AIブーム、景気楽観を牽引 駐在員調査、車業界と明暗分ける

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AIブーム、景気楽観を牽引 駐在員調査、車業界と明暗分ける

公開日 2026.08.21

NNA掲載:2026年7月30日

NNAがアジアの日系企業駐在員らを対象に実施した調査(有効回答数:513)で、勤務する国・地域の2026年下半期(7~12月)の景気が26年上半期(1~6月)から「上向く」との回答が約3割に達し、1年前の2割から大きく改善した。世界的な人工知能(AI)ブームを背景に機械や電子関連で楽観的な見方が強く全体をけん引した一方、自動車・二輪関連では「横ばい」が半数、「下降する」が3割を占めるなど、明暗を分けている。

アジアの景気は、半導体関連産業の動向が大きな影響を与えることになりそうだ。写真は今年5月にマレーシアで開催された半導体展示会「セミコン・東南アジア2026」の様子=クアラルンプール(NNA撮影)

26年下期の景気予測について、最も多かったのが「横ばい」で45.6%。1年前の調査の41.3%から増えた。景気が「上昇する」「緩やかに上昇する」との回答は合わせて29%(以下、「楽観」)で、1年前の21.2%から拡大している。反対に、「下降する」「緩やかに下降する」との回答は合計(以下、「悲観」)で24.8%にとどまり、35.7%から大きく減った。

国・地域別の景気見通しでは、「楽観」の割合が最も大きかったのは台湾で76.9%。インドが75%、ベトナムが60.6%、韓国が50%でこれに続いた。台湾と韓国は「悲観」の割合がゼロと、強気の見通しが目立つ。「引き続き、AI関連製品(AIサーバー、先端半導体など)を中心に輸出が経済をけん引する」(台湾/金融・保険・証券)との見方が強いようだ。インドは今年1~3月期の経済成長率が7.8%、ベトナムは1~6月の成長率が8.2%と、高度成長が続く。インドとベトナムは半導体や携帯電話といった製造業が好調を維持していることに加え、人口が引き続き増加していることや、「(25年9月に実施された)物品・サービス税(GST)減税の効果が持続」(インド/四輪・二輪車・部品)、「人手不足の状況が続き、売り手市場」(ベトナム/食品・飲料)など、内需の拡大に向けた好材料が目立つようだ。

「悲観」の割合、インドネシアが最大

反対に、悲観的な見通しの割合が最も大きかったのはインドネシアの35.6%。香港(33.4%)と中国(33.1%)、フィリピン(31.4%)、タイ(27.7%)も悲観の割合が大きかった。これらの国・地域では「横ばい」とする回答の割合が4~5割だったものの、中東情勢の影響や日系自動車メーカーの不調に言及するコメントが目立った。インドネシアの駐在員からは、「米国とイランの戦争が長引いており、その影響が出始めている」(四輪・二輪車・部品)、「原油価格高騰の影響が出る」(同)など、中東情勢を背景とした先行きに対する懸念が目立つ。中国では「中東情勢による物価上昇が消費にブレーキをかけ、国内消費が落ち込む」(同)ことに加え、「顧客である日系自動車メーカーによる生産縮小」(運輸・倉庫)など、日系自動車メーカーの苦戦に由来する悲観的なコメントが複数あった。日系メーカーの苦戦は中国だけにとどまらず、「自動車はジャンルによって上昇、横ばいと分かれるものの、全体的には緩やかに下降になる」(タイ/貿易・商社)、「電気自動車(EV)優遇の再開によるガソリン車の販売低迷」(インドネシア/四輪・二輪車・部品)など、周辺国でも厳しい競争が定着している。

上期「増収増益」は3割に増加

26年上期の業績についての質問では、全体の30.6%が前年同期比で「増収増益」と回答。1年前の21.8%を大きく上回った。反対に、「減収減益」は23.2%と、31.4%から減少。「前年同期並み」は17.5%だった。業種別で「増収増益」が4割を超えたのは「貿易・商社」(41.3%)と「機械・機械部品」(41.1%)だった。「四輪・二輪車・部品」は「減収減益」が37.6%で最も多く、「増収増益」は23.8%だった。

国・地域別で増収増益が最も多かったのはインドで53.6%。これに香港が44.4%、ベトナムが42.1%、台湾が38.5%、韓国が33.3%で続いた。減収減益が最も多かったのは中国で38.6%。シンガポールは27.3%、タイは24.6%だった。シンガポールは増収増益も27.3%となり、減収減益と同率となった。

26年上期の景気見通しは拮抗

25年下期と26年上期の景気の比較については、「上向いた」「横ばい」「下降した」と振り返った割合がそれぞれ33%となり、拮抗(きっこう)した。国・地域別ではマレーシアとシンガポールが同様の傾向となり、マレーシアでは「上向いた」「横ばい」がそれぞれ35.3%、「下降した」が29.4%。シンガポールは「横ばい」と「下降した」が36.4%ずつ、「上向いた」が27.3%だった。両国では「データセンター市場の活況、脱中国の潮流による特需」(マレーシア/電機・電子・半導体)に加え、トランプ関税に対するショックや中東情勢を背景としたマイナスの影響も一段落したとの意見がある。ただ、「半導体以外の業種では苦戦が続いている」(シンガポール/小売り・卸売り)との意見もあり、景気に対する見方は割れているのが実情のようだ。

国・地域別で景気が「上向いた」と評価した割合が大きかったのは、インド(85.7%)と台湾(84.6%)。ベトナムも73.7%と高かった。反対に、中国とフィリピンは「下降した」の割合が50.4%、51.4%となり5割を超える結果となった。フィリピンは第1四半期(1~3月)の経済成長率が2.8%に減速し、第2四半期についても1.4%に減速するとの予測も出ている。「為替悪化、物価上昇、原油価格上昇」(電機・電子・半導体)といった要素が足かせになっていることに加え、汚職や上院での発砲事件、弾劾といった一連の出来事が「政治不信」(その他製造)を招いており、好材料が乏しい状況にある。

業種別では、「機械・機械部品」(42.9%)と「石油・化学・エネルギー」(42%)で景気が「上向いた」と回答した割合が4割を超えた。一方、「四輪・二輪車・部品」では18.8%にとどまり、主要な業種では最低となった。

<アンケート概要>

2026年7月16~27日に、アジア太平洋地域の駐在員らにインターネットで実施。13カ国・地域の513人が回答した。業種の内訳は製造業が47.6%、非製造業が49.1%などだった。国・地域別の内訳は中国145件、インドネシア90件、タイ65件、ベトナム38件、フィリピン35件、インド28件、台湾26件、香港18件、マレーシア17件、韓国12件、シンガポール11件などとなっている。

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