ArayZ No.73 2018年1月発行タイの労務 -就業規則から解雇まで-
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.01.19
目次
堀井哲也 ●ほりいてつや
今年100周年を迎える帝人。歴史ある会社の駐在員となれば日本で経験を積んだ管理者であることが規定路線だ。しかし堀井氏が初めて出向したのは29歳の時。「もっと若手に経験を積まそうという流れがあり、一期生となりました。平社員がインドネシアでは営業部長です、驚きました」。一番覚えているのは着任したその日のこと、「お前の机はここ」と言われ見ると、両手を伸ばしても届かないほどの机の大きさ。管理職のサイズだった。
初めての海外赴任、未経験のインドネシア語、初めての管理職。今までとは全く違う景色を前に、とにかく大変だったという。「めちゃくちゃ大変で、巨大な机を前に腰かけたのは覚えていますが、それから数カ月間の記憶がありません」。記憶がないことに気付いたのは1年ほどして奥さんがインドネシアに来た時。久しぶりの再会に奥さんは開口一番、大丈夫?と。
「普段家庭で仕事の話をしない自分ですが、国際電話を2,3回かけて仕事の話をあーでもない、こーでもないと言っていたようなんです。この時はじめて、何も覚えていないことに気が付きました」。忘れるのは人間の防御本能。「記憶するのが嫌なほど、恥ずかしい失敗、挫折、苦しい体験があったんだと思います」と堀井氏。
この記憶がない時期を過ごしたことで、少々のことでは動じないタフな営業マンが誕生した。その後日本に戻るも2011年、タイに呼ばれるように帝人ポリエステルタイランドの取締役営業部長として赴任する。11年と言えば大洪水が襲った年。退避勧告が出て工場を去る日も激しい雨、稼働する工場を見るのは今日が最後かもしれないと言う社長の横で工場の鍵を閉めた。次の日、湖と化した工場を見て絶対復旧しないと思ったという。当時タイの繊維業界は斜陽に差し掛かかった時期で、業績を立て直すのが堀井氏の仕事だった。業績どころの話ではなくなったが長期的に見てプラスになった部分もあるという。
「変革を求められていた工場です。既存のコトを変えるにはものすごいエネルギーが必要ですが、工場ごとご破算、リスタートとなればやりやすい部分もありました」。ゼロからのスタート、モチベーションは供給責任だった。「帝人しか供給できない製品がたくさんありました」。
帝人がタイに根を下ろして50年という節目の2017年、帝人ポリエステルタイランド、帝人タイランドの社長として堀井氏が戻ってきた。今回のミッションは構造改革を完遂しタイを含め帝人の在り方を見直すという壮大なもの。「今までは素材を供給する川上での事業が主流でしたが、今後は川中まで広がるビジネス展開を考えています。ポリエステル繊維の供給では終わらない、アクリルもナイロンも、素材だけではなく中間製品の製造販売も、あれもこれもやって、何をやっているのか一言では言い表せない会社になるべきだと思っています」。
Company Information (JP):
帝人株式会社
東京都千代田区霞が関三丁目2番1号霞が関コモンゲート西館
Company Information (TH):
Teijin Polyester (Thailand) Limited
Manufacture and sales of polyester fibers
1/1 Moo 3, Tambon Klong Nueng, Amphur Klong Luang, Pathumthani 12120
ArayZ No.73 2018年1月発行タイの労務 -就業規則から解雇まで-
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THAIBIZ編集部
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