米中貿易戦争でタイEV産業に恩恵、水素エコノミー構築へ

米中貿易戦争でタイEV産業に恩恵、水素エコノミー構築へ

公開日 2024.05.27

5月23日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ工業連盟(FTI)は、米国が中国製の電気自動車(EV)や半導体などに高関税を課すと決めたことを受けて、中国がEVのアジア生産を強化し、特にタイは中国製EVの主要輸出ハブになるだろうとの見方を示した。米国のバイデン政権は中国に対し、その不公平な貿易行為を受けてEVに対しては現在の4倍の100%の輸入関税を、そして半導体に対しては現在の50%の関税を課す方針だ。

FTIのクリアンクライ会長は、「貿易戦争が激化しており、タイ経済にインパクトを与えかねない紛争の中で適切なスタンスを見出すことがタイ政府の課題だ」と指摘。タイ政府は慎重に政策を実行すれば、この貿易戦争から恩恵を受けることができると強調した。特に、中国のEVメーカーは米国でのEVへの高関税を回避するため、米国などへの輸出拠点としてタイを利用するだろうとし、既に多くの中国企業がEV組み立て工場とバッテリー工場の建設に何十億バーツも投資していると述べた。タイ投資委員会(BOI)は過去2~3年、EV40万台生産に対し総額800億バーツの投資計画を支援してきたという。

クリアンクライ会長はEV産業の成長が、内燃機関(ICE)車のサプライチェーンを構成するタイ国内の自動車部品メーカーに影響を与えることをFTIは認識していると強調。FTIは、特に中小の部品メーカーがEV市場に追随していくための新しい技術的ノウハウとともに、製造能力を改善していく対策を検討中だと訴えた。


タイのセター首相は5月24日、日経フォーラム第29回「アジアの未来」で、「貿易と投資」「グリーン・トランジション」「デジタル化」の3つをテーマに講演した。バンコク・ポストなど各メディアが報じた。同首相は2つ目のグリーン・トランジションに関連し、タイ政府は、包括的なEVサプライチェーン構築を目指しており、2030年までにゼロエミッション車の比率を30%まで高めるとの政府目標を改めて表明。一方で、移行期間には、日本の自動車メーカーのICE車生産の支援を続けると訴えた。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内での再生可能エネルギー拡大を支援する「ASEAN Power Grid」構築の取り組みにも言及した上で、2040年までにタイの電力供給における再生可能エネルギーの比率を少なくとも50%まで高めるとの計画も明らかにした。

5月24日付バンコク・ポスト(1面)によると、セター首相は23日、日本企業との会合結果を受けて、日本の大手企業が特にバイオ燃料やグリーン・パッケージング、人工知能(AI)技術、EVなどの分野でタイの製造拠点の拡張と投資に関心を示していることを明らかにした。このうち、三井物産はクリーンエネルギー分野での投資拡大意向を伝えたという。タイ政府が昨年12月に日本で開催した投資家説明会を受けて、三井物産はタイ国内でのバイオ燃料とクリーンエネルギー生産への投資を拡大する計画だと報じられている。一方、タイ国内にカメラと半導体の後工程の主要製造拠点を持つソニー・グループとの会合では、ソニーはパトゥムタニ県に第4工場を開設する計画で、この工場はハードディスク・ドライブ用の半導体レーザーと自動車向けイメージセンサーの製造用だと伝えたという。


5月22日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイ政府と産業界はよりクリーンなエネルギーの利用を促進するために「水素エコノミー」構築の準備をしている。国営タイ石油会社(PTT)傘下の大手化学会社PTTグローバルケミカル(PTTGC)と工業用ガス製造・販売大手バンコク・インダストリアル・ガス(BIG)は共同で水素燃料開発に取り組むと発表。一方、タイのエネルギー政策計画事務局(EPPO)は、エネルギー政策の根幹となる長期電源開発計画(PDP)の最新版(2024~2037年)に水素燃料を含める計画で、水素燃料からの電力を全電力量の5%まで高めることを目指しているという。


5月22日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、タイ商務省貿易政策戦略事務所(TPSO)のプーンポン所長は今年第1四半期のキャッサバおよびキャッサバ製品の輸出額が332億バーツとなり、前年同期比で16.4%減少したことを明らかにした。天然スターチの輸出額は49.1%増、加工スターチが4.99%増となる一方。キャッサバチップが67.9%減、キャッサバペレットが76.2%減、その他が48%減となったことが響いた。今年第1四半期のタイのキャッサバ製品輸出の世界シェアは18.7%とトップで、以下、ベトナム(10.2%)、ラオス(9.37%)などと続く。タイの輸出先は中国が48%を占める第1位で、インドネシア(12.8%)、日本(9.99%)などと続く。

THAIBIZ編集部

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