カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2023.01.17
タイ証券取引所(SET)は昨年11月29日、タイでも企業によるESG(環境、社会、企業統治)の取り組みが急務とされる中で、ESGに適した人材育成をテーマとする「SET ESG Professionals フォーラム2022」を開催した。フォーラムではSET幹部が改めてESGの重要性を強調したほか、企業経営者や大学の研究者が知見を披露するパネルディスカッションも行われた。
同フォーラムではまず、SET経営戦略部のソラポン副部長が開会あいさつで、「ESGは大きなビジネスチャンスとなり、重要なトレンドとなる」とした上で、世界のESG投資ファンドの運用資産額は2025年には53兆ドルを超えると予想されていると指摘。「タイ市場のESG運用資産額は現在521億4100万バーツに達しているが、世界のトレンドと同様に増加傾向にある。SETでは、持続可能な株式への投資機会を創出するThai Sustainability Investment(THSI)に組み込まれる企業数も年々増加している」などと報告した。
続いて、基調講演に登壇したプラサーンSET会長は「資本市場のすべての関係者は現在、世界の変化の中で企業が成長するためにサステナビリティー、特にESGビジネス手法を重視している。特に投資家は投資判断の際にESG情報に注目しており、ここ数年はESGや持続可能性に関する質問が急増している」との認識を示した。
その上で同会長はESGの成功に向けて、次の3点に焦点を当てる必要があると説明した。
(1)経営者は、企業の利益だけでなく、二酸化炭素の排出や環境保全についても考慮する必要があり、これらの対策を推進しなければならない。
(2)環境に関する業務を理解する「ESGスペシャリスト」を選任する。
(3)全社員が理解し、特に新入社員にはESGを推進する知識の習得と取り組みを求める。
「ESGの人材育成」をテーマとしたパネルディスカッションでは、化学大手PTTグローバルケミカル(PTTGC)のパッタラダ副社長が、「当社は会社の方針を明確に示し、社員には実際に環境に配慮した仕事を求め、その結果を評価・報告してもらい、環境に対する自覚を持つようにしてもらっている。一方で、「利益よりも持続可能の長期的な利益を選択するため、PTTGCは投資家への配当金を減らすことになった。しかし、投資家も以前に比べESGの考えを理解しくれるようになった」と興味深い報告をした。
一方、マヒドン大学経営学部のサステナビリティー経営プログラムのナタウット教授は「大学は、サステナビリティーの考え方を広めるための重要な基盤となる。今後、大学は資源を持続的に管理できる経営者を育成する必要がある」と見方を示した。
また、タイの人材会社QGENコンサルタントのアピチャート社長は「社員がESGのメリットを理解していなければ、ESG経営に転換させることは難しい。社員と経営者の間にいる中間層のリーダーが重要な推進役となり、経営者の戦略を社員に実行させる役割を果たす必要がある。このグループの社員が行動できなければ、変革は実現できない」と強調した。
TJRI編集部
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