第10回 いつまでも遊び心を忘れない

ArayZ No.107 2020年11月発行

ArayZ No.107 2020年11月発行変革期の自動車産業 ~タイにおけるCASE~

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第10回 いつまでも遊び心を忘れない

公開日 2020.11.10

ライフスタイル・プレゼンターとして独自の視点から色褪せない新しいスタンダードを世に送り出し続けるグレイハウンド。40年前の創業時に発売された、無地のシャツをベースに二つの異なるシャツを組み合わせた定番品は、ロングラン商品として未だに店頭に並ぶ。彼らの製品は外見の目新しさだけではなく、使いやすさや機能性にもこだわりが強い。ストリートシーンにおける単純性へのこだわりが創作の秘訣である。

新しいモノを生み出すイノベーションの源泉について同社創業者のバヌ氏に聞いた(聞き手:藤岡資正)。

異質のモノを受け入れる柔軟性、多様性が大切

自分たちの顧客には日々の生活を少しでも豊かに、楽しく、芸術的であって欲しい。そうした想いで40年間走り続けてきました。時代とともに顧客は新たな価値を求め、普通とは異なりつつも実用的なモノというように要求水準も高くなります。

これだけ海外旅行が身近になった今、人々は新しいライフスタイルに関心を示し、多くのものに触れています。今あるモノを分解して刷新し、異質のモノをうまく組み合わせ日頃の生活に様々な観点からアクセントを加えたいと思っています。

先見性のある商品開発を促すための法則は上手く表現できませんが、当社のアイデンティティを保ちながらも、異質のモノを受け入れる柔軟性や多様性は大事にしてきました。当社の設立を振り返るとそれぞれが全く異なるバックボーンを有する仲間が関わっていましたし、その後の商品開発に際してもベテランも若手も関係なく、部署の壁を越えて協働してきました。

今あるモノを組み合わせて新しい価値を創造

バヌ氏

従業員には国内外の素晴らしい創作物に積極的に触れることを推奨し、挑戦や遊び心を忘れないようにと言い聞かせています。良いデザインの製品は富裕層だけのものではありません。社会的地位や収入に関係なく、中間層だってひねりがある良いモノに触れたり、所有したいはずです。

グレイハウンドでは日本料理をタイ風に仕上げることもあれば、パンナコッタなどイタリアのデザートにタイの伝統的なデザートを組み合わせることもあります。折りたたむとショルダーバッグとしても使えるセーターというのもあります。

これは40年前の作品ですが、今の社会を見てみると人々はプラスチックバッグを止め、Tシャツなどの衣類を買い物袋のように使う人も増えています。

海外の先進的な企業からヒントを得ることも多く、多くのブランドからコラボレーションの依頼があります。これからも遊び心のある面白いことを展開していきたいと思います。

対談を終えて by 藤岡 資正 氏

文化には「遊び」が織り交ぜられることで人間や社会が豊かに耕されるのだ、ということを再認識する機会となった。

バヌ氏と藤岡 資正氏

略歴
Bhanu Inkawat(グレイハウンド・ファウンダー)チュラロンコン大学付属学校を経て、ロンドンのハロー工芸大学にてグラフィックデザインを学ぶ。欧米大手広告代理店に勤めながら、友人らと1980年にグレイハウンドを立ち上げ、現在タイ国内に16ヵ所のアパレル店舗、ロンドン、シンガポール、中国などに18ヵ所のカフェを展開。タイを代表するクリエーターとして現在に至る。

写真撮影:石田直之氏


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THAIBIZ編集部

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