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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2022.05.10
インドでは近年、一定の割合で州民の雇用枠を設けることを民間企業等に義務付ける州法が各地で成立しています。グルガオンなどの産業拠点を有するハリヤナ州(デリー準州の近郊)においても、月給3万ルピー(約4.6万円)以下のポストへの新規採用は、その75%をハリヤナ州の居住者から雇用することを義務付ける「ハリヤナ州民雇用法(Haryana State Employment of Local Candidates Act, 2020)」および施行規則が、2022年1月15日から施行されました。
ハリヤナ州民雇用法は州政府による失業率低下対策の一環として、州の居住者(Bonafide residents)、特に若年層の雇用確保のために策定されたと説明されています。その後、有効性を迅速に判断するよう最高裁は見直しを求めましたが、今年3月17日、高裁は同法が憲法に違反するとは言えず有効である旨を決定しました。
同法はハリヤナ州において、会社法上のすべての「会社」、従業員10人以上を雇用する者・事業体、信託、有限責任パートナーシップ、パートナーシップ企業に適用されます。対象の企業等は、月給3万ルピー以下のポストへの新規採用について、その75%をハリヤナ州民から雇用することを義務付けています(同法第4条)。
また、本法施行から3ヵ月以内に月給3万ルピー以下の既存の従業員(居住地問わず)を州所定のポータル(https://local.hrylabour.gov.in/)に登録することを義務付け、未登録の場合は従業員の雇用を禁止(同法第3条)。さらに当該従業員の採用状況を、指定ポータルサイト上にて四半期ごとに報告することを求めています(同法6条)。
同法の定義する「ハリヤナ州定住者」は以下の通りです(ハリヤナ州政府22年3月19日付通知「Bonafide residents of Haryana改定ガイドライン」及びハリヤナ州民雇用施行規則第2条(b))。
上記により、新規採用プロセスにおける同法上の「ハリヤナ居住者」75%枠の該否確認には、政府発行の居住証明書(PPP等)の提示を求める等の運用を検討する必要が生じる一方で、既存従業員についての法律上の規定はなく、同法の適用・遡及(そきゅう)適用を受けることはありません(州指定ポータル内FAQ等に、同法の適用は新規採用に限定されると明記)。
なお、必要な技術・資格・技能を有する人材の確保ができず、同雇用枠の遵守が困難な場合には、当局に対し免除の申請が可能です(同法第5条)。
3月30日現在、1,000超の企業が指定ポータルに登録しています。登録が完了しない限り、同州に拠点を置く企業は新規採用できません。また、月給3万ルピー以下の既存従業員は全てを登録する必要があります。
新規採用を検討する企業は、募集・採用における全体の運用プロセスを事前に整理しておくことが推奨されます。この他、規定の遵守が現実的に難しい場合には義務免除の申請手続きを踏む、申請が受理されない等の場合には「月給3万ルピー以下のポスト」自体を削減するといった選択肢を考慮する企業が出てくることも予想されます。
しかしながら、同法の有効性に対しては依然として反発が大きく、何らかの緩和措置がなされる可能性もあり、引き続き注視が必要です。
志村 公義
One Asia Lawyers 南西アジアプラクティス代表 (インドの提携事務所Acumen Juris法律事務所に出向中)
日系一部上場企業のアジア太平洋General Counsel、医療機器メーカーのグローバル本部(シンガポール)での企業内法務に従事し、ASEAN及び南アジアにおける日系企業のコンプライアンス体制構築・監査、内部通報の導入支援、研修等をサポート。19年4月からインドに駐在し、インドをはじめとしたバングラデシュ、ネパール、スリランカ等の南西アジアの法務案件の対応を行う。21年9月には、南アジア全8ヵ国の最新法務をまとめた日本初の書籍となる『南アジアの法律実務』(中央経済社)を出版。 mail:[email protected]
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THAIBIZ編集部
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