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カテゴリー: スタートアップ, 食品・小売・サービス, イベント
公開日 2026.05.05
世界には数えきれないほどの食材が存在するが、広く認知されているものはごく一部にすぎない。いまだ十分に知られていないものの、「栄養価が高く、実は現代の時流に合致している」という食材が、実はタイにも存在する。
世界最小の野菜とされる水生植物「Wolffia(ミジンコウキクサ)」も、その一つだ。この植物は極めて高い栄養価を有するだけでなく、同じ面積の森林よりも多くの二酸化炭素(CO2)を吸収する「スーパーフード」として、近年注目を集めている。
カシコン・リサーチ・センターによれば、健康志向やウェルネス、サステナビリティへの関心の高まりを背景に、Wolffiaのグローバル市場規模は2034年に2億米ドル以上に達すると見込まれており、年平均成長率は10%を超える。
タイビズは4月20日、日タイ企業間の協業や新規事業機会の創出を目的とした「THAIBIZオンサイトビジット」第19回として、Wolffiaを独自技術で栽培するタイのフードテック企業Advanced Greenfarmを訪問した。
ナコンパトム県に位置する同社は、独自の研究により構築したWolffia栽培施設および洗浄・包装施設を有する。オンサイトビジット参加者は、同社の共同創業者や事業戦略責任者から会社概要や独自ブランド「flo Wolffia」、栽培体制について説明を受けたほか、栽培現場の視察や「flo Wolffia」製品の試食も行った。

「現代においては、90%以上の人が日常生活で十分な栄養を摂取できていない」──。イベント冒頭で登壇した共同創業者兼最高戦略責任者のウィスワット・ソンヌアン博士は、こう警鐘を鳴らした。
特に、好き嫌いの激しい子どもや咀嚼を苦手とする高齢者、栄養に気を配る余裕のない現代人にとって、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどを豊富に含むWolffiaは、新たな選択肢となりうる。
同博士によれば、この植物は2015年に欧州や米国で話題となり、世界的な注目を集めたという。イスラエルの企業が数十億円規模の資金調達を行いながらも製品化に至らなかった事例がある中で、同社は実態を伴う“スモールスタート”により着実に事業化を進めている。
独自ブランド「flo Wolffia」は、Advanced Greenfarmが確立した技術のもと栽培されるWolffiaだ。共同創業者であるウィスワット博士およびメーター・ミータム博士は、マヒドン大学で植物の栄養に関する研究に従事していた。その研究基盤を糧に、同社は水や土地などの資源使用を最小限に抑えながら、年間を通じた安定生産と高い安全性を備えた洗浄工程を実現している。

さらに、独自の栽培技術と品種選定により栄養価を向上させ、特にタンパク質、ビタミンB12、鉄、カルシウム、亜鉛において、一般的なWolffiaを大きく上回る水準を達成している。例えば、150グラム当たり卵18個分に相当するビタミンB12を含むほか、タンパク質含有量は通常のWolffiaの約2倍にあたる40%(乾燥時)に達する。
ウィスワット博士は、「JICAの国際共同研究プログラム『SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)』において、日本の大学・研究機関やサラヤ株式会社との共同研究実績もある」と述べた上で、「協業パートナーは常に歓迎している」と参加者に呼びかけた。
洗浄・包装施設の視察では、対象となる植物が極めて小さく既存の洗浄機が使用できないため、タイ国家イノベーション庁(NIA)の支援を受け、「世界初のWolffia専用洗浄機」を自社開発したとの説明があった。
当初2平米だった栽培池は、技術導入と改善を重ねた結果、現在では200平米まで拡張されている。ここからは、およそ150kgのWolffiaが収穫でき、「ゆくゆくはトン単位での生産を目指す」(ウィスワット博士)という。

ウィスワット博士は「藻類とは異なり酸素供給が不要で、止水環境での栽培が可能なため、エネルギー消費を抑えられる。また、新たに種を追加する必要がなく、毎日継続的に収穫できる点も特長であり、高効率な生産を実現している」と説明した。
さらに同社は、環境負荷の低減に向け、洗浄後の水を廃棄せず、動物飼料用Wolffiaの栽培に再利用するなど、資源を無駄にしない循環型の仕組みを構築している。
視察後には、事業戦略責任者のパナッサヤ・ユーヌット氏 から、「flo Wolffia」の製品について説明が行われ、試食会も実施された。
Wolffiaは非常に微細な植物であるため家庭での洗浄が難しいが、「flo Wolffia」は栽培段階から厳密な管理のもとであらかじめ洗浄が施されており、そのまま食べられる状態で商品化されている。 強い味はなく、食材の味を邪魔しないが、料理に加えると「うまみ」が加わるという特長も魅力だ。
現在同社は、「flo Wolffia」を生・冷凍・乾燥粉末といった多様な形態でtoC・toB向けに販売するほか、飲料、プロテイン、ふりかけ、デザートなど幅広い加工製品を展開している。パナッサヤ氏は「自社製品の販売にとどまらず、食品原料として他社メーカーへの供給も行っている。食品用途では即席麺の生地に練り込まれる例があるほか、鶏肉と混ぜて犬や猫用のペットフードに活用されるなど、さまざまな用途で幅広く利用されている」と説明した。


参加者は「flo Wolffia」製品をさまざまな食べ方で試食しながら、その潜在的な可能性を実感。最後のQ&Aセッションでは、同ブランドの輸出状況や今後注力したい市場などについて質問が挙がり、高い関心がうかがえた。
今回は、最先端の技術や製品に直接触れられるだけでなく、Advanced Greenfarmの共同創業者や事業戦略責任者と直接対話ができる貴重な機会となった。
「試食や実際の生産現場を見せていただき非常に参考になりました」
「大変有意義な時間でした。同社が今後、成分解析を進めてさらなる可能性を模索したいとコメントされていたのが印象的でして、何らかの形で日系企業とのビジネスを繋げていくことが出来たらと考えています」
THABIZ法人会員について
THAIBIZでは、今回のオンサイトビジットのように日本企業・タイ企業への訪問イベントや勉強会を今後も開催予定です。THAIBIZ法人会員サービスにご加入いただくと、THAIBIZイベントに無料で何度でもご参加いただけます。本サービスにご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

THAIBIZ編集部
白井恵里子

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