編集部が選んだ!2024年THAIBIZオンラインのニュース記事

THAIBIZ No.156 2024年12月発行

THAIBIZ No.156 2024年12月発行深化する日タイの経済成長戦略

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編集部が選んだ!2024年THAIBIZオンラインのニュース記事

公開日 2024.12.11

THAIBIZオンラインでは、タイのビジネスにまつわるニュース記事を毎週配信している。ここでは、注目を集めたニュース記事をTHAIBIZ編集部がピックアップして紹介。2024年にどんな出来事があったのか、この機会にぜひ振り返ってみていただきたい。

(1月)パンガー県のリチウム鉱床

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1月20日付バンコク・ポスト紙(3面)によると、タイ天然資源・環境省は南部パンガー県で発見されたリチウム鉱床のリチウム含有率は世界の他の鉱床よりも高いものの、世界第3位の規模だとは確認していないとの見解を明らかにした。これより前にタイ政府報道官は、パンガー県で確認された電気自動車(EV)用バッテリーの主要原料であるリチウムの埋蔵量は1,480万トンで、ボリビアとアルゼンチンに次ぐ世界3位の規模だと明らかにしていた。

しかし、天然資源・環境省のジャトゥポーン次官は、「可能性は高いが、その埋蔵量や世界第3位の規模であるかは確認できない」と述べた。チュラーロンコーン大学のジェサダ講師は埋蔵量148万トンのリチウム鉱床について、リチウムの含有量はそのうちの0.45%であり、リチウムの埋蔵量は6〜7万トンにすぎないとの見方を示した。

一方、パンガー協会の幹部は、パンガー県はかつてスズ鉱床で知られていたが、同県は文化、歴史、観光資源が十分豊かであるとした上で、「われわれは鉱業を促進するかどうか正しい決断をすべきだ。鉱業はエコロジカルツーリズムやウェルネスのハブになるとのパンガー県の計画に相反するものだ。正確な情報に基づき議論する必要がある」との認識を示した。

(2月)タイの若者の就職人気トップはグーグル

タイの企業ブランディングに関するコンサルタント会社WorkVenture(ワークベンチャー)は1月26日、2024年のタイ若者に人気の企業ブランド上位50社を発表し、1位は前年に続きグーグル・タイランドが選ばれた。調査対象は22〜35歳の学士号以上の就業者1万1,452人で、2位以下はPTT、SCG、アゴダ、ユニリーバなどが続く。

日系企業ではトヨタ自動車が何とかトップ10入りしているものの、その他は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下のアユタヤ銀行(Krungsri)が32位、米ペプシコとの合弁であるサントリー・ペプシコが40位、ユニ・チャームが49位と4社にとどまっている。ちなみに2023年に25位にランクインしていたホンダ、44位だったトリペッチいすゞは圏外に去った。

ワークベンチャーは、マーケティング、エンジニアリング、金融などの主要分野では最良の人材を確保するための「人材戦争」が始まっていると指摘。「雇用主ブランディング」が重要な事業戦略となる一方、就業者側のキャリア決定要因では、「競争力のある給与パッケージ」「プロのキャリアアップのチャンス」「就業環境の醸成」「柔軟な仕事のアレンジ」「魅力的な企業イメージ」などを挙げた。

(3月)低価格の中国製品流入に危機感

2月22日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)は、タイでは、中国から低価格製品が電子商取引を通じ大量に流入し、中小企業が深刻な打撃を受けていると報じた。特に運賃・保険料込みで1,500バーツ未満の小包が関税・VAT免除対象となる制度を利用した輸入が年間3,000万個にのぼり、多くの産業が厳しい競争に直面。

セター前首相は対策強化を指示したが、工場閉鎖や輸入業者への転換を余儀なくされる企業も多い。タイEコマース協会(THECA)のタナワット名誉会長は、米中関係の緊張の高まりから中国企業が北米依存を減らすためや、国内の競争激化に対応して東南アジアや他の市場にシフトしていると強調した。

(4月)トヨタがパタヤで「BEVソンテウ」実証

タイ国トヨタ自動車(TMT)は、脱炭素化を目指すパタヤ市にバッテリー電気自動車(BEV)「HILUX Revo-e」12台をソンテウ向けに貸与する実証プロジェクトを開始。2025年末までの運用で36万人の利用を見込み、環境汚染削減を目指すとした。TMTは2020年から同市と協力し、BEVや燃料電池車(FCEV)など複数の輸送プロジェクトを実施しており、今回のプロジェクトは4つ目の取り組みとなった。

パタヤ市長は、将来的に全ソンテウのEV化を目指す意向。ソンテウ業界もコスト削減効果を評価。TMTは既に水素ステーションを設置するなど、持続可能な交通インフラ整備を進めている。

(5月)米中貿易戦争でタイEV産業に恩恵

5月23日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ工業連盟(FTI)は、米中貿易戦争の影響で中国がEVのアジア生産を強化し、タイが主要輸出ハブになる可能性を指摘。米国は中国製EVに100%、半導体に50%の高関税を課す方針で、中国企業は回避策としてタイへの投資を拡大している。既にEV組立工場やバッテリー工場に数十億バーツを投入しており、BOIはEV生産40万台規模に800億バーツの投資計画を支援。

FTIは、EV産業の成長が内燃機関(ICE)車の部品メーカーに影響を与えると警戒し、中小企業が新技術に対応できるよう支援策を検討中。タイ政府には、貿易戦争を成長機会に変える慎重な政策実施が求められると強調した。

(6月)自動車ローン却下続く

6月1日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、FTIは、金融機関の不良債権懸念が続く中、2024年の自動車ローン却下率が前年同様の30〜40%に達すると予測。特にピックアップトラックの購入希望者が影響を受け、販売低迷が続く見込みだ。FTIのスラポン副会長は、ローン却下率の上昇が自動車サプライチェーン全体に広がる影響を懸念している。

背景には、タイ中央銀行が家計債務問題に対応するため導入した「責任ある融資(RL)」規制があり、家計債務のGDP比率が91%と新興国平均を大きく上回っていることが要因。スラポン氏は、自動車産業の重要性を強調し、タイ政府に対し刺激策の導入を求めている。

(7月)BYDがタイ新工場を披露

中国EV大手の比亜迪(BYD)は、ラヨーン県に建設した新工場を公開。総投資額179億バーツ、敷地面積94万8,000平方メートルで、年間生産能力は最大15万台。主力小型車「ドルフィン」や多目的スポーツ車(SUV)「ATTO3」などを生産し、主要部品も製造する。フル稼働時には約1万人の雇用創出が見込まれる。タイ国内向けだけでなくASEAN諸国向け輸出拠点としても活用される予定。

BYDは2022年にタイ市場に参入し、販売ショールームを115店舗開設。同社の2023年全輸出台数は前年比334%増の24万3,000台に達した。王伝福董事長はタイでの成功を強調し、プラグインハイブリッド(PHEV)の投入も表明した。

(8月)首相交代の経済へのインパクトは

タイ憲法裁判所は8月14日、セター首相の失職を命じる判決を下し、16日にはタイ貢献党のペートンタン党首が新首相に選出された。憲法裁は先に前進党の解党も命じており、タイの政治的不安定が浮き彫りに。経済界からは政策継続性への懸念が強まり、投資が周辺国へ流れる可能性も指摘されている。一方、デジタル通貨配布政策の行方は不透明で、実行の遅れが予想される。8月16日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によれば、専門家は政治的空白が短期間に終わるとし、経済や株式市場への長期的影響を限定的と見ている。

(9月)Temuのビジネスモデルとは

中国製の安値製品の大量流入とその対応に関するニュースが続いている。9月4日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、市場分析会社キューブ・アジアの共同創業者サイモン・トーリング氏は、中国の電子商取引(EC)大手「Temu(テム)」がタイなど東南アジアのEC市場に与える長期的インパクトを判断するには時期尚早だが、販売業者はさらなる価格競争に備える必要があるとの認識を示した。

中国PDDホールディングスの越境ECプラットフォームであるTemuは欧米市場で劇的な成功を納め、昨年フィリピンとマレーシアでサービスを開始したのに続き、今年7月中旬にタイ市場にも参入した。

(10月)PCB産業誘致を一段と強化

10月17日付バンコク・ポスト(ビジネス4面)によるとタイ投資委員会(BOI)のナリット長官はこのほどアユタヤ県ロジャナ工業団地で稼働を開始した中国系PCBメーカーのウェルテック・エレクトロニクス(Well Tech)を訪問、タイ政府はEVやデータセンターを含むスマート電子・デジタル産業が発展する中で、PCB製造を強化していくとの方針を明らかにした。

10月15日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイ商務省貿易政策戦略室(TPSO)のプーンポン室長は、PCBが電気自動車(EV)向けも含めすべての電子機器に不可欠な基本部品のため、PCB産業はタイ経済にとって最重要だとの認識を示した。

(11月)第16回FITフェア開催

日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所は11月8〜10日に、バンコク市内の大型商業施設サイアム・パラゴンで「第16回FITフェア」を開催した。今回のテーマは「どんどん見つけよう、日本の魅力」で、タイ人訪日旅行者にとって馴染み深い主要観光地だけでなく、まだあまり知られていない地方の魅力も紹介した。

日本からは地方自治体や鉄道など67団体、タイからは航空会社や旅行会社など41社、計108団体が参加し、「大阪万博2025」やスポーツ庁も初出展した。3日間の来場者数は6万1,000人を超え、前回より1万人以上増加した。JNTOバンコク事務所の中杉元所長は開会式で、「今年のテーマにある『どんどん』は、日本の太鼓の『どんどん』という音、日本語としては『もっと、より一層』、そしてタイ語では『自分の好みに合っている』の意味を込めた」と説明し、リピーターが多いタイ人旅行者に新たな魅力を発見してほしいと語った。

大鷹正人駐タイ日本大使は、このフェアを「世界最大規模の日本旅行イベント」と紹介し、全国津々浦々の魅力を知る機会と述べた。JNTOによると、今年1〜9月のタイからの訪日旅行者数は約75万人で、前年同期比で約2割増加した。2023年の日本への入国者数でタイは、韓国、台湾、中国、香港、米国に次いで6位だった。

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THAIBIZ編集部

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