カテゴリー: 組織・人事
公開日 2017.07.31
「タイ・メコンマネジメント&人材育成フォーラム」を締め括る、3回目のテーマは「タイ人部下の育て方を知る」。講師を務めたのは、長年にわたって在タイ日系企業の人事・組織設計に携わり、その問題の本質に向き合ってきたMercer(Thailand)Ltd.の仲島基樹氏だ。知識や能力、経験はあるのに、タイ人部下のモチベーションがなかなか上がらない―。そんな課題に対し、「日本人がタイ人を育てる」前提の下、タイ人に対する文化的考察と、育てる側に求められる要件を明らかにしながら、日本企業が持つべき視点と実施すべき施策について解説した。
目次
人材は放っておいても〝育つ〟べきでしょうか。それとも会社が〝育てる〟べきでしょうか。
確かに人材は実務経験を重ねることで、ある程度自ら育つことができるのかもしれません。しかし、もし会社が個人の自然な成長よりもさらに速いスピードで成長しなくてはならないとしたらどうでしょうか?ここに会社が人材育成を主導しなければならない背景があります。人材育成においては、個人の成長を上手に引き出すためのノウハウがあります。そうしたノウハウをうまく活用することで、人材育成の確率を上げ、現地化や後継者確保といった人事課題を解決することができます。
人材育成とは体系的に、経営戦略のひとつとしてあるべきものです。タイ人部下がチームリーダーになり、管理職となるまでには、「自分自身に対する〝管理者〟」⇒「他人に対する〝管理者〟」⇒「管理者に対する〝管理者〟」⇒「機能部門の管理者」⇒「事業部門の管理者」というように、キャリアの転換点ごとに異なる視点を持ち、バランス良く動けるよう行動変革させていくコントロールを行う必要があります。そのための組織の基盤となるのが役割体系です。
人材を新たな役割に登用する際には、そこで期待されている成果と、それを生み出すために必要となる能力要件が明らかになっていなければなりません。例えば、多くの企業で一般的に見られる役割に「ワーカー層」「スタッフ層」「マネージャー層」「スペシャリスト層」「エグゼクティブ層」があります。さらにその中は初級・中級・上級という形で、それぞれが果たすべき役割と、持つべき価値観・知識・スキル・経験が異なります。本来はそうした役割や求められる能力要件によって、教えるべきテーマもアプローチも異なるべきです。
例えば、直接部下を指導する立場にある業務監督者は、「業務指導力」や「チームマネジメントの知識」が必要とされるでしょうし、その上の管理職を管理する組織管理者は、権限移譲をするための知識や異文化理解力が必要となるでしょう(※セミナーでは、そうした階層別の育成課題とそれに対する適切な育成方法が一つ一つ解説されました)。
自分から学んだり、人を育てたりすることが苦手なタイ人部下に対しては、上司がきめ細かく育成プログラムを組む必要があると言えます。さらにそれらを人事制度における等級体系や評価体系と連動させることができれば、インセンティブにもなり、より育成が加速することになるでしょう。
人材マネジメントを考える時は、まずビジョンとゴールの設定から入ります。事業目標が明確化できたら、「人材戦略」⇒「人材評価」⇒「人材開発」⇒「後継者管理」を行い、効果測定からまた事業目標を明確化します。どのような人材が何人ほしいのかが明確になっていないと、育成は整いません。自社に合ったスタイルと、タイ人社員の特性・タイミングを掛け合わせて進めることが、戦略的な人材育成につながります。そこにいかに自社の置かれた事業組織の文脈を反映させることができるか?これが人材育成に対する投資効率を大きく左右することになります。
本講座は好評につき、11月にも開催を予定しています! 詳細は決定次第、日経ビジネススクールアジアの公式サイトに掲載されます。
※公式サイトURLは本誌P23をご参照ください
タイでの現地法人経営を熟知した日本人講師が、「これだけは押さえておくべき」テーマを厳選してお届け。講座内で習得した知識を翌日から仕事で活用していただけることを意識しながら開発した、実践的かつ実務的な内容です。
現地法人の会計税務処理、タイ人スタッフに任せっきりにしていませんか?海外拠点での会計処理は、その国独特のルールや習慣、言語の壁により、駐在員が簡単に習得できるものではありません。日々多忙な現地法人経営幹部の多くは、会計対応をタイ人経理スタッフや現地会計事務所に外注し、自身は最終チェックのみというのが現状です。その結果、申告漏れを見逃したり、間違った数字が一人歩きしてしまうことも。スタッフに悪気はなくとも、後から税務当局に指摘され、修正申告や追徴課税などの罰金の支払いとなる事例も少なくありません。本講座では、駐在員が陥りやすい現地法人会計上のトラブルを過去の事例から分析し、その対応策、予防法を身につけます。
坂田竜一 氏
J Glocal Accounting Co., Ltd.
Managing Director
日時 : 2017年7月26日(水) 9:00~13:30
参加費 : 6,000バーツ(+VAT 7%)
駐在員の方々が、赴任後すぐにぶち当たる壁の1つが「労務管理」です。赴任前に「人事の基礎、リーダーシップ、評価、福利厚生、モチベーション管理」などという労務について体系的に十分学ぶ機会も少なく、実際に労務管理をすることになり改めてノウハウを確認する必要性を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本講座は、「労務管理の基礎知識」と現地スタッフへ対応するために知っておくべき「日本の労務管理の特徴と海外の労務管理の違い」、「コミュニケーションのとり方」についても解説します。タイの労働法・就業規則の基礎に加え、バンコクのみならず世界のどこででも労務管理を行う際に必要となる汎用性のある基礎知識を伝授します。
多田智子 氏
多田国際社会保険労務士事務所
所長
日時 : 2017年7月26日(水) 14:00~18:00
参加費 : 9,000バーツ(+VAT 7%)
新卒一括採用や終身雇用に支えられた日本企業の人事管理は、長期的に人材を育成し、処遇していく上では大変よく練られた仕組みになっています。一方、海外のように、社員が頻繁に入社・退社を繰り返す状況では、そうした日本式の人事管理が上手く機能しないケースも少なくありません。本講座では、人事の実務経験のない駐在員の方でも理解できるよう、人事管理の全体像とその実現に必要な仕組みづくりのポイントをお伝えします。社員一人ひとりのモチベーションを引き出し、生産性を高めていくための人事制度の作り方から、それらを組織全体として最適化していくための要員管理・人件費管理の仕組みづくりまで、実例および自社に合わせたカスタマイズの仕方について解説します。
仲島基樹 氏
Mercer (Thailand) Ltd.
プリンシパル 兼 ASEAN日系企業
支援チーム責任者
日時 : 2017年7月27日(木) 9:00~13:30
参加費 : 6,000バーツ(+VAT 7%)
駐在員にとって労働法は非常に関心の高い身近な法律の1つです。アジアの労働法は労働者保護の精神が強く、経営側は何に留意すべきなのか、どこまで対応するべきなのか、わからないとの声を数多く聞きます。本講座では、日々起こる労務管理の現場での実際の事例を基に、何がいけないのか具体的に解説します。就業規則に明文化すべき条文例や日々の疑問を労務管理Q&Aを通じてわかりやすく解説します。タイは判例法理が重要な国です。タイ人弁護士先生をゲストに、判例を踏まえ、法律のさらに先にある実務対応をしっかり伝授いたします。
多田智子 氏
多田国際社会保険労務士事務所
所長
日時 : 2017年7月27日(木) 14:00~18:00
参加費 : 9,000バーツ(+VAT 7%)
従業員の解雇。微笑みの国タイとはいえ、多くの現地責任者が直面するシリアスな場面です。「解雇に失敗すると労働訴訟に巻き込まれることがあるらしい」、「解雇をするには色々難しい法律の問題があるようだからできればしたくないが、これ以上我慢もできない」、「毎日解雇について悩んでいて胃が痛い」。そんな困難に直面する前に、解雇に関するポイントを押さえてしまいませんか?後ろ向きなイメージの「解雇」ですが、きちんと手順を踏んで行うことで、会社にとっても従業員にとっても良い結果を生むことができます。備えあれば憂いなし。法務のポイントから実際のスケジューリングまで、事例を踏まえた講義とワークショップを通じて学んでいただける講座です。
松本久美 氏
弁護士法人One Asia
パートナー弁護士
日時 : 2017年9月27日(水) 13:30~18:00
参加費 : 6,000バーツ(+VAT 7%)
「契約書」と聞くと、「めんどうくさい」、「ややこしそう」などネガティブなイメージを抱かれる方が多いかもしれません。しかし、新しいビジネスを始めるとき、新しく従業員を雇うとき、企業活動のどんな場面にも契約書は常に付きまといます。中途半端な契約書を交わしてしまうと、あとあと予期せぬトラブルに発展する可能性も否めません。どうせ付き合わなければならないのであれば、まとめてポイントだけ学んで苦手意識をなくしてしまいたい!そんなお悩みにこたえる講座です。タイの契約書の基本的なポイントと実際のタイ人との交渉の際の注意点などについて、講義とワークショップを通して解説します。さらには、契約に絡んで債権回収の必要が発生した場合のポイントについても併せて伝授いたします。
松本久美 氏
弁護士法人One Asia
パートナー弁護士
日時 : 2017年9月28日(木) 13:30~18:00
参加費 : 6,000バーツ(+VAT 7%)
※本講座のお申し込み・お問い合わせは先は次ページをご参照ください。
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THAIBIZ編集部
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