ガシャポン熱、アジアで拡大 バンダイ、専門店を海外500店へ

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ガシャポン熱、アジアで拡大 バンダイ、専門店を海外500店へ

公開日 2026.10.30

【NNA掲載:2026年9月15日】

日本で起きている空前のカプセルトイブームが、アジアに波及しつつある。「ガシャポン(R)」の商標でカプセルトイ事業を展開する最大手バンダイは、2022年にガシャポン専門店「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」の海外出店を開始。26年7月末時点でアジアを中心に169店まで増やした。韓国や台湾などではガシャポン文化の浸透が進み、アニメファンだけでなく幅広い層が楽しむ娯楽として定着しつつある。バンダイは海外店舗数を500店まで増やす計画だ。【天野友紀子】

好調なインバウンドも追い風として、カプセルトイの人気が世界に波及。バンダイは海外でも専門店を増やしている=8月18日、台湾台北市(NNA撮影)

日本ではこの4~5年でカプセルトイ専門店が急速に増えた。主要顧客は20~30代の女性。好きな作品やキャラクターを応援する「推し活」や、チャームやキーホルダーをバッグにじゃらじゃら付ける「じゃら付け」「じゃら活」の流行も追い風だ。商品が交流サイト(SNS)で拡散され、それが新たな来店につながる好循環も生まれている。

バンダイによると、市場規模は2020年の約385億円から25年は約1,700億円(バンダイ調べ)へと急拡大。同社の24年のカプセルトイ玩具の出荷量は、2億2,000万個に達した。

ソウルに「聖地」誕生

バンダイは日本で21年にガシャポン専門店を初出店し、22年に中国・北京で海外1号店を出した。26年7月末時点でアジアと北米、欧州、オーストラリアの18カ国・地域に出店し、アジア太平洋地域では10カ国・地域で99店を展開。ガシャポン事業を統括するベンダー事業部の呂泰輝デピュティゼネラルマネージャーは「いま一番盛り上がっているのは韓国だ」と語る。

首都ソウルの江南(カンナム)区にあるビル「国際電子センター」は2~9階にカプセルトイ専門店が複数入居し、若者の間でカプセルトイの「聖地」として急速に認知を広げている。地元メディアもこうした盛り上がりを報道。何が出るか分からないカプセルトイの楽しさを表す言葉として、「くじ引き」を意味する韓国語「ポッキ」を語源とする「ポッパミン」という造語まで生まれたという。

「聖地」は平日の昼間も若者でにぎわっていた。バンダイやタカラトミーの商品が大半を占める。26歳の女子大学生はNNAの取材に対し、「ここは(カプセルトイで)有名なスポット。『ちいかわ』が好きで、探しに来た」とコメント。ソウル在住の日本人女性は「韓国では男女とも日本のアニメ好きが多い。好きなキャラのグッズを求め、足を運んでいる印象だ」と話した。

バンダイは韓国で専門店5店を運営。呂氏は「韓国のガシャポン人気はアニメファンだけでなく、幅広い層に親しまれるキャラクターにも広がっている」とした上で、専門店が「エンタメの一つとして、ふらっと立ち寄れる場所になっている」との見方を示した。

台湾は長年かけて定着

韓国と並び、ガシャポン文化が浸透しているのが台湾だ。呂氏は「台湾では専門店ができるだいぶ前から、さまざまな場所にカプセルトイ自販機が設置されていた。私が知る限り10年以上前から設置され、文化として根付いている」と語る。

台北ではコンビニエンスストア前でカプセルトイ自販機をよく見かける。同地に長く暮らす日本人は「そこら中にあり、子どもも大人も真剣な顔で回している」と話す。

日本同様、近年は専門店も一気に増えた。象徴的なのが、「台北の秋葉原」と呼ばれる台北駅地下街だ。以前からアニメグッズやフィギュアが集まる場所として知られるが、「今では(売り場の)ほとんどがカプセルトイに切り替わった」(呂氏)といい、ブームの広がりを物語っている。

韓国や台湾では日本のアニメが浸透。台湾台北市のガシャポン専門店には、「クレヨンしんちゃん」や「ワンピース」、「機動戦士ガンダム」など、海外でも人気の高いキャラの商品が並ぶ=8月18日(NNA撮影)

バンダイは台湾で13店を展開する。台北市中心部の若者向け商業施設「ATT4FUN」の4階にある店舗は、平日の夜も若者や家族連れでにぎわっていた。女子大学生の黄さんは「週に1回はガシャポンをやる。アニメ『ブリーチ』や『ポケモン』が好きで、目当てのものが出るまで何度も回してしまうこともある」と話す。小学5年生の息子を連れて訪れた男性の周さんは「息子が好きなのでよく来る」とコメント。息子は店内をくまなく回り、どれを回すか熱心に品定めしていた。

魅力はわくわく感、ファン獲得の入り口

海外でも広まるガシャポンの魅力は何なのか。呂氏は(1)豊富な商品ラインアップの中からどれを回すか=「選ぶ楽しさ」(2)ガシャっと回すと商品が出てくる遊びの簡単さとエンタメ性=「回す楽しさ」(3)手に取りやすい価格と、細部まで作り込まれた商品の精巧さ=「出てきたあとの驚きと楽しさ」――を挙げる。ゲームやプラモデルのような詳しい説明を必要としないこともポイントだ。

ベンダー事業部の呂氏。ペットボトルや傘、鍵などに付けられる「めじるしアクセサリー」など、バンダイはガシャポンで数多くのヒット商品を生んでいる=8月7日、東京都内(NNA撮影)

ソウルの23歳の会社員女性が「簡単に手に入るのではなくランダムなのでより楽しめる」、台北の男子大学生が「不確実性がガシャポンの魅力」と語るなど、消費者からも何が出るか分からないことを魅力に挙げる声が目立った。

幅広いキャラクター商品を展開するバンダイにとって、ガシャポン事業は「ファン獲得の入り口の役割を担っている」との認識を呂氏は示す。他の事業に比べて単価が低く、専門店というタッチポイント(顧客接点)が急激に増えていることが要因だ。

呂氏は「ガシャポンから入り、IP(知的財産)を好きになってもらって、その他の商品も買ってもらうような流れが、バンダイの中でできあがりつつある」と話す。バンダイの持ち株会社であるバンダイナムコホールディングスが中長期ビジョンに「コネクト・ウィズ・ファンズ(ファンとより広く、深くつながることを目指す戦略)」を掲げる中、「ガシャポンはファンの数を増やす上でも重要な事業になっている」とみている。

バンダイはタッチポイントをさらに増やすべく、ガシャポン専門店の出店を国内外で加速する。国内は現在の約300店から500店、海外は169店から約3倍の500店へとそれぞれ増やす目標を掲げる。海外はアジアと北米を重点的に伸ばす方針だ。

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