カテゴリー: 協創・進出, 対談・インタビュー, ビジネス・経済, DX・AI
公開日 2023.12.14
今年、タイの経済ニュースの中で電気自動車(EV)や脱炭素ビジネスに次いで大きな注目を集めたテーマがスマートシティーだ。その中で、「コンケンモデル」という言葉が知られ始めている。これを推進してきたのが「Khon Kaen Think Tank(KKTT)」だ。KKTTのアドバイザーを務めるコンケン大学のラウィー・ハンパーチェン准教授に話を聞いた。
目次
ラウィー准教授:KKTTは、2015年にコンケン県内企業20社の共同出資により、資本金2億バーツで設立された。タイ経済の大きな課題は予算配分がバンコクに集中し、コンケンを含む地方の開発予算が非常に少ないことだ。タイ東北地域の中心であるコンケンの発展を目指すが、政府予算に頼ることができないため、民間の資金調達によりコンケンをスマートシティー化するために発案されたのが「コンケンモデル」だ。
ラウィー准教授:われわれの目標はコンケンの不平等を減らし、雇用を創出することだ。「スマートシティー2030」計画では、①Smart Mobility ②Smart Living ③Smart Citizen ④Smart Economy ⑤Smart Environment ⑥Smart Energy ⑦Smart Governance-という7つの都市開発プロジェクトを推進する。
これらのプロジェクトは、公共交通開発(Transit-Oriented Development:TOD)の5路線のライト・レール・トランジット(LRT=軽量鉄道)の整備が前提だ。 LRTは路面電車で、国内で製造される。広島から路面電車の譲渡を受けており、将来コンケン県で導入される路面電車のプロトタイプになる。さらに、コンケン中心街で国有地を活用し、ホテルやオフィスなどの複合施設を開発する計画だ。このモデルはタイで最も具体的な地方分権モデルになるだろう。
ラウィー准教授:次の2つの方法がある。①コンケン県の個人・法人からのクラウドファンディング②コンケンの公共交通システム運営会社「Khon Kaen Transit System(KKTS)」の株式公開による資金調達-だ。
ラウィー准教授:民間企業だけでは法律的に都市開発ができない。このため、われわれは2017年にタイ内務省から許可を得て、コンケン県内の5つの自治体にKKTSの株主になってもらうことにした。現在、KKTSはTOD向け用地確保を政府に要請している段階だ。さらに、追加投資を希望する投資家も探している。
ラウィー准教授:東北部の人口は約2000万人で、コンケンは東北部の主要な県という地理的条件の強みを持っている。そして、コンケンを地方のイノベーションハブにしようとしているミトポンやシンフホルム天然ガス田プロジェクトを手掛けるPTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)などの大手民間企業がいて、コンケン大学、コンケン商工会議所もある。もしコンケンモデルが成功すれば、チョンブリやプーケットなど他の県の参考になり、地元自ら公共交通機関などを発展させることが可能になるだろう。
(サラーウット・インタナサック、増田篤)
TJRI編集部
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