インドにおける法定文書の保存期間と電子保存の可否

ArayZ No.134 2023年2月発行

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インドにおける法定文書の保存期間と電子保存の可否

公開日 2023.02.10

インドの会社法で定められている法定文書は、日本よりも長い期間の保存が義務付けられているものもあり留意が必要です。特に永久保存すべき文書が多く保管管理に工夫が求められますが、契約書等の電子化は少しずつ進んでおり、最近も一部の文書について、物理的な書面での締結を要さず、電子署名による作成と電子保存を認める改定が成されました。

1. インドの法定文書と保存期間

法定文書の作成と保存期間は、インド会社法およびその下位規則等に具体的に規定されています。

日本においては、法令による義務ではないものの、定款や株主名簿など、その性質から永久保存が望ましいとされている文書もありますが、インドでは永久的(permanently)に保存することが義務付けられる文書が多い点に留意した管理が必要です。

2. 法定文書の電子保存

会社法上保存が求められる文書は、必要に応じいつでも閲覧・参照できる状態であるなどの要件を満たせば、電子形態での保存が法的に認められています(情報技術法第4条)。

ただし、議事録については、別途、会社秘書役基準(通称SS-1, SS-2)に規定が設けられており、タイムスタンプを付した上で永久保存する点に注意が必要です。日本の法定保管期間10年と比して、議事録を無期限で(会社解散まで)保存するため、タイムスタンプとともに管理する等の規定に則り、電子保存を有効に活用することが推奨されます。

他方、IT法上、以下の文書については物理的な紙媒体での保存が求められます。

  1. a) 委任状法に定義される委任状(特定の規制当局※の管轄組織に権限を付与する委任状を除く)
  2. b) 相続法に基づく遺言書
  3. c) 譲渡性預金法に基づく譲渡性金融商品(特定の規制当局※のために発行され、または、規制当局により裏書された小切手、約束手形、為替手形を除く)
  4. d) 信託法に基づく信託 ※ インド準備銀行、インド証券取引委員会、インド保険規制開発当局、年金基金規制開発当局、および国民住宅銀行

なお、2022年9月26日付通達(S.O.4720(E))により、不動産の売買・譲渡・権利に関する契約や、上記のとおり一部規制当局に関連する委任状や小切手等が、電子署名による締結・作成が可能となり、電子化が前進したと言えます。

永久保存が必要な文書(会社が存続する限りは無期限に保存)

  1.  会社設立時に登記局に提出されたすべての書類と情報(基本定款および附属定款を含む)
  2. 株主名簿
  3. 取締役および主要経営責任者名簿(明文規定はないものの、株主名簿同様に永久保存が一般的)
  4. 株式名義変更証明(Renewed Share Certificate)および株券喪失証明(Duplicate Certificates)の登録簿
  5. 議事録(取締役会および株主総会)
  6. 投融資保証登録簿
  7. 他人名義出資登録簿
  8. 取締役が利害関係を有する契約または取り決めに関する登録簿
  9. 担保(Charges※)登録簿(※担保権の一種。担保権者へ目的物の所有権権が移転するmortgageほど強い権利ではない)

30年間の保管が必要な文書

  1. 株券発行に関するすべての帳簿および書類
  2. 功労株式登録簿(Register of Sweat Equity Shares)
  3. 株式/優先株式の譲渡・送信登録簿

8年間の保管が必要な文書

  1. 会計帳簿 ・ 第三者割当増資の記録(明文規定はないものの、一般的に8年間保存とされる)
  2. 有価証券償還届出書(同上)
  3. 担保(Charges)設定証書またはその変更(担保の充足日から8年間保存。担保登録簿は永久保存)
寄稿者プロフィール
  • 志村 公義 プロフィール写真
  • 志村 公義

    南アジア代表(弁護士)。日系一部上場企業のアジア太平洋General Counsel、医療機器メーカーのグローバル本部での企業内法務に従事。19年4月からインドに駐在し、インドをはじめとしたバングラデシュ、ネパール、スリランカ等の南アジアの法務案件の対応を行う。21年9月には、南アジア全8ヵ国の最新法務をまとめた日本初の書籍となる『南アジアの法律実務』(中央経済社)を出版。
    mail:kimiyoshi.shimura@oneasia.legal


  • 山田 薫 プロフィール写真
  • 山田 薫

    One Asia Lawyers南アジアチーム所属パラリーガル。日系・外資系民間企業や政府系国際協力機関での実務経験を経て、南アジア各国の現地弁護士と協働して日系進出企業に対する法的サポート、各種法律調査等を行う。

  • One Asia Lawyers
    One Asia Lawyersは、ブルネイを除くASEAN全域、南アジア及び東京、大阪、福岡にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN及び南アジア地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。2019年4月より南アジア、20年11月よりオーストラリア、ニュージーランドプラクティスを本格的に開始。
  •  【One Asia Lawyersグループ インドオフィス】
    Platina Tower, MG Road, Sector 28, Gurgaon HY, India
    TEL: +91 (0) 82-8784-9964
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THAIBIZ編集部

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