PwC タイ税務スタディ 棚卸資産に係る税務【後編】

PwC タイ税務スタディ 棚卸資産に係る税務【後編】

公開日 2016.01.22

arayz pwc
土谷豊弘
Director
一般事業会社を経て1997年中央監査法人監査部に入所。会計監査、株式公開支援業務に従事した後、2004年4月よりPwCタイ法人バンコク事務所に勤務。
日系企業に対して会計監査、税務関連業務の他、法務、投資、M&Aといった各種コンサルティング業務等、多岐に渡るアドバイスの提供、サポートを行っている。日本国公認会計士。
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期末棚卸資産について、会計上、低価法による評価損および棚卸減耗損を計上しましたが、税務上はどのような処理を行えば良いでしょうか? また、評価減の対象となった棚卸資産を廃棄する予定ですが、棚卸資産の廃棄について税務上留意することはありますか?(前回の続き)

312.棚卸資産の廃棄手続(BOI事業の場合)

BOI事業のために輸入した原材料に係る仕損品等は、それらが正常な製造過程から生じたものである場合には、その費用は製品原価に含まれ、売上計上時に売上原価となるため、特段の廃棄手続きは必要ありません。他方、製造過程で生ずる正常な範囲を超える作業屑や仕損品、陳腐化品、不良品、期限切れ品等を損金処理するためには、BOIの定めた手
続および条件に従わなければなりません。
また、BOI事業の場合には、会社は、会計監査人に廃棄の立会あるいは廃棄記録の確認を要請する必要があります。会計監査人は、貸借対照表への添付書類として、仏暦2453(1997)年歳入局通達Paw790号に定める確認書を作成する義務があります。
BOIは、投資奨励法(仏暦2520年)第30条および第36条 (1)に基づき、告示(告示仏暦2543年Por4号および告示仏暦2543年Por5号)を発行し、棚卸資産の廃棄手続および条件を定めています。

投資奨励法第30条では、BOI事業に使用するために輸入された原材料の輸入関税の軽減措置が規定されています(輸出製品の生産に使用される原材料か否かを問わない)。また、投資奨励法第36条(1)では、輸出を行うBOI事業に対し、その輸出製品のために使用する原材料の輸入関税の免税措置が規定されています。このような原材料に係る輸入税の減免措置は、原材料が「その他の事業」(第36条(1)の免税の場合には輸出以外の事業)に使用されない限り認められます。原材料が「その他の事業」に使用された場合には、輸入日の原材料価額に基づき、遡及して輸入関税を支払う必要があります。
ここで、仕損品等の廃棄がBOI所定の手続に従っていない場合には、輸入原材料は「その他の事業」に使用されたものとみなされ、輸入関税の支払義務が生じます。第30条及び第36条(1)の恩典により輸入された原材料から生じた仕損品等は、以下の手続に従って廃棄しなければなりません。

原材料の廃棄に関する手続および条件

(1) BOI企業は、原材料を輸出、寄贈、販売、または廃棄する場合、BOIの事前承認を得るための申請書を作成し、BOIに提出しなければなりません。この申請書には、廃棄品のリスト(種類、数量/重量、価格、廃棄理由)を添付する必要があります。ただし、仕損品等の廃棄には、第36条(1)の規定に基づき輸入税の免税措置を受けた原材料を廃棄する場合にのみ事前承認が要求されています。第30条の規定に基づく減税措置を受けて輸入された原材料に関しては、仕損品等の検査をBOI担当官に要請するだけで、BOIの事前承認を得る必要はありません。すなわち、第30条の減税措置を受けた輸入原材料の廃棄に関しては特段の規則がないため、損金否認されないよう歳入局の規則を援用して仕損品等を廃棄することが望まれます。

(2) 仕損品等を寄贈する場合には、それが受取者の事業活動に使われる種類の物品である必要があります。受取者は、寄贈された仕損品等の詳細を記述した証明書を発行しなければなりません。

(3) 廃棄、輸出、寄贈の事前認可が得られた後、会社はBOIまたは関係当局の管理の下で求められる手続を行い、手続に係る関係証憑をBOIへ提出しなければなりません。

(4) 仕損品等の処分に係る税務リスクを回避するためには、BOIの承認を得るとともに、その内容が下記のいずれかに該当する必要があります。
①仕損品等が製造過程において生じた作業屑、不良品、不合格品、事業目的に使用できない製品等であること。
②BOIに承認された方法に従って行われる廃棄であること。
③既に輸出された仕損品等であること。
④BOIによって承認された国家機関に対する寄贈であること。

※このコラムは「時事速報BANGKOK」で以下年月に掲載されたものです。
◎2015年6月3日

 

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THAIBIZ編集部

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