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カテゴリー: 会計・法務, ASEAN・中国・インド
連載: ミャンマーの最新ビジネス法務 - TNY国際法律事務所
公開日 2026.05.07
ミャンマーでは、2021年のクーデター以降、燃油の供給不安が毎年のように繰り返されている。
これまでの危機の主な原因は外貨不足だったとされていたが、今回の危機は外貨不足ではなく中東危機が主因であり、終息の時期が見通せず、かつ影響がミャンマーだけでなく世界各国におよんでいる。
中東危機発生後、消費者の反応は極めて敏感であり、各地の給油所に消費者が殺到するようになった。
そのような背景を踏まえ、2026年3月3日、国防治安評議会(NDSC)は、中東情勢を背景に燃油不足を受け、3月7日から車両使用規制を実施する旨発表した(以下、「3月3日発表規制」という)。

①民間車両は、偶数日は偶数番号、奇数日は奇数番号の車両のみ使用可能。ただし、電気自動車(EV)やEVバイクは毎日使用可能
②公共交通機関、タクシー、燃油運搬タンクローリー、建設機械、物流車両、救急車、霊柩車、ゴミ収集車などは使用可能
③燃油の備蓄や高額転売は禁止
2026年3月4日、国防治安評議会から追加発表があり、職員送迎車両、物品配送車両、業務運営車両、学校送迎車両も使用可能となった。これらの車両と搭乗者は所属部署発行の有効な証明書または推薦状を携帯する必要がある。
規制の違反者には懲役1ヶ月および罰金2万チャットが科される。
3月12日付国営紙(Global New Light of Myanmar)は、3月12日から燃料管理のために携帯電話アプリケーション(以下「アプリ」という。)を用いた検証システムの試験導入に係るエネルギー省の公告を報じた。公告の概要は以下のとおりである。
(1)3月12日から、ネーピードー、マンダレーおよびびヤンゴンの主要都市において、燃料不足を防ぎ、真に必要な人が円滑にガソリンを購入でき、給油所の行列を減らすことを目的としてアプリを用いた検証システムを試験導入する。なお、給油所が燃料の購入状況を確認するため、市民側のアプリ登録や操作は不要である。
(2)自動車については、自動車税納税証明書のバーコードをスキャンし、当日の購入履歴を照合することで1日1回のみ給油可能となり、同日に別の給油所での購入は認められない。
(3)オートバイについては、給油所が車両番号と有効期限を入力しQRコードを発行し、所有者はQRコードを保管し毎回提示しなければならない。これにより、同日複数回の購入を阻止する。
(4)エネルギー省がオンライン監視センターで輸入・貯蔵・流通・販売を厳格に監視し、主要都市の給油所で車種・登録番号、燃料の種類・数量、価格を適時把握する。計画的措置に沿って国内供給を確保する。
3月15日付国営紙(GLOBAL NEW LIGHT OF MYANMAR)にて、エネルギー省公告が掲載され、ガソリンを給油する際にはバーコードが記載された自動車税納税証明書(登録証明書)が必要となった。また偶数車両は偶数日、奇数車両は奇数日に限り、その日1日1回のみ給油できることとなった。
今回の車両使用規制の解釈や実際の運用については不明な点が多い。しかし、トラブルを避ける観点からは、必要な証明書や推薦状の携行等を行うとともに、本規制に従い、偶数の日は偶数番号の車両、奇数の日は奇数番号の車両を使用し、車両が使用できない場合はタクシーを利用する等、慎重な対応が望ましいと解される。
中東危機が長引く場合にはさらなる規制導入の可能性もあり、今後の報道や発表には引き続き留意が必要である。

TNY国際法律事務所 (ミャンマー)
代表弁護士
堤 雄史 氏
会社設立、合弁契約書および雇用契約書などの各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等のミャンマー法に関するサービスを提供している。世界13ヶ国に展開するTNY国際法律事務所グループの共同代表。
TNY国際法律事務所
各国に日本人弁護士と現地弁護士が常駐
日本語で、日本クオリティの現地法務サービスを提供
[主な業務]
・ 各業種の外資規制や許認可制度のリサーチ、投資や事業スキームの適法性の確認
・ 会社設立手続、各種契約書の作成(雇用契約、賃貸借契約、合弁契約、業務委託契約等)
・ 労務、紛争解決、M&A、企業法務、知的財産業務、各種法律相談等
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Website : http://www.tnygroup.biz

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