カテゴリー: ASEAN・中国・インド
公開日 2017.08.30
タイの周辺、メコン4ヵ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)現地で流行しているモノやコト(内需チャンスの視点から)、最近増えている、または注目の投資業種や案件、新制度の決定や施行とその実情などの政治経済トピックを、現地在住の専門家よりお届けするコラム。
第11回となる今回は、ミャンマーとベトナムからのレポートです。
ミャンマーでは3月が決算期となります(それ以外は認められていません)。そして、6月末が申告期限となりますが、法人税について、今年から「自己申告方式」が導入され始めました。
これは決算書に税務署主導の不明瞭な賦課課税(売上金額に基づく課税等)が横行していたため、日緬共同イニシアティブに基づき、一部の希望日系企業については2017年3月期の申告から自己申告方式への変更が認められたものです。
ただし、自己申告方式への変更決定の通達を受けたのは2017年6月29日で、申告期限である6月30日までに新しい方式で申告を行わなければ、ペナルティが発生するという厳しいスケジュールでした。日系企業関係者の中には、6月29日に自己申告方式のフォームを渡され、申告期限である翌日までに慌てて作成申告を迫られている方も見られました。
自己申告方式の導入により、課税の透明性が確保されることが期待されます。
ミャンマー税務署による自己申告方式フォームサンプル
Global Think Consulting
会計事務所(ミャンマー)
Managing Director
瀬戸山洋介
日本国公認会計士。2013年よりミャンマーで業務を開始。タイの会計事務所、Accounting Porter Co., Ltd.パートナーを兼任。ミャンマーで20年の業務経験を持つ天野利彦氏を顧問に迎え、さらにミャンマー事業に注力中。ミャンマーのフリービジネス誌「MYbiz」のミャンマー側での企画運営を行い、タイからのミャンマー視察ツアーを適時開催している。
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http://globalthink.jp
外国企業のベトナムにおける経済拠点の一つに駐在員事務所(以下、駐事)があります。外国企業の駐事等の設立に関する詳細規定「Decree 07/2016/ND-CP」が2016年3月に施行され、駐事の活動範囲が「連絡」、「市場調査」、「本社(外国法人)の事業促進」と定められました。それにより、従前まで認められていた生産管理業務のような「ベトナムのパートナーと締結した契約の履行監督業務」は削除され、駐事の活動内容に対する規制が厳しくなる傾向にあります。なお、従来通り、駐事では営業活動や製造といった行為は直接行うことができません。
加えて、現地法人と比較し、ベトナム経済への貢献度が低い駐事に対しては政府も厳しい姿勢を見せています。その一例として、年次活動報告書の提出を2年連続で怠ったため、駐事のライセンス登録が抹消された事例があります。駐事は商工省が規定する書式に基づき、当該年度の活動内容を報告(年次活動報告書)する義務があり、報告内容はそれほど作成に手間の掛かるものではありませんが、常駐する管理者が不在かつ報告を失念するといったことに起因するコンプライアンス違反のケースが散見されます。
駐事は現地法人と比較して、安易に考えられがちですが、リスク回避のため、事前にコンプライアンスについてはよく確認する必要があります。みなし法人税課税の事例はまだ耳にしていませんが、徐々に運用が厳格化しています。「過去は大丈夫だった」や、「誰かに聞いた」などの安直な判断はリスクが増大しますので、くれぐれもご注意ください。
AGSホーチミン事務所 脇村美緒
大学卒業後、繊維専門商社で中国工場の生産・品質管理を経て2013年に渡越。2014年からAGSへ参画。
特にベトナム法人とのビジネスマッチング、市場調査、視察アテンドや商談会のコーディネーター業務等に従事。現地法人や駐在員事務所など独資形態ではない取引形態でのベトナム進出支援やその検討プロセス支援も行う。また、ジェトロ・ホーチミン事務所におけるプラットフォーム事業コーディネーターを兼務、各種取引支援や情報提供の黒子役でもある。他に、各種地方公共団体への情報提供や執筆も多い。
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www.ags-vn.com
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