
公開日 2024.04.10
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デンソーでは、2018年から日タイの政府や大学、研究所、中小企業など産官学のパートナーと共に、タイの産業界の生産性と安全、品質を向上させ、タイランド4.0への貢献とカーボンニュートラルやネットゼロを通じて持続可能なビジネスを構築するために「LASI (Lean Automation System Integrators)育成プロジェクト」を開始。
ここでは、将来のモノづくり構想具現化のキーパーソンであるデンソー・インターナショナル・アジアのゼネラル・マネジャー、スネート・アッブドゥンロア氏にLASI育成プロジェクトの状況について話を聞いた。
日タイ政府の支援を受けて、2018年にバンコクの工業省内にある「Industry Transformation Center(ITC)」に研修施設を開設し、リーンオートメーションを学ぶ育成カリキュラムLASIを、日タイの共創パートナーと共に作成したのがこのプロジェクトの始まりだ。
LASIでは、「学生や中小企業のシステムインテグレーター、食品加工工場などのタイ現地企業を対象に、研修用の自動化設備を用いて、まず『人からロボットへの置き換えによる自動化』と、デンソーが提唱する『Lean Concept(ムダを排除するための継続的なカイゼンをしていくという考え方)による自動化』との違いを理解してもらうところからはじめた」とスネート氏はいう。
この研修で手応えを感じ、2019年には活動をさらに拡大し、スミポン社との協業で、EEC域内に「SIMTechトレーニングセンター(Sumipol Institute of Manufacturing Technology)」にてLASIの研修センター開設した。

スネート氏は、「当初は、提供する側と提供される側、あるいは先生と生徒(教える側と教えられる側)という形で教育を開始したが、今後は『共創パートナーシップ』という形に移行していく考えだ」という。
デンソーの工場で働いている現場の専門家で構成された「リーンオートメーション事業部(Lean Automation Biz Division:LABD)」という新たな組織もすでに立ち上げている。LABDとは、「共創パートナーシップとしての具体的な協業を行うチームである。デンソーと中小企業や工場などのタイ企業、システムインテグレーターが相互に貢献することで、最終的にはタイの製造業を底上げし、業界全体の競争力強化を目指している」という。

スネート氏は、「リーンオートメーションでは、タイの製造工場を顧客としてアプローチし、生産性だけでなく、安全性や品質を向上させるカイゼン方法を提唱している」と説明。
具体的なステップとして、①現状把握、②ムダ分析・作業カイゼン、③リーンオートメーションによる自動化、④高い効率の維持—の順で段階的に行う。リーンオートメーションにおいて、「最も重要なことは、自動化の前にムダを見つけ出し、作業カイゼンを行うことだが、この方法を当社のチームだけで行うことはなく、顧客も参加し、一緒にカイゼン点を見つけ出していくことで、人財育成にもつながる」と力強く語る。

このように正しい自動化のステップ(現状把握し、生産工程のムダを排除しながら段階的な自動化システムの導入)により、生産性向上を低コストで実現し、タイの企業の競争力強化(タイランド4.0の実現)につなげること。これがデンソーが描く、自社の強みを活かしながら、タイの目標も同時に実現できる「Win-Win」の共創戦略の一つなのだ。
変化する社会ニーズをいち早くキャッチし、経営戦略を立て、それをどんどん具現化していくデンソー。その裏には、イニシアチブを持って事業に取り組むタイ人(リージョナルタレント)の活躍があり、それを後押しする仕組みや文化が定着している。
デンソーの精神である「モノづくりはヒトづくり」という人的資本経営がタイでも着実にタイ人社員に継承されているということだろう。

THAIBIZ編集部
岡部真由美


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