西松建設、ホテルを正式開業 〜日本流の「おもてなし」が強みに〜

最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中

西松建設、ホテルを正式開業 〜日本流の「おもてなし」が強みに〜

公開日 2026.06.19

NNA掲載:2026年6月15日

西松建設が主導し、タイの首都バンコクで開発を進めてきた5つ星ホテル「グランドニッコー・バンコク サトーン」が11日、正式に開業した。同社にとって初の海外ホテル開発事業であり、開発から施工、運営までを日本勢が担う。高級ホテルが林立するバンコクで、日本式のきめ細かなホスピタリティーや防災・環境性能を強みに、ビジネスやレジャー、MICE(会議、視察、国際会議、展示会・見本市)需要の取り込みを狙う。

バンコクのサトン地区に正式開業した「グランドニッコー・バンコク サトーン」=11日(NNA撮影)

4月10日のソフトオープンを経ての正式開業となった。6月11日の記念式典では、西松建設の細川雅一社長が「タイの豊かな文化と日本ならではの繊細なおもてなしを融合した。タイと日本の友好の橋渡しになるよう努力を重ねていく」とあいさつした。

立地はオフィスや大使館が集まるバンコク有数のビジネス街、サトン地区。首都圏鉄道(BTS)シーロム線のチョンノンシー駅から徒歩10分。チャオプラヤー川沿いの観光地にも近く、ビジネスとレジャーの双方に適している。

建物は地上35階・地下1階建て。客室は全405室で、館内には最大380人を収容できる大宴会場のほか、小宴会場や会議室3室を併設し、ウエディングやMICE需要にも幅広く対応する。

事業主体は、西松建設のシンガポール子会社、官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、芙蓉総合リースの3社が出資して設立したバンコク・サトーン・ホテル・マネジメント(BKHM)。設計・施工は西松建設の子会社で、タイで63年の実績を持つ泰国西松建設が担い、ホテル運営はオークラ・ニッコー・ホテル・マネジメントに委託する。西松建設は開業後も、BKHMのマネジメントを通じてホテル運営に関与していく。

土地や建物を含む投資総額は、着工時点で71億バーツ(約345億円)。4年程度での黒字化、20~25年での投資回収を見込んでいる。

「グランドニッコー・バンコク サトーン」では11日、正式開業の記念式典が開催された=バンコク(NNA撮影)

海外ホテル開発の第1号

西松建設では国内でのホテル開発実績はあるが、海外での開発は今回が初めて。同社の環境・都市開発事業本部アセットバリューアッド事業統括部の副事業統括部長兼海外事業開発部長で、BKHMの社長を務める早岡研三氏は、海外での開発に当たって最も苦労したのは「許認可関係」だったと話す。同事業はタイ投資委員会(BOI)の認可事業であり、土地取得も伴った。労務面では、25年3月に発生したミャンマー大地震や、同年7月以降のカンボジアとの国境紛争で、ミャンマー人・カンボジア人労働者の帰国による作業員の急減といった課題にも直面したという。

一方で、施工面では泰国西松建設の長年の知見が生きた。同社にとって超高層ビルの施工は久しぶりだったが、環境影響評価(EIA)や建築関連の許認可は比較的スムーズに進んだ。また建築資材は近年価格が上昇しているが、大幅に値上がりする前に着工できたため、影響はそれほど大きくなかったという。

日本式のおもてなしで差別化

当面の宿泊客の内訳はレジャーとビジネスで同数程度を想定。足元では中国やマレーシア、台湾、韓国、日本などアジア圏からの顧客が多い。中東情勢の緊迫化以降、航空運賃上昇で欧州客などからのキャンセルが出るなど「影響は大きい」(早岡氏)という。バンコクは5つ星ホテルの競合ひしめく激戦区でもあるが、最大の強みである「日本式のおもてなし」で差別化を図る。

ドアの開け閉めやエレベーターのボタン押し、ドアが閉まる際のお辞儀など、外資系や地場ホテルにはないきめ細かな気遣いを徹底するため、オークラがスタッフ教育に力を入れた。また、タイ政府がMICEや音楽イベントの誘致に注力していることも追い風と捉えており、直近のウエディングフェアでは土日で50組以上が見学に訪れるなど、現地での注目度も高まっている。

デザイン面では、外観では壁面緑化とタイの伝統建築の瓦を模した意匠を融合させ、内装には和紙を取り入れるなど、日タイの文化が調和した空間を演出した。

タイの伝統建築の瓦を模したデザインと、壁面緑化を組み合わせた外観=11日、バンコク(NNA撮影)

洪水・環境対策にも力

同ホテルは防災性能の高さも特徴だ。洪水対策として地下に360立方メートルの雨水貯留槽を設置し、周辺道路への雨水流出を抑制するほか、サトン地区の行政とも連携し、帰宅困難者向けの食料や毛布を備蓄する倉庫を設けて防災拠点としての役割を持たせた。耐震面では、建設中に発生したミャンマー大地震を受け、長周期地震動の影響を点検。躯体の問題は見つからなかったという。

環境面では、客室やレストランでの「ペットボトルフリー」の徹底や、食品廃棄物を肥料化するコンポストの導入など、環境意識の高い欧州などからの顧客ニーズに応える。

海外第1号となった今回のプロジェクトをモデルに、早岡氏はタイ国内外での今後の開発も視野に入れる。「単独ではできないため、他の日系企業と協業できれば一緒にやっていきたい」とし、引き続き事業化に意欲を示した。

>>本連載「タイビジネスインサイト」の記事一覧はこちら

NNA ASIA

12カ国・地域から1日300本のアジア発のビジネスニュースを発信。累計100万本以上の圧倒的な情報量で日系企業のビジネス拡大に貢献します。

NNAの購読について詳細はこちら

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE