カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2014.11.24
タイ中央銀行が発表した2014年8月の重要な経済指標によると、多くのタイ経済部門の回復テンポには依然として不安定な動きが見られました。国内支出は政府部門と民間部門の双方で回復の勢いが減じました。輸出は依然として低調な状態が続いています。しかしながら、観光業は緩やかに改善しています。また、工業生産も小幅拡大しました。
2014年のタイ経済成長率を1.6%増に下方修正
8月の民間消費は7月の前年同月比0.3%増から同0.8%減となり、再びマイナス成長に転じました。政治情勢が明確化したことや、サッカーのワールドカップ開催といった一時的な要因から加速していた過去2、3ヵ月と比べて勢いが低下しました。8月の食品・飲料などの非耐久財の支出が減速している一方、耐久財の支出は横ばいとなっています。
一方、民間投資は前年同月比5.6%減となり、7月の同3.6%減に引き続きマイナス成長になりました。一因は輸出の回復ペースが遅く、需要全体がまだ正常なレベルを下回っていることにあります。また、多くの工業で生産能力は十分な水準にあります。他方、直近で改善が見られた建設投資は横ばいでした。
8月の輸出は、前年同月比6.6%減の186億5500万米ドルとなりました。自動車や家電、石油製品が前月から減少しました。電子製品は国際市場の回復を受けて上昇傾向にあるものの、タイの輸出は他国に比べて成長ペースが鈍くなりました。市場の変化に対し、生産技術面でしかるべき対応ができていないという制約を抱えているからです。
商務省が発表した2014年9月の貿易統計によると、タイの輸出額(199億1300万米ドル)は前年同月と比べ、8月の7.40%減から3.19%増に転じ、過去2ヵ月連続のマイナス成長からプラス成長に転じました。その結果、1〜9月の輸出額は1704億5600万米ドルの前年同期比0.85%減少しました。比較ベースとなる前年同月の水準が低いことによる低ベース効果が主因です。
9月のタイ輸出を品目別に見ると、農産物・加工品の総輸出額は8月の前年同月比2.6%増から同4.0%増加し、4ヵ月連続の増加となりました。特に、コメ、タピオカと砂糖はそれぞれ同49.2%増、12.6%増と21.9%増となりました。一方、主要工業製品の総輸出額は、8月の前年同月比8.7%減から同3.0%増に転じました。
特に、コンピュータ・部品、プラスチック製品、機械・部品の輸出は引続き増加していました。また、化学製品、鉄鋼・部品と宝石・オーナメントはマイナス成長からプラス成長
に転じました。しかし、自動車・部品は、前月の同8.5%減から同13.6%減に引続き縮小しました。
米国、日本、ユーロ圏向けの輸出は前月のマイナス成長からプラス成長に転じしました。しかし、中国向けの輸出は引続き減少しました。
工業生産に関しては、7月の前年同月比5.3%減から同2.7%減となったものの、減少率が前月の約半分に縮小しました。その主な要因は、電子分野で将来的な外需拡大に向けた在庫の積み上げが見られたことに加え、メンテナンスのため生産を停止していた石油精製施設が稼働を再開したことなどが挙げられます。
8月にタイを訪れた外国人観光客数は208万人で、7月の192万人から増加したものの、前年同月と比べ11.9%減少しました。また、9月の外国人観光客数は186万人の前年同月比7.0%減となり、引き続き減少しました。政情不安の緩和で中国人旅行者数が回復し始めたものの、全体では通常時を下回る状況です。経済鈍化の影響により、欧州およびロシアからの観光客の回復が遅れていることが一因です。
商務省が発表した2014年9月のヘッドライン・インフレ率は、8月の前年同月比2.09%増から同1.75%増となり、過去9ヵ月ぶりの最低水準になりました。前月と比べると、9月のヘッドライン・インフレ率は0.17%減となり、4ヵ月連続のマイナス成長となりました。世界的な原油価格の低下が主因でした。一方、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比1.73%増となり前月の同1.83%増をやや下回りました。
バーツ相場の変動については、タイバーツは、2014年9月末には1ドル=32.40バーツの終値をつけ、8月末の終値1ドル=31.93バーツから軟化しました。米国の経済が引き続き改善していることにより、米ドルが上昇したため、タイバーツが軟化しました。
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THAIBIZ編集部
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