
カテゴリー: 会計・法務
連載: 聞きたくても聞けなかった、タイの税金事情 - J Glocal Accounting
公開日 2026.05.11
タイの税金で誰もが聞いたことがあるものとして付加価値税(VAT)が挙げられます。タイで働いていると自社の売上取引、仕入取引の両方でVATを目にするだけでなく、日常生活でもモノやサービスを購入する際にVATを支払うことになります。
一方で、特定事業税(Special Business Tax:SBT)は不動産取引などごく一部の取引にのみ課せられるため、あまり馴染みがありません。しかし納税し忘れると重い罰則が科せられる可能性もあり、タイで事業を行う上では注意が必要です。
SBTとは、付加価値が発生したタイミングが判定しづらいなどの理由でVATの仕組みが馴染まない取引に対して、VATの代わりに設定された租税です。そのため、基本的にSBTはVATの対象外となる取引に対してのみ課せられます。現在設定されているSBTの種類および税率は図表1の通りです。

普段はVAT対象取引のみを事業としているタイ法人であっても、イレギュラーな取引としてSBT対象取引に該当するものがあった場合にはSBTの納税義務が発生するため注意が必要です。代表的なものとしては事業所移転に伴う旧事業所、工場の売却(不動産販売に該当)や、関連会社へのローン貸付に伴う利息収入(商業銀行に類似する事業に該当)などのケースが考えられます。
ただし不動産売買の場合、例えば居住用に使用していた不動産についてはSBT対象外となるなどの規定があります。ローン貸付に関しても、ローン貸付前6ヶ月間以上に渡り、一方がもう一方の議決権の25%以上の株式を保有している関係に該当する法人同士であればSBTは対象外となります。
SBT対象取引が最初に発生した時点から30日以内に歳入局に対しP.T.01(ภ.ธ.01)という書類を提出し、SBTシステムに登録を行います。その後、原則SBT対象の売上が発生した時点の翌月23日(窓口の場合は15日)までにP.T.40(ภ.ธ.40)という申告書を用いて申告、納税を行います。
P.T.40はVAT申告書のようにSBT対象売上がなくても毎月申告します。ただし例外もあり、例えば不動産売却に伴うSBTについては歳入局ではなく不動産譲渡を登記する際に土地局に対し納税します。
SBT対象の事業が発生したにも関わらずP.T.01を届け出なかった場合、1ヶ月以下の禁固または5,000バーツ以下の罰金、またはその両方を科せられる可能性があります。
これに加え、無申告のSBTの最高200%(過少申告の場合は100%)の罰金および、毎月1.5%の延滞税(上限は100%)が発生します。

J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director
坂田 竜一 氏
バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。
J Glocal Accounting Co., Ltd.
Website : http://jga.asia/


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