食品テーマでタイ次世代経営者と出会う場に ~セミナー×ブース×商談で日タイ交流加速

最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中

食品テーマでタイ次世代経営者と出会う場に ~セミナー×ブース×商談で日タイ交流加速

公開日 2026.03.18

タイビズは3月6日、タイ商工会議所青年部(Young Entrepreneurs Chamber:YEC)と共催で、日タイ企業による新たなビジネス創出のきっかけづくりを目指す「THAIBIZビジネス・ネットワーキング」第6回を開催。同イベントには90人以上の参加申込があり、会場は熱気に包まれました。

今回は「食品業界の未来」をテーマに、タイにおける日系食品業界の沿革や市場の変化といったマクロの視点から、日本の技術・ノウハウの活用、タイの強みを活かした海外展開、タイ市場開拓における独自の「信仰文化」を取り入れたマーケティング手法まで、さまざまなトピックについて日本人・タイ人計4人の登壇者が講演を行いました。

会場では15社が自社製品・サービスを紹介するブースを出展したほか、希望企業向けのマッチング商談も実施。インプットと交流を組み合わせた構成により、参加者同士の活発な意見交換が行われました。

特に、タイの次世代経営者と直接つながる機会は限られていることから、会場では積極的な名刺交換の様子も見られました。

会場の様子

タイの次世代経営者ネットワークと共催

セミナー冒頭では、THAIBIZを運営するmediatorのガンタトーンによる挨拶に続き、YECビジネスネットワーク会長のガウィン・ウォンクソンキット氏が登壇しました。

開会の挨拶で同氏は、「YECは2014年に設立された組織で、タイ商工会議所が掲げる国内の経済・社会発展の推進に向け、若手起業家や事業承継者のネットワーク形成を目的としている」とYECの概要を説明。そのうえで、「本イベントの共催者として、日タイ企業の協業促進という目標に向けて役割を果たしたい」と述べました。

YECビジネスネットワーク会長のガウィン・ウォンクソンキット氏

タイの食品産業と日系企業の貢献

第一部では、タイ国三井物産株式会社の社長兼CEOであり、日タイ経済連携にも尽力してきた垣内啓志氏が、「タイ食品産業の強みと展望」と題して講演しました。

同氏は「1960〜70年代の工業化と都市化を背景に食品産業が発展し、CPグループなどが従来の飼料ビジネスから食品加工へ本格参入した。1980年代にはタイ・ユニオン・グループなどによる冷凍・缶詰食品の輸出ビジネスが大きく伸び、2000年代に入るとタイ政府が『キッチン・オブ・ザ・ワールド』というスローガンを掲げ、食品産業の支援を本格化させた」と述べ、タイの食品産業の歴史を概観しました。

さらに、1960年の味の素を皮切りに、ヤクルト(1971年)、キユーピー(1987年)、日清食品(1994年)などの日系企業が進出した経緯を振り返り、日系企業が果たした役割として①技術移転および人材育成、②食品加工・包材など関連産業の発展、③小売市場と流通網の近代化、④国内外食産業の成長―の4点を挙げました。

また、タイの食品産業の強みについて「温暖な気候と肥沃な土壌により、年間を通じて農作物を安定的に生産できる点だ。アジアの中心に位置し、中国や新興市場へのアクセスが良いという地理的優位性もある」と指摘。新興市場の拡大や女性の社会進出、高齢化社会の到来など、さまざまな側面から今後の市場変化の見通しを説明しました。

そのうえで「今後は、高齢化という課題に対する日本のベストプラクティスも共有し、商社が新興市場とのアクセスをつなぐことで、タイ企業の成長を支援できると考えている。皆様と共に食品業界を盛り上げ、タイ経済の活性化に貢献していきたい」と参加者に呼びかけました。

タイ国三井物産株式会社の垣内啓志社長兼CEO

次世代サステナブル素材で「食感」にアプローチ

第二部では、長瀬産業のタイ法人ナガセ・タイランドでASEAN・インド地域ライフ&ヘルスケア事業ユニット最高執行責任者(COO)を務める町田隆之氏が、「次世代サステナブル食品・素材技術」をテーマに講演しました。

同社は食品素材やヘルスケア関連製品等を扱う商社で、タイでは約37年前から事業を展開しています。同氏は食品のおいしさについて、「味や香りだけでなく『食感』が非常に重要な役割を果たしている」と説明。同社が提供する素材を活用すれば、食感の維持と賞味期限の延長を両立できると訴求しました。

また、タイでも将来的に到来が予測される超高齢化社会では、「ゼリー状の介護食の需要が高まる」と予測。一方、食事量が減る高齢者向けに多くの栄養素を盛り込みつつ、適切なとろみやゼリー状の形状を保つことは容易ではないといいます。同氏は「こうした課題に対しても、当社の新素材はソリューションを提供できる」と強調しました。

ナガセ・タイランドの町田隆之氏

フューチャーフード(未来の食)の推進

続く第三部では、タイ商工会議所副会頭のウィシット・リムルーチャ博士が、「次世代タイ食品メーカーの競争力」と題する講演を行い、「タイの食品業界では、単なる量と価格で勝負するコモディティ商品の生産から脱却し、中小企業でも付加価値を生み出せる『フューチャーフード(未来の食)』の推進に注力する必要がある」と解説しました。

同氏はフューチャーフードの注力分野として、①機能性食品・飲料、②医療用・パーソナライズ食品、③代替タンパク質、④オーガニック食品-の4つを挙げました。さらに、「国際基準への対応や消費者ニーズの変化、地政学的リスクへの適応に伴い、次世代の食品メーカーはマインドセットの変化が求められている」と強調しました。

タイ商工会議所 副会頭のウィシット・リムルーチャ博士

タイの信仰文化をマーケティングに活かす方法

最後の第四部では、YECバンコクおよびYECビジネスネットワークのメンバーであるチョーワノン・クルンプレムチット氏が登壇。タイで広く信じられているスピリチュアル・信仰文化の総称である「ムー(Mute-lu)」という概念を取り入れたマーケティング手法について解説しました。

同氏は「『ムー経済(Mu economic)』とは、占い、風水、人相学などの伝統的な『信仰』や『エネルギー』の概念を、ビジネスやマーケティングに取り入れる新しい手法だ」と説明。さらに、自身が創業したスタートアップUltimate Destiny Co., Ltd.では、Google ThailandやLINE Thailandなどの企業に向けて、風水を取り入れたオフィスレイアウトの提案や、目標達成のためのラッキーアイテムの提供を行い、従業員の出社意欲やエンゲージメント向上に成功していることを明かしました。

フードビジネスへの応用について同氏は、「競争が激化し、差別化も困難な状況にある今、単純な値引き競争ではなく、顧客の『属性(火・水などのエレメント)』に合わせた料理やお茶を提供するなど、パーソナライズ化の要素がより付加価値になる」と提案しました。

YECバンコクおよびYECビジネスネットワークのメンバーであるチョーワノン・クルンプレムチット氏

企業出展ブースやビジネスマッチング商談もあわせて実施

4つの講演終了後には質疑応答が行われ、その後、参加者は会場内の企業出展ブースやビジネスマッチング商談会場へと足を運びました。企業出展ブースではフードの提供だけでなく、食品加工機械や食品加工素材なども含む幅広い製品・サービスが紹介され、参加者の関心を集めていました。

ビジネスマッチングでは計26件の商談が行われ、限られた時間ながらも活発な意見交換が行われました。商談に参加したタイ企業の中には、自社製品を持ち込み、その場で説明する姿も見られ、単なる名刺交換にとどまらない実りある交流の場となりました。

開催後の参加者アンケートでは、「これまで接点のなかったタイ企業とつながることができた」との回答が一定数見られました。

タイビスでは今後も、日タイ企業の協業のきっかけ作りとなるようなイベントや交流会を実施してまいります。

最新のTHAIBIZイベント情報はこちら

THAIBIZ編集部
白井恵里子

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE