カテゴリー: ニュース
公開日 2024.09.16
タイ商工会議所大学(UTCC)の最新調査によると、タイの今年の家計債務残高は1家計当たり60万6378バーツとなり、2023年の55万9408バーツから8.4%増加した。9月11日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)が伝えたもので、UTCCは9月1~7日に1300人を対象に調査した。
今年の家計債務残高のうち60.9%は正規の金融機関からで、その比率は昨年の80.2%から大幅に減少した。また残りの約30%は消費者金融などのインフォーマル金融からで、その比率は前年比で増加した。これは、多くの消費者が支出をカバーする十分な所得が得られない中で、銀行などの正規金融機関での信用限度額の上限に達してしまい、「loan shark」と呼ばれる消費者金融に頼らざるを得なくなったためとしている。
同調査によると、毎月の借金の返済額は1万8787バーツで、前年の1万6742バーツから増加した。今年の延滞比率は71.6%。また、タイ中央銀行によると、家計債務の国内総生産(GDP)比率は現在90.4~90.8%だが、既に打ち出した対策によって同比率は来年には89%まで低下すると予想している。
UTCCのタナワット学長は、家計債務の増加にもかかわらず、家計債務の大半は、日々の支出、住宅や自動車など耐久財の購入、そして事業経費であり、経済全般を悪化させてはいないと指摘。「国内景気が回復し、成長が加速すれば家計債務は改善するだろう」との見通しを示した。
こうした高水準の家計債務への対策がペートンタン新政権の最優先課題に浮上する中で、その具体的な政策検討も始まっているようだ。9月10日付バンコク・ポスト紙(ビジネス1面)によると、タイ財務省のラワロン次官は、住宅・自動車ローン部門での不良債権比率の上昇を受けて、同部門で債務不履行になった借り手が返済を続けられるような支援策を準備していることを明らかにした。こうした対策は金融機関の不良債権の削減にもつながるという。
ラワロン次官によると、財務省は過去1~2カ月間、住宅と自動車ローンの債務者をモニターしてきており、これらの返済が困難になっていることが分かったという。そして財務省はこうした債務者への最善の支援策を設計している段階だが、その支援策が債務再編などの通常のメカニズムを通じて提供されている中で、モラルハザードや債務不履行につながる可能性もあると認識しているという。さらに、提案されている対策は不動産部門の購買力を刺激することは意図しておらず、債務者に猶予の余地を提供するものだとしている。
タイ中央銀行のセタプット総裁は9月13日に行われたセミナーで講演し、外国直接投資(FDI)が減速する中で長期的には国内経済のレジリエンスと強さがタイの持続的経済成長の鍵を握るだろうとの認識を示した。14日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)が伝えた。同総裁によると、タイのFDIは周辺諸国のFDIが増加し続けているのに対し、タイのFDIは過去20年間減少トレンドが続いてきた。タイのFDI流入額の世界シェアは現在約0.63%で、2001~2005年の平均の0.57%からは若干上昇している。ただ、同期間のインドネシアのFDI流入額の世界シェアは0.07%から1.39%へ、ベトナムは0.16%から1.01%へ、マレーシアは0.32%から0.83%にそれぞれ大幅に上昇している。同総裁は、こうしたトレンドを考慮すると、タイは海外の成長に依存するのではなく国内の成長により留意すべきだと強調した。
9月13日付バンコク・ポスト(2面)によると、9月11~13日にインドネシア・バリ島で開催された「高齢化に関するアジア太平洋地域会議(APRC)2024」では、アジア太平洋地域で2050年までに高齢化率が約20%に達すると予想される中で、各国政府は急速な高齢化対策の計画を策定するよう求められた。同会議にはアジア太平洋地域38カ国から、専門家、政策当局者、国際機関、市民団体などから約500人が参加した。
主催団体の1つ国連人口基金(UNFPA)のアジア太平洋地域ディレクターのピオ・スミス氏は12日、バンコク・ポストの取材に対し、「アジア太平洋地域は世界でも最も急速に高齢化が進んでいる地域であり、人口の高齢化対応を支援する政策、計画、戦略を保つ必要がある」と強調。「この地域は今、人口動態の配当を刈り取ることができる時であり、われわれは2045年、あるいは2050年まで待つべきではない」と訴えた。
THAIBIZ編集部
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