ArayZ No.111 2021年3月発行コロナとタイ経済
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2021.02.28
みずほ銀行バンコック支店メコン5課が発行する企業向け会報誌 『Mekong 5 Journal』よりメコン川周辺国の最新情報を一部抜粋して紹介
田中丸 善市 |グローバルトランザクション営業部 次長 バンコック駐在
ニューノーマル時代に向けて新しいビジネスに取り組もうとしているお客様に対して、みずほでは様々なサポートをしています。今回はその中でも新しい取引相手と貿易取引を開始する際の注意点及び当行のサービスをご紹介します。
新しいビジネスとしてカンボジアのB社から商品(X)の輸入を検討している在タイ日系企業A社との会話を想定しています。
A社 今度、カンボジアからXを輸入して販売しようとしています。輸入販売は初めてです。支払条件はどんなことに留意するべきでしょうか。
田中丸 輸入取引の支払に関しては「送金での支払」、「荷為替手形による支払」の2つの方法があります。 送金では前払、後払の2通りの支払方法があります。また、荷為替手形による支払では輸入信用状(Letter of Credit: L/C)を利用した支払が一般的です。前払送金、後払送金、輸入信用状付荷為替手形による支払、それぞれの輸出者、輸入者にとってのメリットは図表1の通りです。
輸入者側の国の状況によって支払方法が決まることがあります。例えば、カンボジアはカントリーリスク(その国における政治・経済の状況の変化により支払ができなくなるリスク)が高いと思われているため、「前払送金」となる事例が多いです。
一方で、タイは中進国入りしたので「後払送金」の事例が増えています。ベトナムは両国の中間の位置付けのため「輸入信用状」による支払が主流となっています。
A社 今回は後払送金で交渉すれば良いですか?
田中丸 先ほどの説明はあくまでも一般論です。後払送金だと輸出者は商品を販売してからでないと代金が回収できない懸念があります。B社にとって今回は御社との初めての取引です。
そのため、後払送金ではなく前払送金にしてほしい、と交渉してくる可能性があります。もしB社が前払送金を要望してきた場合、前払送金の代わりに輸入信用状での支払をご検討されてはいかがでしょうか。
A社 輸入信用状の支払のタイミングはどうなりますか?
田中丸 輸出者と輸入者の交渉で決まります。書類が到着したタイミングで支払うケース(At Sight)、書類が到着してからしばらく支払を猶予するケース(ユーザンス)があります。
ユーザンスの場合、船積書類発行後90日といった条件が一般的です。輸出者が輸入者に対して支払の猶予を認めていることになります。
一方で、輸出者としてはビジネス獲得のため支払の猶予を認めても、本音ではもっと早く代金を払ってほしいと考えているかもしれません。B社も自分の資金繰りの問題があります。例えば、船積後90日の支払という条件の場合、90日も支払を待ってられないとB社が言ってくる可能性があります。
その場合、B社は当行が発行した輸入信用状を自分の取引銀行で期日前の割引を依頼することができます。B社の取引銀行は当行が90日後に支払ってくれることを前提に割引を実行し、B社は割引料を払う代わりに代金を90日よりも前に受け取ることができます。
この場合、輸出者であるB社が割引料を支払いますが、割引料のコストを負担したくないと言うかもしれません。その場合、B社の輸入信用状割引の割引料を御社が代わりに負担する仕組みも可能です。
輸出者が割引料を原価に上乗せしてしまうと輸入者からは実際のコストが見えにくくなるので、割引料を御社が負担することを輸入信用状で明記し、コストを透明化できます。この仕組みはUPAS L/C(Usance Payable at Sight)という取引になります。
A社 色々とご説明していただき、ありがとうございました。
29バーツ後半で取引を開始。月初に伝えられた隣国ミャンマーでのクーデターの反応は限定的。3日のタイ中銀MPCでは予想通り政策金利が据え置かれ、サプライズなく無難に通過。米金利の上昇が進む中でドル買いが強まり、上旬に同月高値をつけたが、ドル買いの巻き戻しにより再び30を割り込んだ。
中旬以降、原油価格の上昇による資源国通貨の対ドルで上昇した流れに連られてしばらく29バーツ後半での推移が続いたが、米国での金利上昇が続く中でテーパリングが意識され、ドル買戻しで30近辺で推移。
下旬、パウエル米連邦準備制度理事会議長の議会証言では雇用とインフレ目標達成への道程は長いとの認識が示されたが、ドルバーツは反応薄で30バーツ近辺での動き。月末3連休の動きを警戒してか、バーツ売りが優勢となり月末日のバンコック時間はバーツ安へ動いた。
タイ国内での新型コロナ第2波に収束の兆しが見えつつも、依然観光業の先行きは不透明。貿易統計でも弱い内需が確認され、バーツ高方向には行きにくい。3月も30バーツ前半での推移を予想するが、米長期金利の上昇が企業収益に与える影響が懸念され、一部過熱感が指摘されている株価に調整が入れば、ドル高へ振れ易いと予想。
VND高圧力が継続。23,040レベルで推移していたが、テト休暇(10日~16日)前のVND金利急上昇もあり、一時23,000割れの水準までVND高が進行。テト休暇後にはVND金利が低下する動きに合わせて23,000台を回復したものの、月初対比ややVND高水準の23,000近辺で月末を迎えた。
ベトナム中銀は17日に為替介入方法の変更を発表。従前は日次での介入を行っていたが、17日以降は原則毎週水曜日のみ介入を実施することとなった。介入目線である6ヵ月先物で23,125という水準は据え置かれたが、介入額自体は減少が見込まれる。
引き続きVND高圧力が継続し、23,000を再度割り込む展開を予想。2月に中銀の介入方法が変更となったが、これは米国からの為替操作国認定を受けての動きと思われる。介入金額の減少により、引き続き緩やかなVND高推移となる可能性が高いだろう。
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みずほ銀行メコン5課
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