THAIBIZ No.155 2024年11月発行タイの明日を変える!イノベーター大特集
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カテゴリー: 対談・インタビュー, ビジネス・経済, 特集, カーボンニュートラル
公開日 2024.11.11 Sponsered
日本の経済産業省傘下である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)バンコク事務所は、自動車産業等の日系製造企業が集積するタイの工業団地の脱炭素化を推進するために、「タイにおける工業団地の脱炭素・省エネ化プロジェクト」を進行中だ。日本の技術や経験を通じて、タイの脱炭素化に具体的にどのように貢献できるのだろうか。タイ製造業の脱炭素化の課題と実行に向けた取り組みについて、同プロジェクトの受託事業者であるリブ・コンサルティング(タイランド)による解説を紹介する。
タイ政府は、2050年までに「カーボンニュートラル」、2065年までに温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにする「ネットゼロエミッション」を達成することを目指している(図表1)。
同目標達成に向けて、タイ天然資源環境省の気候変動環境局は、温室効果ガスデータベースの構築や排出量取引制度、カーボンクレジット、炭素税を含む法案を2025年までに施行する予定である。また、グローバル企業を中心としたサプライチェーン上の脱炭素化要請や、欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)などの国際的な動向もタイ国内の脱炭素化意識を高める要因となっており、在タイ日系企業においても対応が迫られている。
JETROの2023年度海外進出日系企業実態調査によると、タイで脱炭素化に「すでに取り組んでいる」と回答した日系企業は、回答数549社のうち199社(36.2%)、「今後取り組む予定がある」と回答した191社(34.8%)を加えると、390社(71%)にのぼり、脱炭素化意識の高さがうかがえる。また同調査の内訳では、製造業における脱炭素化への取り組みは非製造業に比べてより高い傾向が見られた。
タイの製造業における脱炭素化の課題として、LED照明の導入や太陽光パネルの設置など初期段階の脱炭素化の取り組みは進んでいるが、その後の具体的な施策に手詰まり感を感じていたり、他社の取り組み状況や自社の業界内での位置付けが不明なため、グリーントランスフォーメーション(GX)や脱炭素化の方針、ロードマップの策定に苦慮している点が挙げられる。また、投資対効果に対する懸念を示す企業も少なくない。現状では、一部の大手企業を除き、大多数を占める中小企業の脱炭素化・省エネ化の進捗は不透明である。
一方で、CO2の「見える化」や空調設備改善など多様なサービスを展開し、脱炭素・省エネソリューションを提供する日系企業も課題を抱えている。まず、タイ国内の工場の潜在的なニーズを十分に把握しておらず、効果的にアプローチできていない点が指摘される。特にタイ企業のニーズ把握に苦慮している企業が多い。また、自社のサービスに関する脱炭素・省エネ診断を開始する企業も出てきているが、同分野の包括的な診断はまだ発展途上である。
こうした現状や課題を踏まえ、NEDOバンコク事務所は、受託事業者であるリブ・コンサルティング(タイランド)と共に、「タイにおける工業団地の脱炭素・省エネ化プロジェクト」に取り組んでいる。
本プロジェクトの目的は、①タイの工業団地において日系企業が持つ脱炭素ソリューション技術導入に向けた情報整理およびマッチングを実施し、タイ工業団地の脱炭素化に寄与すること、②脱炭素化推進の成功事例を構築し、脱炭素ソリューション技術を保有している日系企業がタイ国内で活躍しやすい状況を生み出すことの2つだ。
これらの目的を達成するために同プロジェクトは、3段階に分けて進行中である(図表2)。
第1段階では、「情報収集と整理」を行うために、日系企業が提供する脱炭素ソリューションのリストアップとヒアリングを通じて、可視化、省エネ、電力の脱炭素化に分類した「ソリューションマップ」を作成。並行して、タイの学術機関等の専門家らの協力のもと工場に対する脱炭素・省エネ診断プロセスを確立した。なお、同プロジェクトを実施する対象工業団地は、各工業団地の事前調査や交渉プロセスを経て選定した。
第2段階では、対象工業団地内を中心に募集した30工場を対象にオンサイトで同診断を推進する。同診断を通じて、各工場の削減ポテンシャルを把握し、タイの工場における脱炭素・省エネ化に関する課題整理を進めている。これにより、工場側の削減によるメリットなどを具体化することが狙いだ。
最終段階として、診断結果を工場にフィードバックの上、2025年初めにNEDO主導で同工業団地内の工場と日系ソリューション提供企業とのマッチング(商談会)を実施する予定だ。
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THAIBIZ編集部
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