと称賛する人も多かったと指摘する。
この記事で面白いのが、プラユット政権が、1990年代の金融危機後の韓国経済の押し上げにもつながった「韓流」の成功をタイも真似できると考えているという指摘だ。しかし、韓国政府は国際イメージの向上、文化的影響の拡散に取り組み、国民と国の将来に明確なビジョンを持ち、国民の生活水準の向上に多額の予算を注入した結果として韓流が経済のけん引役となり若者を鼓舞するに至ったと評価。その上でタイが国際社会でソフトパワーをアピールするために最初にやらなければならないのは、すべての関係者が国家の発展に参画するための機会を多く提供することであり、社会がすべての市民に開かれている必要があると強調。タイではよく知られている1回30バーツの低額医療保険制度のほかに、ソフトパワーに貢献できるのはバイオ・循環型・グリーン(BCG)として知られる新しい経済モデルだと結論付けている。
ブラックピンクのリサ絡みのニュースをもう一つ。1月31日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、タイで歯磨き粉「DENTISTE(デンティステ)」などを製造・販売するサイアムヘルスは、韓国に歯磨き粉製造の新工場を建設するともに、ブランドアンバサダーを務めるリサとの契約を更新したと発表した。同社のセーンスク最高経営責任者(CEO)は、「Kポップ文化は米国の消費者にも受け入れられている。メード・イン・コリアの歯磨き粉は米国の消費者からも歓迎されるだろう」とアピール。また、「われわれは長年リサの起用に投資し、彼女はデンティステのブランド認知度を大いに高めてくれた。新型コロナウイルス流行中に、日本を含む幾つかの国でその売り上げと市場シェアは大幅に伸びた」との認識を示した。
1月31日付バンコクポスト(ビジネス2面)によると、タイ輸出入銀行は今後3年間で、融資残高におけるバイオ・循環型・グリーン(BCG)モデル事業向け融資額の占める比率を現在の28%から50%に引き上げることを目指しているという。ラック総裁によると、同行の2022年の融資残高1680億バーツのうち既存の「グリーン融資」額は476億バーツだという。
1月31日付バンコクポスト(ビジネス3面)によると、住宅開発大手センシリは今年、計52件、総額750億バーツ相当の住宅を発売すると発表した。これは住宅開発事業の価値としては2017年に同業のプルクサ・ホールディングが記録した59件、総額590億バーツを上回り、過去最高になるという。次期総選挙でのタイ貢献党の首相候補の1人でもあるセンシリのセーター社長兼CEOはこの強気戦略は景気回復予想に伴うものだとする一方、「今年の(タイの)景気回復は期待ほど強くない可能性がある。それは多くの国での景気回復がタイにもインパクトを与えることや、エネルギーと商品価格の上昇がリスクになるためだ」と説明した。
TJRI編集部
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