BOIがハイブリッド車への恩典を発表、PCBへの投資が急増

BOIがハイブリッド車への恩典を発表、PCBへの投資が急増

公開日 2024.07.30

タイ投資委員会(BOI)は7月26日、ピチャイ副首相兼財務相が議長を務めて同日行われた国家電気自動車政策委員会(EV Board)がハイブリッド車(HEV)の物品税(自動車税)を引き下げる恩典措置を承認したと発表した。減税対象となるのは2024~2027年に30億バーツ以上の新規投資を実行した自動車メーカーで、この措置により総額500億バーツの新規投資が見込めるとしている。対象となるHEVは乗員10人未満で、減税期間は2028~2032年。

ナリットBOI長官は「この新たな対策は、タイの自動車産業の電動化シフトと、全サプライチェーン未来の発展を支援する」とした上で、「タイは完成車と自動車部品の両方で、あらゆる種類の電動車の生産ハブになる潜在力がある」と強調した。減税対象になるためには、厳しい二酸化炭素(CO2)排出削減の順守が求められ、①CO2排出量が1キロあたり100グラム未満の場合の物品税は6% ②CO2排出量が同101~120グラムの場合は9%―が適用される。さらに、主要部品のタイ国内生産が求められるほか、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)など6つの「先進運転支援システム(ADAS)」のうちの4つの機能を備える必要があるとしている。

またナリット長官はEV Boardに対し、バッテリーEV(BEV)やバッテリー、主要部品、充電ステーションへのタイ国内の投資総額がこれまでに800億バーツに達したと報告。「EV3.0」と「EV3.5」の投資奨励策によりこれまでに24ブランドがタイ市場に進出し、11万8000台が生産されたことを説明した。さらに、今年上半期のBEV登録台数は前年同期比19%増の3万7679台で、これまでの累積登録台数は18万3236台に達したとしている。


BOIは7月25日、今年1~6月の投資申請額が前年同期比35%増の4584億バーツ(128億ドル)に達したと発表した。申請件数は同64%増の1412件。申請額の業種別トップは電気・電子で1397億バーツ(181件)で、この中にはプリント基板(PCB)への投資申請が397億バーツ(31件)あった。業種別ランキングは2位が自動車・同部品の399億バーツ(140件)、3位は農業・食品加工の331億バーツ(157件)などだった。

また、外国直接投資(FDI)は、件数が前年比83%増の889件、金額が16%増の3257億バーツだった。国・地域別ではシンガポールからの申請額が910億バーツでトップ。以下は中国の729億バーツ、香港396億バーツ、日本300億バーツ、台湾295億バーツなどと続いた。


7月25日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によると、BOIのナリット長官は24日、タイで初めて開催されたプリント基板(PCB)業界の国際展示会「タイランド・エレクトロニクス・サーキット・アジア(THECA)」の開会式で講演し、タイではPCBの投資プロジェクトが急増しており、世界のPCB生産拠点になりつつあるとした上で、BOIはPCBへの投資促進策を続けるとの方針を明らかにした。タイはPCB生産では東南アジア諸国連合(ASEAN)のトップ、世界でも5位だという。

BOIによると、タイのPCB産業への投資申請額は2021、2022年は年平均150億バーツだったが、2023年1月から2024年6月までの合計は1400億バーツに急増した。これらの投資プロジェクトは主に中国、台湾、日本、香港からだった。ナリット長官は、「大手PCBメーカーによる投資が昨年急拡大した。これらの工場の建設作業はほぼ完了し、今後1~2年の間に操業を開始する予定だ」と明らかにした。Thailand Printed Circuit Associationのピタン会長は、今回のTHECAではビジネスマッチングなどで取引額は200億バーツに達し、今後2年間で電子産業において8万人の新規雇用のつながるとの予想を明らかにした。


国際半導体製造装置材料協会(SEMI)主催の国際イベント「SEMICON東南アジア」は7月24日、開始から30周年の記念イベントとなる「SEMICON東南アジア2025」を2025年5月20~22日の日程で、第1回が行われたシンガポールで開催すると発表した。2025年の同イベントのテーマは「Stronger Together」で、半導体産業の最新動向、トレンドと技術革新、サステナビリティー、人工知能、「チップレット技術」、人材開発などが主要テーマとなり、1万8000人が来場する見込みとしている。SEMICON東南アジアは2015年以後はマレーシアで開催されてきた。シンガポールでの久しぶりの開催は東南アジアの半導体産業の心臓部で、イノベーションと技術力で知られるシンガポールへの「帰郷」を象徴するものだとしている。

THAIBIZ編集部

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