カテゴリー: ニュース
公開日 2024.04.29
タイ国トヨタ自動車(TMT)は4月25日、脱炭素化都市を目指すチョンブリ県パタヤ市に対し、同社がタイ国内で初めて生産したバッテリー電気自動車(BEV)のピックアップトラック『HILUX Revo-e』12台を同市内の乗り合いバス「ソンテウ」向けに引き渡す(貸与)イベントを開催した。「マルチパスウェイ」を推進するトヨタ自動車は2020年からパタヤ市とさまざまな輸送手段別にBEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCEV)などを提供した実証プロジェクトを行っている。固定ルートの公共交通にはBEVが適していると判断し、この4月から2025年12月まで今回のBEVプロジェクトを実施することにした。
この日、パタヤ市庁舎内で行われた式典ではTMTのスラポーム執行副社長が「カーボンニュートラリティーの実現に向け、2020年にパタヤ市と環境汚染のない持続可能な街作りプロジェクトで協力する覚書(MOU)を締結した。パタヤ市は観光産業が(総生産の)60%を占め、重要性が高い。市民、観光客の交通手段のニーズに応えるために、(BEVソンテウを)まず5台、合計12台を提供することにした。2025年末までに36万人が利用するだろう」と述べた。
続いて、ソンテウの業界団体「パタヤ・バス協同組合」のレワット会長は、「現在、パタヤ全域で700台以上のソンテウのサービスを提供している。BEVソンテウは、パタヤ市の良いイメージ作りにも貢献する。ソンテウの事業者もBEVを使うことで、メンテナンスコスト 、エネルギーコストも節約できるだろう」と歓迎する意向を表明した。またパタヤ市のポラメット市長は、「パタヤ市には年間2300万人の観光客が来ている。今、世界中の観光地でも環境汚染が課題になる中で、パタヤはトヨタと環境対策に取り組んでおり、定期的に報告も受けている。このBEVのピックアップトラックを利用できれば、排気ガスの削減ができるだろう。将来的には全てのソンテウをEVに変えられれば幸いだ」と訴えた。
トヨタ自動車とパタヤ市との脱炭素プロジェクトではこれまでに、①短距離「ラスト・マイル」のカーシェアサービス向けに超小型BEV「C+Pod」を10台 ②中距離のカーシェアサービス向けにPHEVの「プリウス・プライム」3台、「bZ4x」などのBEVを5台 ③ウタパオ空港とスワンナプーム空港などを結ぶ長距離リムジンサービス向けにFCEV「ミライ」2台―を提供している。今回の固定ルートの公共輸送向けBEVサービスが4つ目のプロジェクトとなる。またトヨタは②のサービス向けに、2022年に国営タイ石油会社(PTT)などと提携してチョンブリ県内に国内初となる水素ステーションを開設し、実証実験を始めている。
4月26日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)によると、タイのエネルギー政策計画事務局(EPPO)は、再生可能エネルギーを促進するためタイのエネルギー政策の根幹となる長期電源開発計画(PDP)の最新版(2037年まで)の策定が今年第3四半期までに完了するとの見通しを明らかにした。PDPとともに国家エネルギー総合計画(TIEB)を構成するエネルギー効率化計画(EEP)、代替・新エネルギー開発計画(AEDP)なども同時に完了するという。
PDPの最新版は新型コロナウイルス流行、国際エネルギー価格の高騰、タイ政府の温室効果ガス排出削減の新たな公約を受けて当初予定よりも遅れ、2023年半ばに「PDP2023」として策定される見込みだったが、2023年夏のタイの政権交代などによりさらに遅れている。EPPOのウィーラパット事務局長は、PDPに関する作業パネルは公聴会開催に向けた最後の会合を5月7日に開催するとの予定を明らかにした。
4月26日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)によると、タイ工業団地公社(IEAT)のウィーリス総裁はタイ政府が推進するタイ南部チュンポンとラノーンを結ぶ陸上輸送ルート「ランドブリッジ」プロジェクトを支援する新しい工業団地の建設に関する調査が、今後3~4カ月で完了するとの見通しを示した。同総裁は、新工業団地の場所がどこになるかは明らかにせず、同団地は「持続可能でエコ・フレンドリーな方法で開発される」と述べるにとどめた。ランドブリッジ計画は、周辺地域住民の生活に悪影響を与え、汚職のリスクもあるとして、反対する動きも出ている。一方でウィーリス総裁は、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済戦略に基づく別の新たな工業団地計画もあることを明らかにした。同総裁は「2つの新工業団地の合計面積は1295ライ(1ライ=1600平方メートル)になる」とした上で、電子、農業ビジネス、食品加工、ロジスティクス、運輸などの産業が対象になるとの見方を示した。
THAIBIZ編集部
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