ArayZ No.123 2022年3月発行タイにおけるFTA活用の現状
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2022.03.10
ミャンマーにおける外貨送金が難しくなってきています。従来、ミャンマーからタイを含む国外への送金は一定程度の手続きが必要でしたが、今はそれに加えて現地銀行にて国内外問わずインターネットバンキングを用いた外貨による送金を受け付けず、使途に関する徴憑を銀行で提示し、小切手や送金依頼を用いて送金処理を行う実務が一般的となっています。この取り扱いは、ミャンマー中央銀行が国内における外貨での送金について、顧客確認義務の遵守およびその使途を確認するよう銀行に対して求めているためとされています(Letter No. FE-1/848)。
この送金の際に求められる徴憑については、送金の内容・銀行・支店・担当者によって異なる可能性があります。その上、事前に担当者に確認して必要書類・情報を持参しても、事前確認では指示されなかった追加書類を求められることがあるなど送金業務が通常に比べて煩雑となっています。
実際のケースとは異なりますが、例としては簡易化のためタイ企業(債権者)がミャンマーの会社(債務者)へ商品を販売し、ミャンマーの会社から「海外送金が難しく、国内の口座に送金したいとの連絡があった」というケースを想定してみてください。その際、タイ企業はミャンマーに銀行口座を持っていません。国外送金の目途が立たず、債権保全のために弁護士などミャンマーの第三者口座へ送金を行いたいと考えましたが、上記の通り送金業務が煩雑なため契約・請求書の当事者ではないミャンマーの第三者(日系ミャンマー法人)の口座へ送金することができるかが問題となりました。
銀行と交渉したところ、第三者であっても債権者・第三者間の債権回収契約書があれば送金は可能とのことで、以下の書類・情報とともに送金を行うことができました。
前述した第三者口座へ送金が完了した後は、ミャンマー口座からタイの口座へ送金を行う必要があります。
事前確認では以下の書類・情報が求められます。なお、書類の確認に1ヵ月以上掛かっており、追加書類が求められる可能性があります。
ミャンマーでは、一定程度の説明資料があれば国外送金ができる可能性は高いと感じています。
もっとも、ミャンマーの取引先および銀行の対応に時間が掛かってしまうようであれば、信頼できる現地の第三者の口座にひとまず送金することは債権保全の一つの手段になると考えられます。今後は、外貨送金においてもインターネットバンキングが自由に行える環境に戻ることが期待されます。
佐野 和樹
One Asia Lawyers パートナー弁護士(日本法) ミャンマー・マレーシア統括
2013年からタイで、主に進出支援・登記申請代行・リーガルサポート等を行う「M&A Advisory Co., Ltd.」で3年間勤務。16年よりOne Asia Lawyersの設立に参画し、ミャンマー事務所・マレーシア事務所にて執務を行う。19年にミャンマー人と結婚し、現在はミャンマー在住。ミャンマー・マレーシア統括責任者として、アジア法務全般のアドバイスを提供している。
E-mail:[email protected]
ArayZ No.123 2022年3月発行タイにおけるFTA活用の現状
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THAIBIZ編集部
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