26年度予算案3.8兆バーツ ~過去最大、景気回復に重点~

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    26年度予算案3.8兆バーツ ~過去最大、景気回復に重点~

    公開日 2025.06.27

    NNA掲載:2025年5月30日

    タイのペートンタン首相は2026年度(25年10月~26年9月)予算案を国会に提出した。歳出総額は前年度比7.4%増の3兆7,806億バーツ(約16兆7,900億円)。統計がさかのぼれる02年度以降で過去最大となる。国内経済に減速感が強まる中、景気回復に重点を置く。26年の経済成長率が前年比2.3~3.3%になることを目指す。

    ペートンタン首相が28日に下院の特別審議に出席して明らかにした。26年度予算案について「安定的な成長、製造業とサービス業の発展、公共インフラの改善に向けて景気を刺激し、国民の生活向上を目指す」と強調した。

    歳出の内訳は、社会保障費や国債費といった固定支出が全体の70.2%を占める。公共投資には22.9%、債務返済などに4.0%を割り当てる。

    野党は政府が提出した予算案がトランプ米政権による関税政策への対応に不十分だと批判した。首相は「米国の関税政策を踏まえて予算配分を調整した」と反論した。トランプ米政権の「相互関税」でタイの追加関税率は計36%に設定されている。

    国内総生産(GDP)成長率について、25年と26年はともに前年比2.3~3.3%になるとの見方を示した。インフレ率は25年、26年ともに0.5~1.5%と予測した。

    タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月に示した成長予測を引用し、公共投資拡大や国内消費、観光回復によって成長が支えられると指摘。一方で家計や企業の債務残高の多さが依然として足かせ要因だと説明した。主なリスクには米国の関税政策のほか、地政学的な紛争や農業分野の不安定化を挙げた。

    予算案では景気回復に向けて戦略6本を打ち出した。「競争力強化」に予算の10.5%を占める3,946億バーツを配分する。半分以上となる2,120億バーツは、タイ国鉄(SRT)が建設中のタイ中高速鉄道をはじめとする鉄道網、道路、港湾、空港の建設や維持などに充てる。

    このほか、◇農業付加価値の向上(351億バーツ)◇研究・イノベーション開発(198億バーツ)◇ITを活用した次世代都市「スマートシティー」の開発(115億バーツ)◇東部3県(チョンブリ、ラヨーン、チャチュンサオ)の経済特区(SEZ)「東部経済回廊(EEC)」開発(83億バーツ)――などに予算を振り向ける。

    その他の戦略では、平和維持や災害管理、麻薬対策などを含む「安全保障」に4,153億バーツを配分した。「社会的機会創出」に9,427億バーツ、「人材育成」に6,059億バーツ、「行政システム改善」に6,054億バーツ、「環境対策」に1,472億バーツを配分した。

    歳入総額は前年度比1.3%増の3兆616億バーツを見込む。政府債務残高は25年3月時点で12兆808億バーツに上る。対GDP比で64.4%だった。

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