デジタル通貨給付は8月開始へ、家計債務は減少へ

デジタル通貨給付は8月開始へ、家計債務は減少へ

公開日 2024.07.23

716日付バンコク・ポスト(1面)によると、セター首相は15日、連立与党のタイ貢献党が昨年5月の総選挙時に主要選挙公約に掲げていた1万バーツのデジタル通貨(E-wallet)給付の登録を8月1日に開始する方針を明らかにした。同日開催されたデジタル通貨政策委員会が配布適格者や参加業者の登録準備について協議したという。

セター首相によると、関係機関に不正行為への対応策や、制度の条件を守れなかった場合の適格性の徹底審査を指示したという。また同首相はこのデジタル通貨給付計画は経済刺激のための巨額の歳出を伴うため、政府はすべてが公正に行われるようすべての法律と技術的問題を精査しなければならないと強調。「制度の実行には若干、時間がかかる。しかし、国民は待ちぼうけをくらうことはない」と述べた。

タイ財務省のジュンラパン財務副大臣によると、デジタル通貨政策委員会は、当初、財源の1つとして提案されていた農業・協同組合銀行(BAAC)からの借り入れは使わず、財源は主に2024年度予算(1650億ドル)、2025年度予算(2580億ドル)を充当し、予算額を当初の5000億バーツから4500億バーツに削減することで合意したという。またこの制度で給付対象となるのは5000万人だという。


7月6日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ中央銀行のセタプット総裁は、タイ経済の回復と融資の伸びの鈍化を背景に、家計債務の国内総生産(GDP)比率は低下していくだろうとの見通しを明らかにした。タイ中銀によると、今年第1四半期の家計債務残高は16兆4000億バーツで、GDP比は90.9%と2023年第4四半期の91.0%からわずかに低下。2023年第1四半期は90.8%だった。タイ中銀は、タイ経済は回復傾向にあり、今年第2、第3、第4四半期の成長率はそれぞれ2%、3%、4%になると予想している。

セタプット総裁によると、タイの銀行融資の伸び率は鈍化しており、家計債務では自動車ローンが減少しているという。今年第1四半期の自動車及びバイク向け融資額は1兆7600億バーツと前年同期の1兆8000億バーツから減少。タイの自動車市場は、部門ごとに異なるが、構造的、循環的課題に直面している。タイ中銀によると中古車価格は年初から40%下落しており、電気自動車市場での価格競争により、消費者が自動車の購入判断を遅らせており、自動車ローンの伸びを抑制しているという。


人工知能(AI)カメラを活用した画像解析などのサービスを提供するスタートアップ企業ニューラル・グループは7月22日、昨年度に続き、2024年度も国土交通省のスマートジャンプ(Smart City supported by Japan ASEAN Mutual Partnership)調査検討業務を受注したと発表した。同業務はバンコク都とタイ警察の協力のもと、バンコク都が道路上に設置したCCTVカメラの映像をニューラル独自の画像解析AIによる交通違反車両の検知や特定を行い、スマートで安全な交通環境の実現を図るのが狙い。昨年度は一定時間以上継続して路上駐車している車両を検出するAIモデルを開発し、バンコク市内16カ所のCCTV映像をもとに路上駐車違反数の計測や分析を行った。

2024年7月10日、日本政府国交省・バンコク都・タイ警察を交えてのキックオフMTGの様子(写真:ニューラル・グループ提供)

今年度は実装フェーズとして、NVIDIA製JETSONのエッジデバイスに、昨年度開発したAIモデルを搭載し、交通違反車両のリアルタイム検出・パトロール中の警察官への即時通知を行う。さらに、バンコク都とタイ警察による本導入を見据え、現地法令に基づく交通違反事象の確認や違反切符の発行プロセスに沿ったシステム構成を提案するとしている。今年度のAI解析は、今年6月にリリースした、人や車をリアルタイムで検知し、即時発報・通知を行うことが可能な「エッジアラート」技術を活用、日本国外での初導入事例になるという。


温室効果ガス(GHG)排出量の算定サービスを手掛けるゼロボードは、総合重工業大手IHIのタイ現地法人IHIアジア・パシフィック・タイランド(IHIAPT)と、タイでの脱炭素経営支援のパートナーシップ覚書を締結したと発表した。IHIAPTはタイの工場や工業団地にユーティリティー供給機器の提案・販売、ボイラーなどの運転最適化、廃熱・排ガスの再利用などの省エネソリューションを提供しており、ゼロボードの温室効果ガス排出量算定・可視化ソリューション「Zeroboard」を提供することで、両社が協力して顧客企業の脱炭素化の取り組みを支援していく。さらに、両社のネットワークとソリューションを活用し、個別タイ企業だけではなく、工業団地運営会社に対しても脱炭素経営の支援を広げていくという。

THAIBIZ編集部

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE